SCENE 63駅のロータリー雨天時、駅に夫を迎えに来ました。
雨天時、夫を迎えに車で駅まで来ています。駅前のロータリーに入り、駐車スペースを探していると、横断歩道の左側に手を振る夫の姿が見えたので、夫の近くまで車を進めようと思います。
この時、あなたは何に注意しますか?
雨天時のロータリーは危険がいっぱい。
歩行者の不用意な飛び出しに注意!
車両の間から女子高校生が飛び出してきました。問題の場面で左側の停止車両越しに見える人の頭を見落とさず、飛び出してくる危険性を予測する必要があります。とくに傘を持っていないと、雨に濡れたくない心理が働き、車が近づいていても無理して横断する危険があります。
一方、駅に人を迎えに来たドライバーも、車を止めるスペースや乗せる人を探すことに意識が集中しがちです。とくに運転に慣れていないと、止めやすいスペースを探したり、運転操作で余裕がなくなり、歩行者への注意が不足してしまいます。
雨天時のロータリーでは、お互いの注意不足で事故が起きやすくなる点を忘れず、いつでも止まれるように徐行しながら周囲を注意して走ることが大切です。
雨の夜間はドライバーの視認性が低下。
雨天時は「人対車両」の事故が増加!
雨天時はガラスの水滴で見えづらくなるうえ、店舗の照明や路面の反射もあり、晴天時より視認性が大幅に低下します。また、ピラー(柱)の近くにはワイパーの吹き残しができて、左右から出てくる歩行者などがさらに見えづらくなります。日頃から窓をきれいにし、水滴が付きづらいように撥水剤を塗っておくといいでしょう。また、横断歩道に近づく際など、お互いの位置やタイミングしだいで、ピラーの死角に歩行者が入り続けてしまう危険もあるので、頭を前後や左右に動かすなどして、死角に隠れた歩行者を見落とさないようにすることも大切です。
なお、平成29年に東京都内で起きた交通事故による死者数を天候別で比較したところ、雨天時は「人対車両」の事故による死者数が増加しています(グラフ参照)。
車の出入りが多いロータリーでは、
徐行しながら幅広く注意を配る!
駅前のロータリーはタクシー乗り場やバス停もあるため、一般車の乗り入れを禁止していたり、乗り入れができても、一般車が止められるスペースが限られることが多いものです。朝晩の通勤・通学時間帯は限られたスペースに車が集中し、止める車と出る車が入り乱れることが多くなります。
とくに雨天時は送迎される人が濡れないよう、駅に近いところに車を止めようとするドライバーが多く、車両同士の接触事故なども起きやすくなります。停止した車から同乗者が慌てて降りてきたり、人を降ろした車が急に動き出すこともあるので、ロータリーに入ったら徐行しながら周囲の車や人の動きに十分注意することが大切です。運転に慣れていない場合、混雑するスペースは避けて止めることも考えましょう。
なお、自分が車で人を送迎する際も、同乗者が降りる際にドライバーが周囲に注意を払うことも大切ですし、乗せ降ろしをして車を発進させる際も、慌てず周囲の安全をしっかり確認したうえで動き出すことも大切です。
女子高校生からの視点
上の絵は車の陰から道路を渡ろうとする女子高校生から見たものです。車のライトは明るいため、ドライバーは自分の存在を確認していると思いがちですが、雨天時はドライバーの視認性が低下するうえ、車両が死角になって見落とされている危険性が高いので、不用意に飛び出すのは危険です。
平成29年に起きた歩行者(第1当事者※)の交通事故件数は1,258件あり、それを違反別で見ると「飛び出し」が341件(約27%)ともっとも多くなっています。また、横断違反のうち、今回のような「横断歩道以外(114件)」と「駐車車両の直前後(47件)」を合わせると、161件(約13%)に上ります。
(資料=交通事故総合分析センター)
※事故の当事者の中で過失が重い順に「第1当事者」、「第2当事者」となる。過失が同程度の場合、けがの程度が軽いほうが第1当事者となる。