Sustainable impacts 2026/07/27
「全体を見渡せる」からおもしろい。マリン事業だから味わえる、ものづくりの醍醐味
さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まり、市場でのシェア拡大をめざしているHondaのマリン事業。「製品全体を見渡せる規模感のチームだから、ものづくりの手応えがある」と話す村尾と山﨑が、マリン事業ならではのおもしろさややりがい、これから果たすべきミッションを語ります。
村尾 厚Atsushi Murao
二輪・パワープロダクツ事業本部 二輪・パワープロダクツ開発生産統括部 マリン開発部 マリン設計課
自動車部品メーカーや家電メーカーでエンジニアとして経験を積み、製品設計をはじめとする幅広い開発業務に従事。2019年にHondaにキャリア入社後は、V8 5リッター船外機BF350の量産開発に初期段階から携わる。現在は新規開発機種における本体部品・構造部品の完成機設計プロジェクトリーダーとして設計全体の取りまとめを担い、性能とコストを両立させた開発に取り組む。
山﨑 泰由Yasuyuki Yamazaki
二輪・パワープロダクツ事業本部 二輪・パワープロダクツ開発生産統括部 マリン開発部 マリン研究課
電機メーカーでインクジェットプリンターの開発に従事した後、2021年Hondaにキャリア入社。 V8 5リッター船外機BF350や量産機種の電装領域の開発に携わる。現在は、開発の初期段階から性能評価まで一貫して携わりながら、制御仕様やシステムの構築を担当。
ハードな環境で使われる製品だからこそ、さまざまな視点で「お客さまのために」を考える
水上を走るもの、水を汚すべからず──創業者である本田 宗一郎の考えに基づき、1964年にエンジンオイルを水中に排出しない環境性能にこだわった船外機(取り外し式のエンジン)でマリン事業に参入したHonda。プレジャー用途からプロフェッショナル用途まで、その性能は高い評価を得ています。
一方で、二輪事業や四輪事業と比べると、Hondaのマリン事業の認知度はまだそれほど高くありません。そのため、より多くのお客さまのニーズに応える船外機の開発に挑んでいるのが、マリン開発部です。
山﨑
「市場での存在感をさらに増していくことが私たちのミッション。そのミッションを果たすため、バイクやクルマの開発でキャリアを積んできた人、他の完成車メーカー出身の人、私のように別業界から転職してきた人など、さまざまなバックグラウンドのメンバーが一丸となって取り組んでいます」
そのなかで、村尾は完成機の設計、山﨑は電装領域の開発を担当しています。
村尾
「マリンの設計部隊は、エンジン設計、電装設計、そしてクルマやバイクの『車体』にあたる完成機設計の3つに分かれています。
設計の仕事は、お客さまからいただく要望や仕様をどのように製品へ落とし込むかを検討すること。当然ながら多くの領域が関わってくるため、関連部門と連携しながら進める必要があります。私は現在PL(プロジェクトリーダー)として、性能やコストなど複数の要素をバランスよく成立させるための判断をしながら、スケジュールに沿った開発を推進していくことを役割としています」
山﨑
「私の所属するチームは、開発の工程に一貫して携わる部署です。製品の仕様や要求値を定めて性能面を数値化し、目標を策定。試作品ができたら、その目標値を達成できているかの評価を行います。
最近では制御技術の開発にも注力していて、サプライヤーと連携しながら制御システムの仕様構築や実機での動作確認などを行うことも私たちの役割です」
船外機が使用されるのは水の上という過酷な環境。そのため、さまざまな視点から検討することや、お客さまが実際に使うシーンを理解することが大切だと話します。
村尾
「仕事を進める上では、『素直さ』が大切だと考えています。私たち自身が日常的に接する機会の少ない環境で使用されるものだからこそ、自分の考えだけに固執してはいけない。お客さまがどのように使うのかを理解し、異なる専門性を持つメンバーの視点を取り入れながら、チーム全体としてより良いものを生み出せるよう心がけています」
山﨑
「迷った時に最終的な判断軸となるのは、『お客さまにとって、どうなれば使いやすいか』。自分にとって都合のいい方、ラクな方に流されず、お客さまを最優先に考えることを徹底しています。
また、私たちはモノを触ったり、船に乗ったりする機会も多くあります。可能な限り現場に足を運んで『現場・現物・現実』を重視することは、マリン事業でも大切にしているHondaの文化です」
自分が作った製品を多くのお客さまに届けたい。事業領域の広さや働く環境が入社の決め手
多様なバックグラウンドのメンバーが活躍するマリン事業。村尾と山﨑も、Honda入社前は異なる領域でキャリアを積んできました。
村尾はエンジニアの派遣会社に所属し、さまざまな企業で設計業務に従事。自動車関連企業で仕事をすることも多かったと言います。
村尾
「いろいろな会社で仕事をしたことで、それぞれの文化や開発手法、アプローチの違いを肌で感じることができ、適応力が身につきました。
しかし、立場上どうしても『求められた業務を確実かつスピーディーに遂行する』という働き方になります。経験を積んで専門性が高まっていくうちに、『もっと上流工程から主体的に開発したい』『自分で考えて設計したものを世に出したい』という想いが強くなっていったのです」
その挑戦の場にHondaを選んだのは、事業領域の広さや働く環境が決め手になったと振り返ります。
村尾
「Hondaは、二輪、四輪、パワープロダクツと幅広い製品を扱っていることに加えて、『チャレンジする文化』があります。入社後、さまざまな開発に挑戦できるのではないかと考えました。
また、フレックスタイム制や休暇の取りやすさなど、子育てをしながら安心して仕事ができる環境も決め手のひとつです。事業の魅力、文化、働きやすさのバランスがいいと感じました」
山﨑の前職は電機メーカー。産業用プリンターの開発に従事するなかで、「お客さまに直接製品を届けられる仕事がしたい」と思うようになったことが、転職を考えるきっかけだったと話します。
山﨑
「前職では何度か、量産につながらない経験をしました。そのうちに、自分が作ったものをより多くの人に使ってもらいたいという思いが強くなり、『BtoCのものづくりがしたい』と考えるようになったのです」
Hondaを次のステージに選んだのは、村尾同様、幅広い事業領域に惹かれたことでした。
山﨑
「さまざまな領域において数多くの製品を量産してきたHondaなら、ものづくりのノウハウをしっかり身につけながら、自分の作った製品でお客さまの生活を豊かにする実感を得られそうだと考えました。私自身は、特定の部品のスペシャリストになるよりも、少人数のチームで幅広く携わりながら開発できる環境の方が合っていると感じたことも、マリン事業に惹かれた理由です。
また、選考過程で『なぜHondaなのか』『Hondaで何をしたいのか』というマインド面を深く問われたことも印象に残っています。スキルだけでなく『人となり』を見る会社なのだと感じました」
チームの結束と連携で困難を乗り越える。意見をぶつけ合いながら、皆で前に進む
入社後は、V8 5リッター船外機 BF350をはじめとする大型機種を中心に、操船するためのリモコンやディスプレイといった電装領域の開発を経験してきた山﨑。なかでも、入社1年ほど経った頃に担当したプロジェクトが印象に残っていると話します。
山﨑
「近年、マリン業界では『機能開発』がトレンドです。たとえば、今のクルマには、設定した速度を自動的に維持するクルーズコントロールなど便利な機能がたくさんついています。マリンの世界も同様で、クルマのアクセルやブレーキに該当するリモコンなどの操船部に、各社がさまざまな機能を盛り込んでいるのです。
当時、他社が一斉に画期的な機能をリリースしたタイミングがありました。遅れをとるわけにはいかないと、私が開発に携わっていた V8 5リッター船外機BF350でも新たな機能を追加することになったのです」
しかし、機能追加が決定したのは開発工程が終盤に差し掛かろうとしていたタイミング。急きょ決まった追加の開発は、調査から仕様決定までをわずかな期間で実行しなければいけません。山﨑は、サプライヤーと密に連携しながら、なんとか満足いくものを開発できたと振り返ります。
山﨑
「頻繁に顔を合わせながらプログラムの細かな修正を進めました。海外のサプライヤーの場合は時差を活用して、私たちは昼間に実機で検証し、その結果を受けて次の日の朝までに修正したプログラムを用意しておいてもらう、といったことを連日繰り返しました。
開発メンバーだけではなく、市場にリリースするためには事業・サービス部門をはじめとする多くの人の力が必要です。社内外が一丸となったからこそ実現できたのです。難しいチャレンジでしたが、チームの結束と連携がいかに大切かを、身をもって学んだ経験でした。当時開発した機能は、現在では大型機種のすべてに搭載されていることも感慨深いです」
村尾も、入社後は大型機種を中心に設計を担当。さまざまなプロジェクトを経験してきましたが、「今が一番チャレンジングな時期」だと語ります。
村尾
「これまでは、ひとりの担当者として自分の受け持つ部品をきちんと成立させることが求められてきました。けれど現在はPLという立場。開発機種全体の取りまとめを任されています。特定の部品だけではなく、全体を見渡しながら最適な判断をしなければいけない。そこがとても難しいですね」
開発を進めるなかでは、「性能をさらに上げたいけれど、コストが跳ね上がってしまう」といったトレードオフの関係が数多く発生するもの。性能の向上とコストの抑制という相反する要素を、どうやって高いレベルで成立させるか。それぞれの担当者の意思を尊重しながら方針を決定していく過程は緊張感があると村尾は話します。
村尾
「お互いに意見をぶつけ合いながらも、最終的には『本当にお客さまが求めているものは何か』『お客さまにとってどうあるべきか』という原点に立ち返るようにしています。それを明確に定義することが一番難しいのですが、そこがクリアになればメンバー全員が同じ方向を向くことができます。
指針を示すための経験が自分にはまだ足りないと痛感することもありますが、おもしろいですね」
自分の手で形にしていく手応えがやりがい。伸びしろの大きい領域で事業成長に貢献する
マリン事業という新たなフィールドに飛び込み、困難も経験しながら挑戦を続けるふたり。入社の理由でもあった、「自分が手がけた製品を世に送り出せること」がやりがいだと口をそろえます。
村尾
「それは、Hondaという会社にいるから経験できることだと思っています。とくに、マリン事業では『製品全体を見渡しながら開発できる』ことがおもしろさにつながっています。製品としての規模感がちょうどよく、自分の手で動かし、形にしていく手応えを得られる。そこが魅力です」
山﨑
「そうですね。組織の規模も二輪や四輪に比べてコンパクトなぶん、横のつながりも濃いんです。開発部門だけではなく、事業企画やサービス部門、製造工場など、あらゆる部門の人たちと密接につながりながらものづくりができる。ひとつの開発プロジェクトを経験すると、社内に知り合いが一気に増えるような規模感です。それを繰り返すことで信頼関係が強くなり、次の開発がさらにスムーズになっていきます」
また、Hondaの文化も仕事のしやすさを後押ししていると続けます。
村尾
「何かを決定する際にはメンバーが集まり、それぞれの立場や専門性を活かして意見を交わします。活発な議論を通じてより良い方向性を探りながら開発を進めていく文化は、Hondaならではの魅力の一つだと感じています」
山﨑
「マネジメント層も積極的に現場に出向き、テストに立ち会い、その場でデータを見ながら議論をします。だからこそ、風通しも良いのだと思います。
加えて、個人のやりたいことも柔軟に受け入れてもらえます。たとえば、新機種の開発に向けて市場調査をしたいと提案すれば、海外出張なども経験させてもらえる。そのフットワークの軽さも、この部門の特徴です」
自分が手がけた製品をお客さまに届ける──Hondaで得たやりがいをさらに大きくしていくため、それぞれに描く目標も。
村尾
「PLとして、より高いレベルで力強くリードできるようになりたいと考えています。そのためには、設計者としての視点だけでなく、コストや製造といった専門外の領域も含めた広い視野を養っていかなければいけない。製品全体の品質を底上げできる存在をめざしたいですね」
山﨑
「Hondaのマリン事業はこれから、『船外機』という枠組みから脱却していくことが必要だと考えています。私は新しい機能や電装・電気領域の開発をしてきましたが、いずれは船全体のシステムを最適化し、船の付加価値や良さを引き出せるものづくりができるようになることをめざしています」
その先に待つのは、「マリン市場でHondaの存在感を高めていく」というミッションです。
山﨑
「マリン事業は伸びしろの大きい領域で、新しいチャレンジがとくに歓迎されています。明確な意志を持っている方や、前例のない課題に対してもアグレッシブに挑戦できる方と一緒に、事業拡大に貢献していきたいですね」
村尾
「この現場は、新しいことが次々と生まれます。技術的な難しさに直面することもありますが、それすらも楽しみながら強い情熱を持って挑戦できる人であれば、ものづくりを純粋に楽しみ、周囲と高め合いながら仕事ができるはずです」
チームワークで荒波を乗り越えながら、二輪、四輪に並ぶHondaの柱となることをめざします。
※ 記載内容は2026年6月時点のものです
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