TOMODACHI Honda 文化交流プログラム 2016年インタビュー
「TOMODACHI Honda 文化交流プログラム 2016」の総仕上げとなる
“フォローアップ懇談会”を盛岡市で開催。
参加した高校生と引率の先生のインタビューをお届けします。
2016年2月21日(日)、「TOMODACHI Honda 文化交流プログラム 2016」の集大成となるフォローアップ懇談会が岩手県盛岡市で開催されました。
このプログラムは、2015年12月25日から2016年1月9日までの2週間、東日本大震災で被害を受けた岩手県の高校生がアメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスに滞在して取り組んだ、日米の文化交流企画です。
会場には、プログラムに参加した学生と関係者らが集合。アメリカン・ホンダモーターのスティーブからのメッセージが発信されたあと、さっそく第一部のスタートです。ローズパレードへの参加やボランティアなどの体験、アメリカの高校生や子ども達との交流、ホストファミリーとのふれあいなど、滞在で学んだことや感じたことをベースに、出発前に立てた目標に対する帰国後の課題を一人ひとりが自分の言葉で語りました。
第二部では「次回、福島の高校生を対象に開催されるプログラムをより良いものにするには?」をテーマに、グループに分かれて討議。それぞれの実体験に基づいたアイデアを発表しました。
お互いの成長やこれからの課題、叶えたい夢を確認しあった、有意義な時間となりました。
そんなアメリカで多くの人と出会い、多くの学びを吸収した高校生と、引率のリーダーとして参加した山本英治先生に、2週間のチャレンジをふり返っていただきました。
2016年2月21日(日)
プログラムに参加した高校生の座談会
アメリカ滞在で感じたことや、それを今後どうしていくのかを、
4人の高校生が本音で語り合いました。
今回座談会に参加した学生
- 伊藤 麗美 さん
Ito Remi
- 鈴木 健司 さん
Suzuki Kenji
- 澤口 蒼 さん
Sawaguchi Aoi
- 林 さくら さん
Hayashi Sakura
参加することになったきっかけは?
- 伊藤さん
- :私は、小学生のときに英語を習っていて、その頃から英語圏の国に興味を持っていました。単にアメリカに行けるということだけでなく、学校訪問やローズパレードへ参加することで異文化に触れることができると思い、今回のプログラムに応募しました。
- 鈴木さん
- :ぼくは、震災の経験から。東日本大震災のとき、大船渡に住んでいました。そこで、津波によって住んでいる街の風景が一変してしまったことを目の当たりにしました。そのような経験から、自分に何かできることはないか?と思い、プログラムへの参加を決めました。
- 林さん
- :私は、英語の先生になることが夢です。教師として仕事をする前に、アメリカに渡って本場の英語を学びたいと思っていました。だから今回、夢がかなって本当に嬉しかったです。日本では学べないことをたくさん身につけられるチャンスだと思いました。
日米の違いをどんなところに感じましたか?
- 林さん
- :日常生活、文化、考え方、食べ物など、すべてが違います。特に英語は、渡米前に想像していたものと大きく違っていました。頭の中に単語や文法は出てくるのですが、いざ会話になると、伝えたいことをまとめきれず言葉にできなかったり……。ホームステイとトーランス高校への訪問は、“本場の英語”を学べる、最高の機会になりました。
- 澤口さん
- :そう、トーランス高校といえば、私達と同年代の高校生が大人びたメイクをしていたり、私服で学校に行くのにもびっくり。日本に比べるとずいぶん自由だな、と感じました。また、見た目だけでなく、アメリカの人達は、それぞれ意見や意志をしっかり持ち、自分の言葉で相手に伝えていることに気がつきました。これまで私は意見が曖昧だったり、周りに合わせてしまったりしていたけれど、帰国後は、自分の考えを積極的に伝えることを心がけるようになりました。
- 鈴木さん
- :みんながとてもフレンドリーなところです。ホームステイ先やお店、ボランティアで訪れた施設でも、ぼくが“どうしようかな……、なんて言おうかな……”と不安な顔をしていると、すぐに「どうしたの?」と話しかけてくれました。アメリカでも日本でも、たくさんの人に支えられていることに改めて気づき、感謝の気持ちを忘れないようにしようと思いました。
- 伊藤さん
- :初めての海外だったので、行く場所、見るものすべてが衝撃でした。自分の考えをはっきり言わないと伝わらなかった経験を通じて、今までの生活がどれほど無責任で人任せに生きてきたのかを実感しました。
今回の渡米で大変だったことやつらかったことはありますか?
- 鈴木さん
- :自分のコミュニケーション力が足りずに、ときどき消極的になってしまったことです。改めて「伝える」ことの大切さを実感しました。また今回のプログラムで、教科書でしか習ったことのない英語やアメリカの文化を実際に体験し、すべての価値観が変わった気がします。これからは失敗を恐れず、自ら行動し発信していきたいです。
- 澤口さん
- :多くの人と出会って、いろいろな体験をして、ようやく自分の言葉で話せるようになってきた頃に帰国することになったことがつらかったです。これからは日本にいても、アメリカで知り合った人達と連絡をとりあって、繋がりを大切にしようと思います。それと、日常生活でつらかったのは、食べ物の味つけが日本より濃かったことです(笑)。
- 伊藤さん
- :みんなで音楽のリハーサルをするとき、楽譜が足りなくて困ったことがありました。私はなるべく自分の力で解決したいと思い、音楽を指導してくださったダニエル・ホーさんに自分がわかる英語を駆使して事情を説明し、無事解決することができました。あの時のおかげで、英語に対して自信を持てるようになりました。
楽器を演奏してローズパレードに参加した感想は?
- 伊藤さん
- :私はトランペットで参加しました。ホルンの経験はあったけど、トランペットは初めてだったから、楽譜を覚えるのに苦労しました。本番当日、たくさん練習はしてきたけれどしっかり演奏できるかな、と不安でしたが、いざ本番になったら、そんな気持ちは吹き飛び、ワクワクしながら演奏することができました!
- 鈴木さん
- :ぼくもトランペットを担当しました。小学校のときに吹いた経験があったけど、久しぶりだったから慣れるまでに時間がかかり、練習は大変でした。でも、みんなで励ましあって、本番をむかえることができました。
- 林さん
- :私はフルートの担当です。小さいときに吹いていたことがあるので、それほど苦労はなく、楽しんで参加することができました。みんなで音楽を演奏し一つになれたことで、メンバー同士の絆も深まったと思います。
- 澤口さん
- :私はタンバリン担当です!(笑) 本番では、まわりに手をふりながら、笑顔で楽しく叩いていました。自分達で作ったフロートと一緒にパレードができて、アメリカの皆さんに感謝の気持ちを伝えられたかと思います。
将来の夢はなんですか?
- 林さん
- :もともと英語の教師になりたいと思っていましたが、アメリカに行って、夢がもっと具体的になりました。ただ文法やフレーズを教えるんじゃなくて、歴史や文化なども併せて伝えることで、英語の奥の深さやコミュニケーションの素晴らしさも広めていきたいです。
- 鈴木さん
- :ぼくも教師を目指しています。今回アメリカに行ってから人と人との繋がりの大切さを知り、帰国後はさらにその思いが強くなりました。震災についても、自分が体験したことを、今後の被災地域の発展のために、地元の人達と繋がりを持ちながら取り組んでいきたいです。
- 澤口さん
- :私は保健師になるのが夢です。今回のプログラムで小児病院のボランティアに参加して、忘れられない経験をしました。入院をしている子ども達に“鶴”や“手裏剣”などの日本の折り紙を教えている途中に、小さな女の子の具合が少し悪くなってしまったんです。それでも「教えてくれてありがとう」と私に感謝の言葉をかけてくれました。このとき私は、小さな子ども達のために、病気やケガだけでなく、心のケアもできるような保健師になりたいと決意しました。
- 伊藤さん
- :今回、アメリカの小児病院を訪れて、医療現場を見ることができたのは、とても貴重な経験でした。私も、岩手の人達や被災された人達のために、小児科医や薬剤師など、これからの地域医療に貢献する仕事がしたいです。復興支援については、被災された方々のお話を伺う、講演会やボランティアに参加するなど、まずは行動することが大事だと思います。
先生のインタビュー
高校生の引率リーダーとして参加しました。
山本 英治 先生
Yamamoto Eiji
今回、まとめ役として私が心がけたことは、みんなが自主的に行動できるようになることです。出会ったばかりの頃の彼らは、自分で考えて行動する積極性が足りないと感じていました。そこで、フェイスブックに『CAN-DOリスト』と『CAN-NOT-DOリスト』をつくり、情報を共有することに。毎日自分を振り返りながら、「今日は〇〇ができた」、「今日は〇〇ができなかった。これからどうするべきか」などを書き込むようにしました。すると、ホームステイを終えたころから、みんなの行動や考え方の変化が明確にわかるようになりました。また、失敗を恐れずに英語を話したり、アイデアを出しあってパレードのフロート装飾をしたり、慣れない楽器を練習するなど、多くのチャレンジを通して、それぞれが成長していきました。これからは日本でも、まわりへの感謝を忘れず、自分にできることを考えて能動的に動き、次世代のリーダーとして活躍して欲しいですね。その行動が海外での留学や仕事に繋がったり、日本とアメリカの架け橋になってくれると、とても嬉しいです。