Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える

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乗っていて楽しい空間をどうデザインするか──中国のコネクテッドカー開発に携わるエンジニアが描く夢

クルマがあらゆるものと接続し、つながる技術でお客様に新しい価値や喜びを提供する時代。自動車業界以外からHondaに転職した小池は、中国で販売するコネクテッドカーの開発に携わっています。日本とは異なるスピードや要求に苦戦しつつも、自分が目指す世界を少しずつ叶えられる喜びを感じながら日々仕事に励む小池の想いとは。

小池 諭Satoshi Koike

事業開発本部 ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部 コネクテッドソリューション開発部 コネクテッドソリューションプラットフォーム課

携帯電話メーカーのアプリケーション開発とBtoBビジネスの営業を経て、2014年Hondaに中途入社。前職の経験を活かし、ディスプレイオーディオのアプリケーション開発を担当。現在は中国向けのコネクテッドカーに搭載する通信ユニットの開発を進める。

急成長する中国で、現地カーメーカーにも負けないコネクテッドカーを作る

車内でスマートフォンのように通信ができる仕組みを搭載し、サービスを提供するテレマティクス。機能を実現するためのテレマティクスユニットを、中国で提供する車両に搭載するため奮闘しているのが、コネクテッドソリューション開発部で働く小池です。

小池 「コネクテッドカーに欠かせないのが社外との通信をつかさどるテレマティクスユニットです。Hondaが目指すコネクテッドカーの姿は日本も中国も変わりませんが、中国のほうが変化のスピードが速く、コネクテッドカーの需要が高いので、市場の要求レベルも高い傾向にあります。日本ではまだ使われていないような機能も、中国市場に出すクルマには先行して搭載されています。

もともと人口が多く市場規模が大きかったところに急速にコネクテッドカー需要が高まってきたので、必然的に業務の範囲も広くなりますね」

Hondaに就職してからずっと中国市場に関わっている小池は、その特徴を深く理解しています。

小池 「中国の開発や生産の部門には、追いつこう・追い越そうという前向きなメンタリティを持ってるメンバーが多いです。僕が開発を終えて最後の検証に移ろうとしたときでも、現地のメンバーから『こんなんじゃ全然お客様に満足いただけない。こういう機能を追加しなきゃダメだ』という意見が飛んできます。

無理難題ばかりなんですが、それは彼ら、彼女らの純粋な想いだと思うんです。これで勝負できると思うのか、ここはそんな甘い地域じゃないんだという熱意をいつも感じながら開発しています」

中国内にもOEMは多数あり、各社が製造するクルマがすでに抜きん出たレベルのコネクテッド機能を搭載していることもめずらしくありません。Hondaもそれに追いつき、追い越さなければならない立場にいます。

小池 「土壇場で仕様変更を求められるのは大変なんですが、『とりあえず最小限の機能を入れてくれ』と言われるより、要求してもらって徹底的に議論するほうがいいですね。意見を出し合うことでよりよいクルマができますし、それが今後他の地域でも受け入れられるかもしれないと思うと、検討も楽しいと感じます」

コンシューマー向けのモノづくりと空間づくりがしたくて転職

小池は2014年にHondaへ転職してくるまで、携帯電話を製造するメーカーで働いていました。大学でユーザーインターフェイスに関わる研究をするなかで、やりたい仕事像が明確になっていたからです。

小池 「いろいろなデバイスやディスプレイが身の回りにあるなかで、人に機械を意識させずに、空間が人を適度にサポートしてくれるユビキタスコンピューティングに携わる仕事がしたいと考えました。それをかなえるのに大事なのは、人に最も身近なデバイスである携帯電話だと思ったんです。

2009年の入社当時は二つ折りの携帯電話がメインだったので、そのなかのソフトウェアやアプリケーションを開発し、スマートフォンのアプリケーションの先行開発も経験しました」

しかし、入社した会社は数年後に携帯電話事業から撤退。小池は携帯電話開発からBtoBビジネスの営業に配属が変わりました。

小池 「どうしてもコンシューマー向けのモノづくりがしたかったので、転職しようと思いました。システムエンジニアやアプリケーションサプライヤーとして働く道もありましたが、携帯電話の知見を活かしつつ人が心地よく感じる空間を作るほうに興味があったんです。

スマートフォンの画面の中ではなく、画面の外に人間をサポートする空間を作りたいと考え、それを最も早く実現できそうな業界は自動車でした。自分が目指すような空間をクルマの中に作りたいという想いで、Hondaへの転職を決めましたね」

Hondaに転職した小池は、研修が終わってからすぐ中国市場で販売するクルマ関連の仕事に携わることになりました。

小池 「最初に携わったプロジェクトはディスプレイオーディオです。スマートフォンアプリのようなエンタメ機能をカーナビ画面のなかで提供するもので、前職での経験を買われて車載のアプリケーション開発をしていました。

ゆくゆくはディスプレイの中だけでなく車内空間のデザインにも関わりたい、という想いもありましたが、当時はコンシューマー向けのモノづくりができることがうれしく、有頂天になっていましたね(笑)」

大きなチャレンジを経て、“クルマ屋さん”になれた瞬間

アプリケーション開発に携わったあと、小池はユニット開発をすることになりました。

小池 「ハードウェアを含むユニット開発に携わりました。ナビゲーションのアプリが載っていて通信機能があるハードウェアをクルマに乗せれば、いつでも最新地図のナビを使える、というもの。これまでにアプリケーションの開発経験はありましたが、ユニット開発はまったく経験がなかったので、大きなチャレンジでしたね」

ユニット開発は小池の大きな転機になりました。

小池 「この経験を通して、ちゃんと“クルマ屋さん”になれた、と思いました。それまではクルマがどのように作られていくかをあまり理解していませんでしたが、ハードウェアが含まれると工場への納品やライン上での組み付けまでのリードタイムを考えなくてはいけません。クルマの開発はこれらを前提に組まれていて、これを理解するとクルマ開発の進み方が見えるようになりました。

そのプロセスが自分のなかで肌感としてわかっていると、社内メンバーと話すときにも認識がずれにくくなります。この感覚を得られたのは、自分にとって大事なことでしたね」

現在もハードウェアを含むユニット開発は続いていますが、小池は開発を後輩に任せてトラブル解決など全体のサポートに回ることが多くなりました。

小池 「以前は中国のコネクテッドカー需要がそこまで高くなかったため、まずクルマ自体の市場規模が大きいアメリカ向けのクルマを開発して、それを各地域に転用する流れでした。しかし、中国のコネクテッドカー需要が急激に高まってきたことから中国向けの開発チームが誕生し、関わるメンバーも増えたので、私は今チームをまとめる役割を担い、開発を進めています」

中国の開発部門と共同でユニットの開発を行い、中国の工場でクルマに組み付ける。それゆえに複数の言語が飛び交う環境です。

小池 「英語が通じるメンバーもいますが、通じない場合は通訳の方が僕の日本語を中国語に変換してくれます。僕は日本語と英語、中国のエンジニアは英語と中国語、通訳の方は日本語と中国語を話すので、3人の共通言語がなくてぐちゃぐちゃになることもありますね(笑)。でも、繰り返し話をすれば考えは伝わるし、一生懸命取り組んでいれば心意気は伝わります」

よりよい体験を提供できる車内空間をデザインしたい

転職によってやりたかった仕事に関われるようになった小池は、Hondaで積み重ねてきた仕事に価値を感じています。

小池 「車内空間を作るという目標はまだ達成されたわけではありませんが、テレマティクス機能の開発の初期段階からずっと携われているのは、目標に向けてとても価値のあることです。クルマはさまざまなデバイスが搭載されているレアな空間なので、わざわざデバイスを用意しなくても人が心地よく機械のサポートを受けられる空間を作りやすい。『次はこれを使ってみよう』と想像を膨らますことができるのは楽しいですよね」

小池は空間づくりの初期段階から関わっているからこそ、コネクテッドカーの進化をより実感できます。

小池 「最初に携わっていたディスプレイオーディオは、スマートフォンの画面の延長線上にありました。しかし、最新の機種では音声で車内装備を動かしたりスマホでエアコンをつけたりする機能が実現できています。自分たちで作ったものですが、機能が初めて動いた時は衝撃的でした。画面の外の世界にようやく出たような、自分が目指す空間作りに1歩踏み出せたような感覚がありましたね」

現在小池は通信担当として動いていますが、今後は全体的な車内空間のデザインもやってみたいと考えています。

小池 「今は、クルマに『窓開けて』と喋ったら窓を動かすという機能を作るために、窓担当のメンバーに話をしに行く、というように個別のアプローチをしていますが、一度クルマ全体のUXはどうあるべきか、というところからの構想もしてみたいですね。クルマの中でこういうことができるといいよねと全体として考えて、それに必要な機能に落とし込んでいくというアプローチもいつかやってみたいと思っています。

クルマは多くの場合どこかに行くためのモノなんですが、乗っている人たちがどこかに行くまでの時間をより心地よい、より楽しい、より安心できると思えるようなクルマを作りたいですね。

空間のデザインは形を考えることだけではなく、中にいる人がどういう体験をするかを考えることでもあると思っています。また、どこかに行くという体験はクルマの中にとどまらず、乗る前や降りた後、都市や他の乗り物なども含めたものとして考えるべきなのかもしれない。そう考えると、目指す姿に向けてやるべきことは僕の社会人人生では全部収まりきらないです。それでも、僕がやろうぜと言わなきゃいけないと思っています」

日進月歩のコネクテッド領域で働くならば、経験を積み技術的なベースを持っていることは強力な武器。しかし、それ以上に大事なのはメンタリティだと小池は考えています。

小池 「Hondaには仕事を進めるための細かいルールというのはあまりなく、自分たちはどうするべきなのか議論しながら仕事を進めていきます。そのため、ルールや慣習から仕事の進め方を導き出そうとすると苦しくなるかもしれません。自分はこうしたいから、こういうアクションプランでどうだろうと皆に提案していける方のほうが、楽しく仕事ができると思います。

自分の理屈を持って提案すれば耳を傾けてくれるし、皆で方針を合わせたら惜しみなく協力してくれる人たちがこの会社には多いです。僕の開発もそれで助けられましたし、今度は僕が助けてあげたいです。Hondaはそういうつながりが続いている会社だと思います」

理想の車内空間に少しでも近づけるよう、日々コネクテッド領域の発展に貢献している小池。

自らやるべきことを考えて動かしていくHondaの現場で、これからも“乗っている皆が楽しくなるクルマ”の開発に取り組みます。

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