生物多様性の保全活動

復元・再生活動

Hondaは、2022年4月、日本において環境省が主導する「生物多様性のための30by30アライアンス」に参画し、生物多様性の保全が図られている区域となる「自然共生サイト」の認定取得に向けてさまざまな取り組みを推進しています。

モビリティリゾートもてぎは、自然豊かな栃木県の茂木町に位置し、Hondaはここで長期にわたり環境保全活動や人と自然の共生を目指した次世代育成活動を行ってきました。

今回、こうした取り組みの実績が評価され、モビリティリゾートもてぎの森林の415.1haが、自然共生サイトとして認定されました。

今後は、モビリティリゾートもてぎ以外にも、生物多様性評価に基づいて優先度の高い国内拠点で自然共生サイト認定取得を目指して、生物多様性の復元・再生活動を推進していきます。将来的には自然共生サイトと同等の自社基準を設定し、海外工場でも取り組みを展開していきます。

自然共生サイト:「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する区域

  • 30by30アライアンスロゴマーク
  • モビリティリゾートもてぎ 自然共生サイト認定証
多種多様な生物が生息する棚田(モビリティリゾートもてぎ)

モビリティリゾートもてぎ内の棚田では、農薬を使わない昔ながらの農法を用いており、さまざまな生物が生息しています。

動植物の生態観察、環境保全への興味・関心の促進を目的とした来園者用プログラムを実施する場の一つとして、文化的サービスも提供しています。

各国・地域の取り組み

〈日本〉四輪完成車工場におけるビオトープ

埼玉製作所 完成車工場のビオトープ

2013年に操業を開始した埼玉製作所完成車工場には、ビオトープがあります。ここにはトウキョウサンショウウオ・ホトケドジョウなどの絶滅危惧種が生息しており、モニタリングや保全活動とともに、外来種であるアメリカザリガニ・ウシガエルの駆除などを行っています。

〈米国〉野生動物の生息地づくり

野生の鹿

サウスカロライナ州のATV※1 /SXS※2生産拠点(アメリカンホンダモーターカンパニー・インコーポレーテッド)では、多くの野生生物の生息地の改善を実施してきました。敷地内の243エーカー※3の緑豊かな土地で、適切な森林管理の実施や、アヒルの飼育池、野生動物の餌場、鳥の巣箱、ミツバチの庭や巣箱の設置をしました。こうした取り組みにより、多数の野生の鹿、七面鳥、ボブキャットがこの土地を訪れ生息しています。また水鳥が子育てをするために毎年渡来しています。

  1. ATV(All-terrain vehicle)。
  2. SXS(Side-by-Sides)。
  3. エーカー(ac)ヤードポンド法で用いられる面積の単位。1エーカー(約0.4ヘクタール)。

〈ベルギー〉物流拠点の生物多様性の保全

昆虫のホテル

アールストにある物流拠点(ホンダモーターヨーロッパロジスティックス・エヌブイ)では、生息地の劣化と遺伝的多様性の欠如によって絶滅の危機に瀕しているブラックポプラを植えて、緑地帯を拡大しました。また、池やインセクトホテル(昆虫のホテル)、給餌所を設置するなど、生息環境を整備することで、生物多様性の維持に貢献しています。

〈ブラジル〉テストコースの自然保全

テストコース

リオ・プレト・ダ・エバにある二輪車のテストコース(モトホンダ・ダ・アマゾニア・リミターダ)は、アマゾンの熱帯雨林にあります。環境と調和するために、敷地内の約80%(802ha)を法定保護区として維持しています。ここでは農業プロジェクトとして果物や野菜の植え付けのほか、マホガニー、ローズウッド、ブラジルナッツなど、絶滅の危機に瀕している種の再生も行っています。

〈インド〉生物多様性を考慮した工場緑化

ミニフォレスト

グジャラート州にある二輪車工場(ホンダモーターサイクルアンドスクーターインディアプライベート・リミテッド)の敷地内には、生態系を守る豊かな自然環境づくりをめざして0.4ha のミニフォレストをつくりました。この森は、「Sanjivani van※4」と名付けられ、24 の異なるカテゴリーの16,000本以上の木が植えられました。また、食品残渣を堆肥に変換してガーデニングに使用しています。

  1. Sanjivani van:ヒンズー語で、癒しの特性を持つハーブ「サンジバニ」に関連づけられた神話上の森を指し、ヒンズー教の神話で重要な意味を持つ。

水資源の保全

Hondaは自社の企業活動により生物多様性や水資源に影響を及ぼす可能性を認識し、「水資源の保全」にも注力しています。

Honda は周囲の水資源と調和のとれる地域を工場の候補地として選定し、各国の環境アセスメント法規に則って工場を設置しているため、取水によって著しく影響を受ける水源はありません。

また、各国の法規や地域固有の規則などに従って排水処理や処理水の放流を行っているため、排水によって影響を受ける水源はありません。

取水量を管理するとともに、排水については品質管理を徹底し、水質調査結果を開示するなど、管理と情報提供に努めています。

また、社会貢献活動として1999 年から継続している「水源の森」保全活動では、恩恵を受けている水源の森を各生産拠点が保全・管理しており、各地域に合わせた最適な取り組みを実施しています。

水は事業を支える必要不可欠な資源の一つであることを認識しているため、引き続きこの活動に取り組んでいきます。

製品では、全世界に展開している船外機による水質汚染を低減することを目的に、Honda は船外機によるエンジンを4ストロークエンジンのみのラインアップとしています。また、電動推進機の実証実験も行い、製品使用時の環境負荷低減に取り組んでいます。

森林保全活動


レポート