SCENE 59夜間の住宅街仕事が終わり、クルマで帰宅しています。
あなたは夜間、住宅街を車で帰宅しています。歩道やセンターラインのない狭い道路で、道路の左右には歩行者の姿が見えます。トラックとすれ違うため、車を少し左側に寄せて通過しようと思います。この時、あなたは何に注意しますか?
平成29年の「人対車両」の事故のうち、
対面通行中の事故は3,017件!
平成29年の「人対車両」の事故を調べると、「横断中(2万9,236件)」が圧倒的に多いものの、「対面通行中」の事故も3,017件発生しています。「対面通行中」のうち7割が「車道(1,524件)」と「路側帯(417件)」で起きています(グラフ参照)。
今回のように路側帯があっても、電柱や路上に止められた自転車などを避けるため、歩行者が車道を歩かざるを得ないケースもあります。歩道がない狭い道路を走る際は、歩行者の存在とその動きに十分注意することが大切です。
(資料=交通事故総合分析センター)
夜間は視認性が低下。昼間より速度を抑えて、
歩行者や自転車の見落としに注意!
夜間は視認性が低下して、歩行者などの発見が遅れがちです。とくに今回の高齢者のように、黒や紺など暗めの色の服を着た歩行者の場合、暗がりと同化してしまうため、かなり接近するまで認識できません。
通勤等でいつも走り慣れている道路の場合、夜間も昼間と同じ感覚で走りがちです。あらかじめ視認性が低いことを認識して、昼間より速度を落として走りましょう。
また、夕方から夜間は通勤や通学で自転車を使う人も多く、なかにはライトを点けずに右側通行する自転車も存在します。自転車は速度が出ているぶん接近するのも早く、少しでも早く発見できることが大切です。速度を落とすとともに、対向車や歩行者などがいない場合はハイビーム(上向き)を積極的に使い、適宜ロービーム(下向き)に切り替えながら運転するようにしましょう(ライトの正しい使い方とハイビームの有効性は下記サイトを参照)。
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対向車とすれ違う際は、
車の陰から横断する歩行者にも注意!
「人対車両」の事故では、「横断歩道横断中」や「その他横断中」など、道路横断中の事故が約58%と全体の6割近くを占めます。このような狭い道では、歩行者の不用意な横断も起こりがちなので十分注意しておきます。
とくに高齢歩行者の場合は、歩く速度が遅かったり、車の速度や距離を見誤ることで危険性が高くなります。高齢者の横断中死者数を法令違反別で調べたところ、「走行車両の直前・直後横断」違反が42%と最も多くなっています(平成27年)。
また、夜間対向車とすれ違う場合、対向車のライトで眩惑され、対向車の前方や後方を横断する歩行者が見えづらくなります(下記イラスト参照)。前方だけでなく、道路の左右にも目を配り、横断しそうな歩行者の動静に注意するとともに、対向車とすれ違う際は速度を抑えて通過することも大切です。
(資料=交通事故総合分析センター)
高齢歩行者からの視点グラフのように平成29年中の交通事故死者数(3,694人)のうち、65歳以上の高齢者は2,020人に上り、時間帯で見ると「16〜18時(309人)」と「18〜20時(311人)」と夕方から夜間の時間帯が多く、全体の3割を占めます。高齢者の死者数のうち、最も多いのは「歩行中」で972人(48%)に上ります。
夜間は視認性が低下するため、ドライバーから発見されにくく、見落とされる危険性を考えておきます。このように電柱があったり、路肩に自転車などがあると、これを避けようと車道に出てしまいますが、見落とされる危険性を考えて、いったん車が通過するのを待って車道に出るようにしましょう。
また、夜間はできるだけ白色や黄色などの明るい色の服を着たり、反射材を身に付けて、ドライバーからの被視認性を高くすることが大切です(下記「安全ポイント」参照)。
(資料=交通事故総合分析センター)
安全ポイント
夜間の外出時には、反射材の活用も効果的です。暗い服装の場合は15m、反射材を付けた場合は133m離れていても見えるという調査結果もあります。
洋服、持ち物(バッグ)、履物、つえ、自転車、などに目立つ工夫をしましょう。