パワープロダクツ事業戦略
仕事や暮らしに役立つ製品を提供
仕事や暮らしに役立つ
製品を提供
2023年に70周年を迎えたパワープロダクツ事業は、「人々の暮らしを少しでも楽にしたい、豊かにしたい、技術で生活の役に立ちたい」という想いに基づき、作業機械の動力源となる汎用エンジンをさまざまな完成機メーカーへ供給するとともに、自社製品として発電機・除雪機・草刈機・耕うん機などの完成機、また船外機などを開発・製造・販売してきました。
Hondaは、暮らしや仕事に役立つ製品で人々に喜んでいただくため、従来のICE(内燃機関)製品に加えて、電動製品や可搬型バッテリーなど、電動事業領域も拡大し、「移動と暮らしに新価値を提供する」事業へと可能性を広げていきます。
パワープロダクツ事業および
その他の事業の収益ハイライト
上記の営業利益合計に含まれる航空機および航空エンジンの営業利益(億円)
2020年 3月期 |
2021年 3月期 |
2022年 3月期 |
2023年 3月期 |
2024年 3月期 |
-422 | -323 | -337 | -257 | -329 |
「人にも地球にも、もっと優しい」作業の実現へ
建設機械・産業機械業界などにおいても官民一体によるカーボンニュートラルの動きが加速し、環境に配慮された製品のニーズが高まりを見せています。Hondaは、それらの業界の完成機メーカーなど法人顧客向けに電動製品のラインアップを拡充させることで、カーボンニュートラル社会の実現に向けた動きを加速させる役割を担っています。
ガーデン領域では家庭用芝刈機をはじめとする、小型・短時間運転の製品の電動化が加速するとともに、環境規制の高まりを背景に造園業者が使用する乗用芝刈機といった大型製品に対しても電動化ニーズが拡大し、プロワーカーが求める作業性能と作業時間を満たす電動製品の提供が期待されています。
人々の暮らしを技術で支え、豊かさと喜びを提供し続ける
パワープロダクツ事業は、人々の生活のなかに溶け込み、暮らしを支える多様な製品を誕生させてきました。今後も地域特性や変化する市場ニーズを踏まえながら、Hondaの強みである優れた品質と信頼性の高い商品・サービスを提供していきます。
主軸のパワーユニット事業におけるICE製品においては、環境性能の向上を追求し、継続的な進化を図ります。ICE販売でHondaが高いシェアを誇る建機業界においては、法人向けに電動パワーユニット「eGX」の販売と完成機への搭載支援サービスを提供します。さらに販売・サービスのインフラを強化することで、小型建機などの作業機の電動化をグローバルで牽引していきます。またガーデン領域では、米国の造園業者向けに高品質な作業機とサービスを提供し、人手不足に悩む現場の課題解決に貢献していきます。
マリン事業では、船外機市場の高馬力ニーズに対応し、Hondaとして最大出力となる350馬力を発揮する新型船外機を2024年に市場へ投入しました。高出力と静粛性を両立するとともに、クラストップの低燃費を実現し、高い商品性だけでなく環境負荷の低減も実現しています。またボートの大型化や多機能化にともない市場での操船利便性ニーズが高まっており、操船支援など知能化領域でも進化を図っていきます。さらに、継続的に製品ラインアップを強化していく体制を構築するとともに、ボートビルダーとの共創関係を強化していきます。それらの取り組みによって、大型船外機や操船支援技術の競争力を高め、高収益体質を実現することで、将来の電動化や知能化に向けた研究開発を加速させます。
Honda「BF350」
電動事業戦略の方向性
パワープロダクツ事業は、電動化に加えて作業機の自動化技術など、Hondaならではの新しい価値を提供することで、人手不足などの社会課題を解決するとともに、人々の「仕事の質」と「暮らしの質」の向上に貢献していきます。
パワーユニット領域とガーデン領域を電動化の主要ドメインに位置付け、商品力の向上に向けた取り組みを強化することで、業界における電動化をリードしていきます。また、多様なモビリティを有するHondaの強みを活かし、電動化に必要なコア部品を二輪事業と共用化することでコストを削減するなど、事業間のシナジーによる開発・コスト競争力の強化を図っていきます。
パワーユニット領域
パワープロダクツの基幹事業である汎用エンジンで培ったBtoBの既存顧客に加えて、電動化が期待される領域へ積極的にeGXの搭載を拡大させるため、日本・欧州を中心とするパワーユニット供給先企業との連携を強化します。
とくに日本では営業部門と開発部門が連携し、お客様と一体となった搭載支援活動を実施しており、他地域へ水平展開することで、eGXの搭載をさらに拡大していきます。そしてお客様の要望にきめ細やかに応えていくため、幅広いバリエーションをeGXシリーズとして準備していきます。
電動パワーユニット「eGX Concept」
Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー、MPP)
「eGX」「Honda Mobile Power Pack e:」搭載
酒井重工業株式会社 電動ハンドガイドローラ「HV620 evo」
ガーデン領域
米国市場において、造園業者向けに電動製品をフルラインアップ展開し、プロのお客様へも電動製品の拡大を図ります。その実現に向けて、北米の展示会でプロトタイプとして発表した、電動乗用芝刈機や自動芝刈機といった大型モデルについても量産準備のフェーズに移行しました。
2012年より欧州地域を中心に販売を続けているロボット芝刈機については、高齢化・人手不足などの社会課題に対するソリューションの一つと位置付け、継続的な技術進化と営業施策を実施していきます。
さらに、手押し芝刈機や、刈払機などの小型の電動製品に関しては、外部協業先を活用し、効率的な開発・生産スキームで電動化を加速するとともに、協業の枠組みを拡大させ、さらなる顧客の獲得を目指していきます。
電動自動芝刈機 プロトタイプ
電動ロボット芝刈機 Miimo「HRM2500 Live」
マリン領域
「水上を走るもの、水を汚すべからず」という創業者の本田宗一郎の考えに基づき、環境負荷の低い船外機を投入したところから始まったマリン事業も、電動化への挑戦を続けています。2023年には松江市の松江城「堀川遊覧船」において、電動二輪車で実績のある4kWの小型電動モーターと、電源に「Honda Mobile Power Pack e:」を採用した電動推進機の実証実験を実施しました。この実験を通じてマリン事業の広がりを検討し、国内外市場におけるマリン製品の電動化に向けた検証を推進していきます。
松江城堀川遊覧船
小型電動推進機「BE4P」プロトタイプ
環境変化に柔軟に対応するための体質強化
国や地域ごとに多様化するニーズに柔軟に対応するために、タイ、中国、インドで主力製品である汎用エンジンを生産し補完しながら需要地へバランス良く供給すると同時に、最適な製品の市場投入を見極めていきます。
また、二輪事業とのシナジーを活かし、部品の共用化や生産・調達体制の最適化によるコスト削減を推し進めるとともに、外部リソースを効果的に活用し、開発リソースの確保や調達・生産体質の向上を図るなど、開発・生産領域における効率的なオペレーションを追求していきます。