初代アフリカツイン「XRV650 Africa Twin」が採用したV型2気筒エンジンのトラクション性能とパルス感を再現しつつ、よりマスの集中化や低重心化に貢献できる、270度位相クランクの直列2気筒エンジン。従来モデルの998ccから1,082ccへと排気量を拡大し、約7%の出力向上を果たしています。
エンジニアは語る
一般的に、エンジンの排気量が大きくなると、エンジンの体格も大きくなって重くなる傾向がありますよね。 「今回はストロークを伸ばして排気量を拡大していることもあり、エンジンの背丈が伸びるので不利な条件ではありました。しかし、重量としてもできるだけ軽量に仕上げたいということもあり、エンジンの細部に至るまで見直しをかけ、逆にMTタイプで2.5kg、DCTタイプで2.2kgほど従来モデルより軽量化を果たしました」 どんな要素が大きいのでしょう? 「細部まで仕様を見直して『ここはもうちょっと攻められるよね』というところの積み重ねです。大きいものでいえば、バランサーシャフト、プライマリドライブに適用していたサブギヤを廃止したことでしょうか」 サブギヤとは? 「ギヤを2枚重ねにして、鋏のように相手のギヤを挟み込み、ギヤとギヤの間にある隙間を小さくするための機構です。これを使うことで、発生する騒音を抑えていました」 騒音に関する規制も強化されていますね。 「2枚重ねにしなくても済むよう、ギヤの歯形と精度、管理手法を見直してギヤの隙間……バックラッシュといいますが……を小さくしました。これもフレームのロアパイプの例と同様、生産を続けて様々なノウハウが蓄積されてきたからこそできることだと思います。ものすごく地味な開発ではありましたが、電子制御に関する開発と比べればスムーズに進みましたね(笑)」
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