
SCENE 87スクールゾーン小学校の校門前を通過するところです。







天気のいい午後、あなたはスクールゾーンを走っています。
ちょうど下校時で、歩道には多くの小学生がいます。
右側には小学校の校門があり、こどもを迎えに来た車が
横断歩道の手前に停止しています。
この時、あなたは何に注意しますか?







歩行中の事故が多いのは小学1・2年生!
「14~18時」「下校中」「遊戯中」に多い。
小学校付近のスクールゾーンを車で走行する際に最も注意したいのが、低学年に当たる小学1・2年生の存在です。令和5年の小学生の歩行中死傷者数(3,000人)のうち、1年生(692人)と2年生(731人)が突出して多いからです。低学年のうちは感情のコントロールが未熟で衝動的に道路に飛び出してしまったり、車との距離や速度を正確に判断できなかったりすることが事故増加の原因と考えられています。
事故が多い時間帯は「14~18時」で、通行目的別では「下校中」や「遊戯中」に事故が多発しています。問題場面のような「午後の下校中」は最も事故の危険性が高い状況と言えます。
スクールゾーンはもちろん、住宅街でも下校中や遊戯中のこどもと遭遇する機会があるため、速度を落としてこどもの存在とその動きに十分注意するようにしましょう。
(資料=交通事故総合分析センター)

前方不注意(脇見)による事故が多い!
同乗者との会話も脇見の原因に。問題の場面を見たとき、歩道でふざけ合うこどもたちが気になった人は多いでしょう。ただ、そちらにばかり注意を配ってしまうと、右側のこどもに気づくのが遅れたり、見落としたりしてしまいます。一点を注視してしまう点では、これも「脇見」になります。令和5年の四輪車による人的要因別死亡事故件数(2,021件)を見ると、「発見の遅れ(1,450件)」が多くを占め、そのうち脇見に相当する「前方不注意」が873件に上っています。
前方不注意(脇見)には「内在的」と「外在的」なものがあり、内在的なものには、同乗者との会話や疲労や睡眠不足による居眠り、外在的なものには景色に見とれたり、スマホやナビの操作をしたりすることが含まれます。
このように脇見は多種多様で、本人が脇見をしている認識がないことも少なくありません。たとえ前方を見ていても、運転とは別のことを考えていたり、ボーッと漫然運転をしていたりすれば、それも危険な脇見と同じなので注意が必要です。
(資料=交通事故総合分析センター)

横断歩道では「歩行者優先」の原則を忘れず、
歩行者等が確認できない場合、徐行する。横断歩道や自転車横断帯では「歩行者優先」。歩行者等を保護するため、主に以下の通行方法が道交法で規定されています。
①歩行者等の有無を確認できなければ、横断歩道等の停止位置で止まれるような速度で進行する。
②横断しようとしている、あるいは横断中の歩行者等がいるときは必ず一時停止をして、その通行を妨げないようにする。
③横断歩道等の手前30mは追い越しや追い抜きが禁止。
問題の場面をよく見ると、停止車両のガラス越しに小学生の黄色い帽子がわずかに見えていましたが、まったく見えないことが多いものです。つまり、上記の①に該当するので、停止位置で止まれるように徐行し、歩行者等がいないことを確認してから通過する必要があります。
なお、横断歩道上はもちろん、横断歩道や自転車横断帯から前後5m以内は駐停車禁止です。たとえ短時間でも、止めた車で歩行者等が見えづらくなり危険なので、絶対に止めないようにしましょう。


こどもからの視点上は横断歩道を渡ろうとしているこどもから見たものです。横断歩道は歩行者優先で、そこで車が停止すれば安心して渡ってしまいがちです。しかし本当に自分のために車が止まったのか、しっかり確認しないと危険です。今回のように前方の停止車両によって一旦停止した可能性もあり、その場合、対向車が通過した途端に動き出すこともあるからです。
そこで、ドライバーの目を見て意思を確認する「アイコンタクト」を行います。自分のために停止したのが確認できても、すぐ渡ってはいけません。止まった車の後ろからバイクや自転車が通過してきたり、今回のように左側から車が止まらずに通過してきたりする可能性があります。車の陰から横断する際はあなたの姿が見えづらくなっているので、走らずに横断歩道の半分(対向車線の手前)まで進んでから一度止まり、対向車の停止を確認してから渡るようにしましょう。
