2020年9月に開催を予定していた“第18回 学生フォーミュラ日本大会2020”は
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止となりました。
大きな夢と熱意をもって今年の大会に臨もうとしていた学生たち。
目の前にあった目標が失われたことで、受けたショックは計り知れないものに。
私たちに”今”できることは何か。
Hondaはオンラインでの支援活動に乗り出しました。
学生フォーミュラ2020の中止に際して、Hondaではレーシングドライバーの佐藤琢磨選手からのメッセージ動画を発信。それを受けて、学生たちからコメントが寄せられた。
新型コロナウイルスの感染拡大で、
大学への入構制限や課外活動自粛により学生フォーミュラ活動そのものが困難になってしまった。
例年、Hondaでは学生たちを集めてマイスタークラブによる座学講座を開いたり、
エンジン整備技術や溶接技術を習得する実技講座などを開催しているが、今年はこうした取り組みが全て中止に。
学生たちが大会中止に大きなショックを受けているなか、Hondaは「私たちに今できることは何か」を考えた。
こうした困難な時こそ学生たちを応援したいという想いのもと、
新しい取り組みとしてオンラインでの支援が始まった。
人と人の繋がりが希薄になってしまった状況で、オンライン上で全国の学生たちがそれぞれの場所から参加。
「相談会」「座談会」「情報交換会」という3つの取り組みを継続的に実施していくことで、
これまでリアルでは交流が少なかった、
他大学のチーム・他県の学生・引退した上級生・社会人OB・OGの新しい交流、新たな発見が生まれている!
9月3日に開催された「オンライン座談会」では、
学生フォーミュラの魅力をテーマに現在Hondaに就職した社会人OB、
新入部員から引退した上級生まで現役の学生がオンライン上で学生フォーミュラの魅力や醍醐味、
困難との向き合い方などについて語りあった。
例年通りの活動ができていない学生たちへ、少しでも活力にして欲しいという想いから、
先輩OB、引退した上級生は学生フォーミュラの魅力を伝える。
なかでも印象的だったのは「やることの幅が広いこと」「理論と実践の両方をとことん追求できること」
「コミュニケーション能力が養われること」の3つだ。
座談会ゲストだけでなく、視聴している学生たちから寄せられる現在の不安や活動の中での課題について
コメントが寄せられた。一人ひとりの疑問に、参加者全員が真剣に向き合った。
先輩からクルマ作りに必要なノウハウを吸収
「活動自粛でまだクルマに触ることはできませんが、週1回でオンラインでミーティングを開催したり、先輩の方からCADの使い方をはじめ色々な知識を教えてもらったりしています」座学での知識が、現場での経験とリンクしていく
「エンジンに関する本をよく読んでいました。最初はとても難しく感じるのですが、学生フォーミュラの活動を進める中で本で学んだことが実際のエンジンの仕組みとリンクして、蓄積しておいた知識が実践で咀嚼されていくことが実感できました」
大会が中止になっても学生たちは次の夢に向けて走り出しています。
挑戦する彼らのこれからの夢を伺いました。
昨年はエントリーミスにより不参加となってしまい、今回の大会中止により2年連続不参加となってしまいました。私自身、悲しく寂しい気持ちになったし、チームでもショックを受けているメンバーが多く、茫然としてしいる人もいました。しかし、直後からこれからの目標を全員で話し合ったり、より良いチーム作りのための反省会などを行い、目的意識を持って前向きに取り組むことが出来たと感じています。
そのなかでオンライン交流会は、とにかく学びが多く、楽しいです。
私たちは北海道唯一の学生フォーミュラチームであったためこれまでは他校と交流する機会がありませんでした。他大学の方やOBの方々が経験した悩みや試行錯誤は、ダイレクトにチーム活動に役立っています。また、交流会をきっかけに他大学の方々と連絡する機会も増えました。
コロナ禍で学生フォーミュラの魅力を実感。
大会への熱意はさらに大きく
大会中止直後はモチベーションの低下も感じていましたが、オンラインでの活動を経ていざ製作作業や練習走行が限定的に再開すると学生フォーミュラの楽しさを改めて感じました。コロナ禍によって、私たちは学生フォーミュラの楽しさをより深く実感できるようになり、今では大会への熱意も大きくなったと感じています。
3年ぶりの大会出場・上位入賞への
挑戦は始まっている
いま、最大の目標は2021年度大会での上位入賞です。3年ぶりの大会出場に向けてチームの士気を高め、マシンについても準備を進めています。また交流会では大会での結果に限らず様々な面での成長を目指して取り組むことの大切さを知ったので、私たちも学生フォーミュラを通じた成長にチャレンジしていきたいと思います。
私たちの強みはリソースの大きさ、マネジメント力、一人ひとりが主体的かつ徹底して論理的である姿勢を持つチーム力だったと思います。
このようなチームになるために1年生の時からチーム改革に取り組んできました。
なので、この2年半のチーム改革を結果で示す機会がなくなってしまい、大会中止が発表されたその日にメンバーで話し合いを設けましたが、メンバーみんな言葉が出ませんでした。
逆境で気づいた自分たちらしさ
しかし、ただ落ち込むのではなく、事実を受け止めた上で次のアクションを冷静に考え、素早く取り掛かるところは、いかにも農工大らしく、そんなメンバーを頼もしく感じました。
将来に向けて自分たちは何をしたいのか、そのためには何をすることがベストなのかを考えそれぞれが活動することが出来ていました。
学生フォーミュラを通して培った経験が
通用するのかを試したい
学生フォーミュラを通して、スキルだけではなくメンタルや経験値といった意味で大きな成長があった2年半だったと思います。
今年で引退のため、学生フォーミュラに直接関わる機会は減っていくと思いますが、これからも積極的に様々なことに挑戦して、学生フォーミュラで培ったものが通用するのか確かめたいです。いつか「やっぱ学生フォーミュラやっていた人は流石だね」と言われたいですし、学生フォーミュラがそう評価されるような競技になることを願ってます。
学生フォーミュラのオンライン座談会に参加いただいた学生フォーミュラOB、
引退した上級生の方に活動の中で感じた想いを伺いました。
Honda四輪開発エンジニアの
薄(うすき)さん
Honda四輪開発エンジニアの薄(うすき)さん
学生の皆さんと交流して、どんな困難があっても「できることは必ずある」と改めて感じました。歩みを止めないという思いで、現役学生もOB・OGもみんなが行動することが大切だと思います。
私は学生時代はHondaの支援活動にとても助けられました。なので多くの人に学生フォーミュラを知ってもらい、その魅力を実感してもらえるよう、これからも協力したいと考えています。
横浜国立大の田中さん
横浜国立大の田中さん
今回、オンラインでの交流会に参加して1年生、2年生の皆さんは思った以上に不安を抱えているんだということもよくわかりました。私自身も、これからももっと後輩たちのサポートに関わっていきたいと思いました。
学生のみなさん、やりたいこと、気になったことにはどんどん足を踏み入れチャレンジしてみてください!その挑戦が経験の幅を広げてくれると思います。
今年度の学生フォーミュラ大会が中止になってしまい、
目標を掲げ取り組んでいた学生たちにとっては厳しい現実と向き合う年となった。
しかし、このような状況の中でも、
チームの仲間で支え合い、他大学の仲間たちやOBと交流し、
新しい繋がりが生まれた。
彼らは、この逆境を新たな挑戦の原動力に変え、少しづつ新しい夢へと歩み始めている。
夢は考えているだけで楽しい。
Hondaは、どんなときも、
未来のエンジニアの夢を応援しています。
動画を再生した瞬間に涙が溢れてきた。
「夢は考えているだけで楽しい」とあったが本当にその通りだと思う。
自分たちが大好きな学生フォーミュラに、どんな形であれ今も関われていることに感謝したい。
「夢を追う中で挫折はつきものだ」という言葉に、大きな衝撃を受けた。どんな困難な状況下でも、あきらめずに挑み続ける強さを感じた。