交通安全の教育・普及活動

日本

デジタル自転車かるた

日本においては、各地域で交通安全活動を行う交通安全指導者に向けて、教育プログラムや指導方法を提供しています。Hondaが小学生を対象に交通安全教育の効果を検証した結果、1年間に数回程度の教育の機会だけでは、効果を維持することは難しいことがわかりました。これを受けて、継続して短時間で教育ができるよう2023年に「デジタル交通安全かるた」を開発しました。活用を希望する小学校の先生方には無償で配布をしており、好評をいただいてた一方で、歩行に関する内容が中心であり、自転車を利用する高学年の児童には十分とはいえない状況もありました。

さらに先生方からも「自転車に関する絵札、読み札を増やしてほしい」という意見が寄せられていたことや、近年の交通事故実態、2026年の道路交通法改正といった社会情勢を踏まえて、児童に自転車の交通ルールやマナーをわかりやすく伝えるための「デジタル自転車かるた」を2025年3月に完成させました。

教材の開発にあたっては全国の交通安全指導者へ自転車教育で児童に伝えたいことについてアンケートを実施し、237団体から意見をいただきました。これらをもとにルールやマナー、乗り方をはじめとした自転車に乗る際に必要な安全行動をクイズ形式で楽しく学べるように45枚にまとめ、イラストにはアニメーション機能も追加しました。試作版を実施した学校の先生からは「絵札→読み札→アニメーションが一連で流れるのではなく、こちらで一つずつ操作できるのでこどもたちの反応を見ながら操作できる点が良かった」「アニメーションがあることでこどもたちから『危ないね』『気をつけなくちゃ』という声が聞こえてきました」といった評価をいただいています。

今後も、教育効果を維持するための手法の提案や教材開発に取り組み、地域の交通安全指導者や学校と連携し、交通事故ゼロ に向けてより効果のある交通安全教育を展開していきたいと思います。

デジタル自転車かるた

北米

地域社会の交通安全を推進

ホンダカナダ財団は、2024年に交通安全の取り組みにおける重点領域を定め、交通安全啓発キャンペーンや地域社会での体験型学習教室の支援を行っています。2024年は、交通安全の啓発活動を展開する非営利団体「Parachute Canada」と連携し、青少年向けの交通安全教育プログラムの拡充に向けて20万ドルを助成しました。またその他に、低所得層の子どもたちが適切なサイズのヘルメットを正しく着用できるよう、ヘルメット着用教育や無料配布、自転車の安全な乗り方を学ぶプログラムも実施し、安全意識の向上と事故防止につとめています。

また米国では、16~19歳の若年ドライバーによる交通事故で毎年5,000人以上が命を落としている状況を受け、全米安全評議会(National Safety Council)へ10万ドルを寄付しました。「Teen Driver Safety Week」や、保護者向けの教育プログラム「DriveitHome」への支援を通じて、若年層の安全運転意識の向上を図っています。

さらにHondaおよびHonda USA 財団は、ホンダの交通安全の重点領域に合致する活動を行う団体への支援として総額170万ドルの寄付を実施しました。Hondaは地域社会の交通安全向上に向けた取り組みを力強く支援していきます。

北米のHondaグループが地域社会の交通安全を推進

中南米

アルゼンチンの次世代教育プログラム「Pioneers on the Move」

二輪車の生産拠点であるホンダ・モトール・デ・アルヘンティーナ・エス・エーでは、「夢のある明日の社会づくり」をめざし、6~11歳の子どもを対象とした教育プログラム「Pioneers on the Move」を2013年から展開しています。このプログラムでは、Hondaの社会貢献活動の各活動領域を象徴する4人のヒーロー(Traffic Girl、Super Eco、Solidarity Captain、Super Smarty)が登場し、余暇教育を取り入れた子どもたちが楽しく学べるコンテンツを提供しています。これまでにプログラムに参加した子どもたちや教師等の人数は、対面とオンラインでの参加を合わせて2 万 3,157人にのぼります。

近年、とくに交通安全に関する取り組みを強化しており、2024年には、市民協会 Luchemos por la Vida から、交通安全の意識向上や交通事故防止に貢献した団体として、企業の社会的責任部門で表彰されました。

アルゼンチンの次世代教育プログラム「Pioneers on the Move」

ブラジルの販売店での安全運転教育活動

ブラジルのHondaグループは、交通安全教育の普及と交通安全意識を向上することを目的に、安全運転教育活動を全27州で展開しています。この取り組みには教育プログラム・啓発キャンペーン・実践的な活動が含まれ、今後はブラジル全土の地方自治体と協力しさらなる拡大を目指しています。

これまでに、子ども向け交通安全教育、バイク利用者への意識向上を目的とした講習や民間・公共企業向けの講演などが行われ、2024年4月から12月までに12万9,842ドルを投じ、約38万人が活動に参加しています。

販売店による教育活動(CETH/HDA)

欧州

欧州地域での交通安全運転プログラム

二輪車・汎用製品の製造と販売を行うホンダイタリアインダストリアーレ・エス・ピーは、2050年までに交通死者ゼロを目指すというHondaの企業目標達成に向けて、従業員を対象とした以下2つの二輪車安全運転体験コースを提供しています。
初心者向けコースでは二輪車製品の基礎情報を学び、社内で制作した運転シミュレーターでギアシフトの操作方法などの運転体験を実施しました。上級者向けコースでは車両搭載技術の使用方法、適切な服装、道路や交通状況の評価に重点に置き、運転技能を向上を目指しています。2024年のパイロットプロジェクトには12人の従業員が参加し、2025年に向けてさらなる企画を進めています。
また、ホンダ・モーター・ヨーロッパ(ハンガリー)でも、2024年に144人の参加者を対象とした安全運転講習を実施しました。

ベトナムの子どもたちにヘルメットを寄贈

アジア・大洋州

ベトナムの子どもたちにヘルメットを寄贈

経済成長にともない交通量が増加するベトナムでは、二輪車は通勤、通学、業務など、市民の足として使われており、とくに朝夕のピーク時には無数の二輪車が走行しています。また、近年は四輪車の保有台数も増え始めるなど、交通安全は大きな社会的課題の一つになっています。

ホンダベトナムカンパニー・リミテッドは、子どもたちにヘルメット着用の意識を高めてもらうことを目的に、教育訓練省と国家交通安全委員会と協力して、2025 年 3月期に全国の小学1年生に170万個以上の認証済みヘルメットを寄贈するとともに、Hondaの正規販売店では児童と保護者の交通安全に関する知識向上イベントを開催しました。

この活動は2015年から継続して行われており、これまでに累計約1,010万個のヘルメットを寄贈しています。この取り組みでは、ベトナムの二輪車使用者にヘルメット着用習慣を身に付けてもらい、認証済みヘルメットの着用率 100%をめざしています。

ベトナムの子どもたちにヘルメットを寄贈

インドネシアでの二輪車交通安全運転プログラム「Safety Riding Lab」

インドネシアの二輪車生産・販売の合弁会社であるピー・ティ・アストラ・ホンダ・モーターは、職業訓練校「Safety Riding Lab」を設立し、高校生を対象とした二輪車の安全運転教育プログラムを継続的に推進しています。この「Safety Riding Lab」には、シミュレーションゾーン(二輪車運転技術の練習用に「Hondaライディングトレーナー」を設置)、視聴覚ゾーン(交通安全教育のためのマルチメディアの提供)、訓練ゾーン(実際に二輪車に乗車して安全装備を装着しての実地訓練)の3つのゾーンが設けられており、25人の二輪車安全運転指導員が安全運転を指導しています。

また、同社は二輪車安全運転キャンペーンも実施しており、イベントやプログラムなどの活動と、SNSでの啓蒙活動などを通じて交通安全文化の定着を目指しています。

「Safety Riding Lab」/ 二輪車安全運転キャンペーン

中国

広汽Hondaが「Safety China」活動を開始

中国の四輪生産販売合弁会社である広汽本田汽車有限公司が開催した「GAC Honda Safety China Tour: 5th Road Safety Innovation Competition」の最終ラウンドでは、「Intelligent Manufacturing for Safe Journeys, Competing on the Road to Safety」をテーマに、初めてオフライン形式でのスマートカーコンテストを開催しました。この取り組みにより、安全技術の分野を専攻する大学生の積極的な参加とイノベーションを促すことで、交通安全分野における新たな人材を育成し、交通安全分野の新たな可能性を共に探求していくことを目指しています。

また広汽HondaのJoy Safety Driving Centerでは安全運転体験キャンプが6回開催されました。これらのキャンプは、中国全土から集まった約100人のメディア関係者と家族を対象とし、安全な移動に対する意識と運転技術を高めるとともに、広汽Hondaの企業責任とコミットメントを実感してもらう機会となりました。

広汽Hondaが「Safety China」活動を開始

広汽Hondaによる子ども向けの交通安全教育

中国の四輪生産販売合弁会社である広汽本田汽車有限公司は2024年7月に、街歩きイベント「Dream Journey with Children」を開催しました。このイベントでは、年齢に応じた子ども向け交通安全講習を、舞台劇・アニメ映画・インタラクティブゲームにアレンジしました。これらの活動は、ショッピングモールや地域社会・販売店で実施され、より多くの家族が日常生活やゲーム体験を通じて安全な移動に関する重要なスキルを習得できることを目的としています。

また2024年に販売店に教室を設け、それを国内19カ所に展開することで、子ども向けの交通安全教育拠点の構築に引き続き取り組んでいます。また、中国自動車技術研究センターおよび国連が定めた「交通安全のための行動の10年」と連携して、河北省全域の小中学校67校で交通安全に関する公益授業を実施し、小学校で1万人以上の児童、中学校で4万人以上の教師・生徒に教育を提供しました。

広汽Hondaによる子ども向けの交通安全教育

アフリカ・中東

ケニアで二輪車の交通安全運転講習を実施

ホンダ・モーターサイクル・ケニアでは、二輪車ライダーの交通安全意識と運転技術の向上をめざし、交通安全運転講習を実施しています。2日間にわたる講習では、初日は交通ルールや運転姿勢、道路標識といった安全運転の基本原則と重要性を理解してもらうための座学を行いました。2日目は、運転中に起こり得る交通環境の変化に対応するためのコーナリングや急ブレーキ、障害物の回避などの運転技術トレーニングや危険予知トレーニングといった実技を行いました。

また運転技術や知識だけではなく、二輪車のメンテナンス方法や定期的な点検の重要性、脇見運転防止に向けた対策なども取りあげられ、講習の最後にはグループディスカッションで、受講者それぞれが講習会で得た体験や感想を共有し合いました。

2024年は地元企業を含めた10団体で講習を開催し、345人が受講しました。

ケニアで二輪車の交通安全運転講習を実施