Africa Twin Stories

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2016CRF1000L Africa Twin

15年の時を経て復活した
Africa TwinのPR戦略

CRF1000L Africa Twin

1988年に発売したAfrica Twin(XRV650)は、パリ-ダカールラリーで培った先進技術を反映したアドベンチャースポーツとして、欧州を中心に高い支持を得ました。その後、排気量を750ccに大きくし2000年まで販売されるロングセラーモデルとなりました。

一方レースにおいてHondaは、1989年のパリ-ダカールラリーで二輪車部門4連覇を達成してから、しばらくこのラリーへの出場を休止しました。その間パリ-ダカールラリーは、2009年から開催地を南米大陸に移していました。

南米はHondaにとって重要な市場です。また本格的なアドベンチャーモデルの販売を求めるユーザーの声も欧米を中心に高まってきました。このような背景もあり、Hondaは2012年に再びダカールラリーへの参戦を表明したのです。

Hondaが24年ぶりに参戦するのは、ダカールラリー2013・ペルー・アルゼンチン・チリ(以下ダカールラリー)でした。Team HRCによって新たに開発したCRF450 RALLYによって挑戦を開始しました。

2013年 ダカールラリー CRF450 RALLYを駆るTeam HRCのエルダー・ロドリゲス選手

2013年 ダカールラリー
CRF450 RALLYを駆るTeam HRCのエルダー・ロドリゲス選手

Hondaはダカールラリーへの参戦にあたり、参戦マシンのノウハウを反映したアドベンチャーモデルの市販車開発も視野に入れていました。2013年ダカールラリー終了後に開発がスタートしたのがCRF1000L Africa Twinでした。

開発チームが新世代にふさわしい先進技術を反映した本格的なアドベンチャーモデルを目指して一切の妥協を廃して取組んでいたその裏で、欧州の現地法人Honda Motor Europe Ltd.(以下HME)は、ファンの獲得を目指し効果的なPR活動を行う戦略を立てました。

まず2014年11月、HMEはEICMA 2014(通称ミラノショー)の出展概要を発表。True Adventureと名付けたプロトタイプを参考出品しました。

この展示車は走り込んだオフロードのイメージに仕上げて展示しましたが、排気量などの情報は一切明らかにしませんでした。確かなデータの公表がないなかでも、この泥まみれの一台のプロトタイプの姿から、Hondaのアドベンチャーモデル登場への期待は高まっていきました。

True Adventure(プロトタイプ)

True Adventure(プロトタイプ)

翌2015年5月、HMEはTrue AdventureプロトタイプをCRF1000L Africa Twinの車名で2015年中に欧州で発売すると発表しました。この時点で車名と発売時期が明らかとなり、Africa Twinの名が復活することをアピールしたのです。いよいよ開発が完了に近づいたという印象も与えました。

2015年7月、HMEは正式発表に先立ち、特別にCRF1000L Africa Twinの技術概要について下記の情報を公開しました。

  • ・エンジンは、水冷・4ストローク・OHC・4バルブ・直列2気筒1000ccであること
  • ・Honda独自技術の二輪車用DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)搭載モデルをラインナップしていること
  • ・ダカールラリーに参戦しているHRCのワークスマシンCRF450 RALLYの技術ノウハウを反映していること

同時に欧州での販売価格と北米や日本でも販売することを明らかにしました。

2015年7月に公開された写真の一部
2015年7月に公開された写真の一部
2015年7月に公開された写真の一部
2015年7月に公開された写真の一部

2015年7月に公開された写真の一部

2015年10月、ようやくHMEはCRF1000L Africa Twinを正式発表。欧州での12月中旬発売開始の情報とあわせて、砂漠やオフロードの走行シーンやパニアケースなど純正アクセサリー装着車の姿を見せたのです。タフな環境での活躍の様子はアドベンチャーファンの期待に十分に応える内容となりました。

公開された写真の一部
公開された写真の一部
公開された写真の一部
公開された写真の一部

2015年10月に公開された写真の一部

なお日本においては、第44回東京モーターショー2015に市販予定車としてCRF1000L Africa Twin を展示。多くの来場者に実際の車両を確認できる機会を提供しました。そして、2016年2月に発表し同月から発売がスタートしました。

CRF1000L Africa Twinが搭載した新技術

CRF1000L Africa Twinは、オフロードとツーリングでの走行性能を高次元でバランスさせるために、徹底的な軽量化に取り組みました。結果、2000年販売モデルのAfrica Twinに比べ、車両重量は2kg軽い232kgを達成しました。

※CRF1000L Africa Twin マニュアルトランスミッションのABS仕様(日本モデル)

2000年 Africa Twin(750cc)

2000年 Africa Twin(750cc)

2016年 CRF1000L Africa Twin<ABS>

2016年 CRF1000L Africa Twin<ABS>

エンジンはマニュアルトランスミッションの6速仕様と、DCTの6速仕様の2タイプを用意し、ライダーの使用用途に合わせたラインナップとしました。

マニュアルトランスミッション仕様
DCT仕様
CRF1000L Africa Twin<DCT>
エンジン透視イメージ(DCT仕様)

マニュアルトランスミッション仕様 

DCT仕様

CRF1000L Africa Twin<DCT>

エンジン透視イメージ(DCT仕様)

軽量で高い剛性を実現したセミダブルクレードルフレーム

軽量で高い剛性を実現したセミダブルクレードルフレーム

CRF1000L Africa Twinは、欧州を中心にアドベンチャーファンの期待を上回る性能でたちまちヒット商品になりました。
新たな市場の創出を目指した1988年の初代Africa Twin(XRV650) の伝統を継承しながらも、新時代にふさわしいAfrica Twinを開発することで、魅力的なアドベンチャーの世界が大きく広がったのです。

CRF1000L Africa Twinの詳細な技術についてはこちら