交通安全普及活動の輪 TOPへ
第6回 交通事故をなくしたいとの想いに国境はない 海外での安全運転普及活動
近年の活動事例をピックアップ

交通事故防止への考え方は世界でますます重要な課題として注目されている

世界保健機関(WHO)発表の統計によりますと、世界では交通事故によっておよそ125万人もの方が死亡しています(2013年)。これはきわめて多い数であり、まだまだ交通事故死者数を減らせるとして、WHOは各国にいっそうの交通安全活動を促しています。日本では、2016年に67年ぶりに交通事故死者数が3,000人台にまで減少しましたが、交通事故死傷数で見ると依然としてその数は多く、政府による第10次交通安全基本計画でも交通事故のない社会をめざして、ヒト・クルマ・環境各領域で多面的かつ重層的な計画が策定されました。
また近年、アジア地域の交通事情も変化しています。これまでのような移動手段としての小型バイクだけでなく、趣味性の高い大型バイクも人気を博すなど商品が多様化しており、四輪車の普及も加速しています。これからは、そうした多様化した交通社会の現実に即して、さらにきめ細かく、海外での安全運転普及活動の進化に取り組んでいくことが求められます。

海外の現地事業会社とともに、きめ細かな活動を実施

最も二輪事故が多いアジアを中心に、多様化する交通社会の現実に即し、各国でさまざまな取り組みを実施しています。また、Honda車ユーザーのみならず、安全運転普及の輪を地域社会へと広げ、自国民の安全性を向上させる機運も高まっています。
さらにアジア各国では、子どもや職業訓練校生の交通安全教育にも力を入れ始めており、長期的な視点で交通安全文化の醸成を図っています。たとえば、ベトナムで道路の渡り方、標識の意味など交通安全の知識とクイズを組み合わせた番組を放映したり、インドでは、リニューアルした各地の交通公園にHondaのスタッフを配置し、子どもの交通安全教育などに活用しています。
また、シンガポールでは幼稚園から大学生、さらには高齢者を対象とした安全講話等の安全運転普及活動を積極的に行っており、日本を含むアジアで最も事故率の低い交通社会の実現に貢献しています。
Hondaは、世界ですべての人を対象に交通事故ゼロの社会をめざし、安全運転を普及すべくたゆまない努力を続けています。

インタビュー

さまざまな活動を通じての二輪安全運転活動の普及 タイ

タイの国民の足として普及してきた二輪車は現在安定成長期ながら保有台数は増え続けており、そうしたなかでHondaはさらに安全運転普及活動に力を入れています。
また、近年のタイ国民のGDPは一人当たり約6,000ドルとなり、大型二輪車などの趣味製品が伸びています。そうした状況を受け、A.P.Hondaでは2016年、チェンマイとプーケットの2箇所に新しくセーフティライディングパークをオープンさせました。ここでは、安全運転プログラムが前提でありながらも、長い直線コースなどで大型二輪車の性能に即したトレーニングもできるようになっており、休日などは受講者であふれます。また、二輪車の楽しみの幅を広げるべく、オフロードバイクの走りを楽しめる施設も設置しています。こうした安全運転と趣味のライディングを楽しめる施設運営することで、大型販売店が共同で運営する交通安全センターにそのノウハウを展開し活性化することも視野に入れています。
タイのライダーの受傷要因のひとつが二輪車のヘルメット非装着です。これまでもA.P.Hondaでは、ヘルメット装着を促進するキャンペーンを行ってきましたが、実際に効果に結びつけるために、ゼロアクシデントキャンペーンの一環として「頭のカタイ社会をつくりましょう」とユニークなキャッチフレーズを作成。タイのHondaグループ12社18,000名の社員と、A.P.Hondaの販売店1,200店のスタッフ17,000人の合計35,000人がお手本になってヘルメットを100%かぶる運動を行っています。「どこの場所でも、後席に乗っても、運転しても、乗せてもかぶる」。「遠くても近くてもかぶる」。「被らない人がいたら認めないでください」という3つのルールを守る宣誓を実施して、徹底してヘルメットを装着する機運を高める活動を行っています。
さらに、各県の職業学校と販売店で「ワンディーラー・ワンスクール」を実施し、二輪車の修理と安全運転、エコランなどの活動を支えています。
A.P.Hondaでは今後、効果に結びつけるキャンペーンのほか、KYTやあやとりぃなど、より幅広く高度な安全運転普及活動を行っていく予定です。

大型二輪車の増加に合わせ安全運転普及活動を強化 台湾

1.6人に1台と、二輪車の保有率が世界一と言われる台湾。最近は快速道路が開通して大型二輪車の需要も伸び保有台数が増え続けるなか、Honda Taiwanでは、2015年より安全運転普及活動に着手しました。
日本で指導者養成研修を受講したインストラクターを販売店に配置し、納車前アドバイスを実施しています。また、毎月1回、各地の教習所などを利用し、無料でライディングスクールも実施。受講者を着実に増やし、受講者の事故率が非受講者の3分の1になるなど、実際に交通事故の減少に結びつけています。
その他にツーリングに同行して安全運転マナーを普及するなど、趣味と安全運転講習を兼ねた活動も行っています。ほとんど一年中雨が降らず、海岸沿いに美しい風景を楽しめる道路があり、山もあってワインディングも豊かな台湾はツーリングを楽しむのに最適な環境が整っており、そうした強みを安全運転にも結びつけています。
台湾のなかでも都市部では、ヘルメット装着率も高く、2段階左折をするなど安全意識が比較的高いのですが、地域によっては平気で近道のために逆走をするなどまだまだ安全運転のモラルが低い状況といえます。現在、安全運転指導は大型二輪車が中心ですが、メーカーの枠を超え、他社スクーター保有者の参加も促進し、より多くのライダーのモラルアップをめざしていきます。

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