Gold Wing Stories
全身に最新技術を盛り込み
「最上級の翼」を得たHonda最大排気量モデル

1988年に発売したゴールドウイング(GL1500)は、数々の豪華装備の採用によって操縦するライダーと後席に乗るパッセンジャーに“最上の歓び”を提供するラグジュアリーツアラーとして高い支持を得ました。
発売から5年が経過した1993年、開発陣に対して新型ゴールドウイングの開発指示が出されました。
開発メンバーは、メイン市場であるアメリカのお客様の使い勝手や要望の調査をスタートしました。その手法は、GL1500にまたがりアメリカ全土をツーリングしながら、お客様の利用実態や生の声を収集するものでした。この現地調査はなんと2年間に及びました。
こうして収集したデータを基に、開発者たちは新型ゴールドウイングの全体像を固めていきました。目指したバイクは、ライダーにとってはスポーティーな操縦性を有しながらも、パッセンジャーにはファーストクラスのように快適な居住空間を提供する世界最高のラグジュアリーツアラーでした。
新開発したエンジンは、GL1500と同様の水冷・4ストローク・OHC・水平対向6気筒で、排気量を1832ccまで拡大しました。最高出力、最大トルクともに大幅な向上を図り、さらに余裕のある走りを提供できるようになりました。そして排出ガス浄化システムには三元触媒機構HECS3(Honda Evolutional Catalyzing System 3)を採用することで、世界最高水準の環境性能を実現しました。
こうしてより大きな排気量を得た新モデルGL1800は、大きな車体ながらもロードスポーツモデル並みの軽快なハンドリングを実現するために、アルミ製ツインチューブフレームを採用。エンジン自体をフレームの一部として組み込むマルチボックスセクションタイプとすることで、GL1500のフレームに対して11kgの軽量化を達成しました。
車体関係の徹底的な軽量化を図ったことで、排気量をアップしたにもかかわらず車両乾燥重量は1999年発売のGL1500に対して1kg軽い386kgに収めることに成功したのです。
ライダーとパッセンジャーの快適性を高めるためのエアロダイナミクスを追求した外観も、上質でありながら逞しく、フラッグシップモデルにふさわしい風格のあるスタイリングになりました。
なおパッセンジャーシートは従来モデルに対して前後で50mm、左右で70mmの拡大を図るなど、「ファーストクラスの感覚」を実現したシートにグレードアップしました。

2001年 ゴールドウイング(GL1800) 日本仕様

GL1800に搭載した水平対向6気筒エンジンの透視図

アルミ製ツインチューブフレームに搭載された水平対向6気筒エンジン
2001年制作のカタログ(日本仕様)

さまざまなスイッチ類が整然とレイアウトされたコックピット。スピードメーターの下に配置した液晶ディスプレイには、距離計や気温、オーディオ・モードなどの各種情報が表示される

ヘルメットを2個収納可能な61リットル容量のリアトランク。左右に配置されたサドルバッグを含めると、合計142 リットル容量の積載スペースを提供