Work life balance2020/12/07
チャレンジを後押ししてくれた。だから今も未来もがんばっていける
仕事を通して、どんな夢を叶えたい──?そんな問いに対し、小野 拓洋は「僕にしかできないことをしたい」と答えました。そして、そんなチャレンジを後押ししてくれるのがHondaだと思っている、と。ロボティクスの研究の最前線に立つ小野の想い、彼の目に映るHondaの魅力をひもといてみましょう。
小野 拓洋Hiromi Ono
株式会社本田技術研究所/ライフクリエーションセンター完成機開発室
2015年新卒入社。新入社員研修を経て四輪のテールゲートの設計に携わる。その後、社内公募をきっかけに現在のライフクリエーションセンターに異動。「自分が生きた証を残したい、歴史に名を残すような開発の結果として、世のため人のためにつなげたい」とロボティクスの最前線で研究開発を行う。
障がいをあきらめの理由にしない。後押ししてくれるのがHondaだから
見た目にはほぼわかりませんが、小野の左足は義足です。
小野「義足をつけているので、日常生活で特に支障はありません。右足は健常なので、オートマチック車であれば運転もできますよ。
私が現在かかわっているロボティクス関連のプロジェクトも、足に障がいのある方に対してHondaが提供できる新たな価値提案につながるもの。当事者だからこそ見えること、できることがあると思って頑張っています」
義足で日常生活が営めるとはいえ、周囲の理解やサポートをどのように感じたのでしょうか?
小野「実際に配属されてからは特別扱いされるということはなく、僕自身に関して言えば特に問題なく働けています。
現在の部署への異動を希望した時も、同じですね。障がいがあるからどうこうということもなく、純粋に自分の希望や実績、適性によって判断してもらえたと思っています」
事実、現在のプロジェクトに携わるようになってから、小野は他の障がいを持つメンバーとの接点が増えたそうです。「皆さん、すごいチャレンジングな方ばかり」という言葉の通り、障がいを抱えながらもアグレッシブに趣味やスポーツを楽しんでいるメンバーが少なくありません。
小野「ネガティブなこともプラスに転じさせる人が多いのは、Hondaらしさのひとつだと思います。逆境に立たされてもチャレンジして前進していく。そして、ポジティブな結果を引き寄せる。そういう意志や努力を後押しする社風があり、臆せず何にでも挑戦できるのがHondaの良さではないでしょうか。社内公募で新規事業を提案できるプログラムがあるのも、Hondaがチャレンジングであることを象徴していると思います」
障がいのある人にとっては、就職だけでも大きなチャレンジになることが少なくありません。でも、Hondaはそのチャレンジをサポートし、もっとはばたくための後押しをしてくれる会社だ、と小野は言います。
自らの軌跡を振り返りながら、当事者の実感を込めて強く断言する姿には、障がいを抱えながらも夢や可能性をあきらめることなく突き進む小野のHondaらしさがみなぎっていました。
働くなら、奥深くて熱中できる場所がいい。それが、Hondaだった
Hondaイズムに自らの想いを掛け合わせ、道を拓いていく。
ライフクリエーションセンターでロボティクス関連の研究開発に携わる小野 拓洋からは、Hondaのアソシエイトらしいたたずまいがあふれています。
小野「就職活動をしていた頃、Hondaで働く人たちの姿がとても印象的で、心を惹かれました。皆さんイキイキしていて、本当に楽しそうでした。
自動車メーカーというだけなら、他にも会社はたくさんあります。結局、選考を受けたのはHondaだけなのですが、それはやっぱりHondaの“人”に共鳴したからだったんだろうと思っています」
どんな仕事をしたいかはもちろん大切ですが、それをどの会社の一員として成し遂げたいのか。同じ自動車に携われるとしても、Hondaを選んだ確たる理由が小野にはあったのです。
その原点は、幼少期にまでさかのぼります。
小野「絵を描くのが好きで、小学生の頃は絵画で表彰されたこともありましたね。人や風景よりも、建物のようなものを描くのが好きでした。消失点があったり、遠近感を表現したりするのがとても面白かったです」
また、父親が自動車部品製造の仕事に携わっていた影響もありました。
憧れる気持ちから、徐々にモノづくりへの想いが膨らんでいきました。
小野「より明確なビジョンになったのは、大学生の頃。仕事は人生の長い時間をかけて取り組むからこそ、奥が深くて熱中できるものが良いと思いました。趣味と言ったら語弊があるかもしれませんが、飽きずに人生を通じて探究し続けられる分野として、自動車を選びました。
そもそも学生時代は機械系専攻で、自動車の製造技術に関する研究をしていました。
自動車という領域で自分の研究や興味を組み合わせた結果、設計に携わりたいと考えるようになっていきました」
Hondaについて知っていくほどに、小野の心はどんどん傾いていきました。
会社説明会にも複数回通い、知るほどに好きになっていく実感が高まっていったのです。
一体、小野はどんなところにHondaの魅力を感じたのでしょうか?
チャレンジングな社風に惹かれて入社。そして自ら次なるステップへ
Hondaに対して1番いいなと思ったのは、チャレンジングな社風を感じられたところ、と小野は言います。
小野「自動車メーカーなのに、世界最速の芝刈り機を開発してギネス世界新記録を達成したり、航空機の開発までしたり……チャレンジングな社風が感じられて面白いと感じたんです。二輪、四輪、汎用まで幅ひろいモノづくりに携われる可能性があるのは、Hondaの大きな特長だと思います」
選考が進むなかでは「これ、面接なのか?」と感じるようなシーンもありました。
小野「エンジンのアルミ鋳造で内部に残っている力(残留応力)を解析するのが私の研究テーマだったんですが、それにすごく興味を持ってくれて。製造現場ではこの残留応力が予測できないので、現場の知見をもとに修正しているらしいです。それを、解析によってより可視化するのが重要ですよね、といった話をしました。
自分の研究しているテーマに、興味を持って耳を傾けてもらえるのは嬉しいですよね。技術者として共感してもらえている実感があったのも好印象でした」
そして2015年4月、小野はHondaに入社。
新入社員研修を経て、四輪のテールゲートの設計に携わることとなりました。
小野「設計の仕事では、デザイナーの方とのやり取りが少なくありません。こちらには設計者として製品を成立させるための考えがあり、彼らにはデザインという観点からのこだわりや重視するポイントがある。折衝を重ねながら意見をすり合わせていくプロセスは、難しくも学びの多い経験となりました」
そんな小野の転機となったのは、社内公募制度でした。
新しいプロジェクトの開発総責任者を募っているのを知り、小野は自ら手を挙げたのです。
小野「Hondaには、目標や在りたい姿、夢を意味する『A00』という言葉があり、ここを起点に、本質的な目標へと落とし込んでいきます。私は入社当時から、自分が生きた証を残したい、歴史に名を残すような開発の結果として、世のため人のためにつなげたいという想いがありました。これが、私のA00です。
テールゲートの設計もさらに極めることでスペシャリストとして活躍する道もありました。しかし、食堂で見かけた『新規事業創出プログラム』を見て、自分で発案したアイディアをプロジェクトリーダーとして推進できることに魅力を感じました。
自分だからこそでき、誰かのために役にも立つテーマを自ら立ち上げたいと思い、挑戦することにしました」
このチャレンジは、自分にとってA00を実現する第一歩だーー。
そんな想いを胸に抱き、小野は新たなプロジェクトへと飛び込んでいったのです。
2030年を見据え、移動の喜びを追求するチャレンジははじまったばかり
コロナ禍の影響から、Hondaでも社員のテレワークを推進しています。
小野も出社と在宅勤務を併用しつつ、新しい働き方の可能性を感じているようです。
小野「やはり、長時間自宅外にいて義足をつけていると、足に負担がかかるのは否めません。自宅であれば義足をはずしていられるので、身体的な負担を軽減しながら働けるのはありがたいと実感しています。
また、私は他の人たちと同様に電車通勤していますが、障がいによっては通勤そのものがハードルになる人も少なくないと思います。テレワークでも働きやすい環境や仕組みがさらに整えば、採用の裾野が広がるかもしれません」
一方で、外出自粛要請は、Hondaで働く小野にとってとても重要な、新たな気づきを与えてくれるきっかけにもなりました。
小野「目下の目標は現在進めているプロジェクトを製品に結実させてスタートさせることですが、中長期的にはHondaがかかげる2030年ビジョンにつながる事業にも挑戦していきたいと思っています」
「すべての人に、『生活の可能性が拡がる喜び』を提供する―世界中の一人ひとりの『移動』と『暮らし』の進化をリードする―」というステートメントの示す通り、今、人々は改めて“移動”の重要性を痛感しているさなかにあります。
小野「たとえば、単純に『沖縄に行きたいなぁ』と思うのも、『本当はアメリカに駐在で行くはずだったのにな』と思うのも、その本質は移動の喜びに繋がっていくと思います。
確かに、テレワークは便利ですし、働き方の可能性を広げてくれます。でも、やっぱり家のなかにこもっているだけでは生活を楽しめないと思ってしまいます。それは、障がいの有無に関係なく、誰にとっても。
僕にとっては“すべてのひとに”というのがキーワードで、すべてのひとが移動の喜びを実感できるような体験や価値を、Hondaから発信していきたいと思っています。それにつながる未来を育む仕事にもっともっと挑戦していきたい」
障がいがあっても、なくても、意欲があれば誰にでもチャレンジのチャンスはある。
本気で挑む人を真摯に見つめ、支え、しっかりと評価する。
それがHondaという会社なのだと、小野自身の姿に投影されて浮かび上がってきます。
最近、小野は他の障がいを持つメンバーに感銘を受け、ランニング用の義足を購入したそうです。それは競技用の本格的な義足。
「その義足で出社すると、周りの人はぎょっとしているかも」と言う小野の笑顔には、前向きに未来を見つめ、チャレンジし続けるエネルギーに満ちていました。
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