SCENE 68霧が発生した山道霧が出た山道をバイクで走っています。
あなたは郊外の山道をバイクで走っています。
霧が出てきて、標高が高くなるにつれて濃くなってきました。
下り坂に差し掛かっていて、対向車とすれ違おうとしています。
この時、あなたは何に注意しますか?
山道では霧が発生したり、雨も降りやすいので、事前にシールドの撥水処理や曇り止め対策を!
冷え込んだ朝や標高の高い山間部などでは、水分を含んだ暖かい空気が冷やされて霧が発生しやすくなります。また、川や湖、海、盆地など空気中の水分が多く含まれる場所でも霧は発生しやすくなります。そのような場所を走る際は、事前に天気予報や交通情報をチェックし、濃霧に関する注意報・警報などが出ていないか確認しましょう。もし濃霧注意報などが出ている場合は、出発時間を見直したりルートを変更することも大切です。
霧の発生時は雨も降りやすく、霧や雨によってヘルメットのシールドが濡れたり、湿度も高く気温が低いことも多いためシールドの内側も曇りやすくなり視界が悪化します。急な天候の変化などに備えて、出発前にシールドに撥水剤や曇り止めを塗布しておくことも大切です。
なお、平成30年に起きた交通事故の死亡事故発生率を天候別で見ると、晴と雨と雪が0.7%、曇が0.9%なのに対し、霧は3.6%と約4〜5倍も多くなっています。また、霧での死亡事故を道路形状別で見ると、単路の「カーブ・屈折」が29%ともっとも多くなっており、霧が発生した際は、今回のようなカーブで重大事故が多く発生していることがわかります。
(資料=交通事故総合分析センター)
霧が出たらライトを点灯して、
周囲に自分の存在を知らせる。
四輪車の中には、霧が発生しても、日中で明るいとライトを点けなかったり、スモールライトで走っている車両も見かけますが、周囲の車から見落とされたり発見が遅れる危険性があるので、必ずヘッドライトやフォグランプを点けることが大切です。バイクの場合、平成10年4月1日以降に製造されたものは、基本的に常時ライトが点灯する構造になっていますが、それ以前に製造されたバイクはそのような構造になっていない車種もあるので、忘れずにヘッドライトを点けるようにしましょう。車体が小さいバイクは、対向車や後続車から見落とされる危険性が高くなるので、霧に限らず、常にライトを点けておくことが大切です。ライトはロービームが基本です。霧の際にハイビームにすると、光が霧に乱反射してかえって見づらくなるからです。
なお、四輪車にはリヤフォグランプが付いている車もあり、霧や豪雨時の被視認性が高くなります(下記「JAFユーザーテスト」参照)。ただし、リヤフォグランプはブレーキランプと同じ明るさなので、晴天時などに使うと後続車の迷惑になるので注意が必要です。
【JAFユーザーテスト】
濃霧時はセンターラインなどを目安にして、「見通せる範囲内で止まれる速度」を厳守!
霧が発生すると視界が悪化し、道路の状況が見えづらくなるので、ガードレールやセンターラインを目安に走るようにします。今回のように前方にライトを点灯して安全な速度で走る車があれば、その車のテールランプを目印にしながら安全な車間距離を保って走るのもいいでしょう。ただ、問題場面のように、見通せるガードレールやセンターラインだけを頼りに走ると、今回のように道路がカーブしていることに気づくのが遅れる危険性があります。今回は道路左側の黄色い警戒標識(右方屈曲あり)から、道路が右にカーブしていることが予測できました。また、ライトを点けた対向車が右側から向かってきていたので、そこからも道路が右にカーブしていることがわかります。ただし、手がかりがないことも多いので、カーブを走るときの基本である「見通せる範囲内で停止できる速度で走る」ことが大切です。
なお、霧が濃い場合、無理に走り続けず、駐車場や非常駐車帯など安全な場所にバイクを止めて、霧が晴れるのも待つようにします。高速道路やバイパスなど、すぐに停車できない場合は、道路の左寄りを十分速度を落として走るようにしましょう。ハザードランプの装備があれば、停止できる場所までハザードランプを点灯しながら走るようにすれば、より安全です。
トラックからの視点
右は大型トラックが左折する際、運転席から左側を見たものです。大型トラックは車高が高く助手席付近の死角が大きいため、通常のサイドミラーに加えて、助手席の側方が確認できる下向きのサイドアンダーミラーも付いています。また、このように助手席のドア下部に安全確認用の窓が付いている車もあります。これらは左折時の巻き込み事故を避ける重要な安全装備なので、左折する際は十分活用して、自転車やバイクが側方にいないか、しっかり確認してから曲がるようにしましょう。なお、安全確認用の窓を物で塞いで見えなくすることは、安全上問題があるのでやめましょう。