ヨーロッパへ行きアウトバーンを走ると、追い越し車線を走る遅いクルマの少なさからモータリゼーションの進化を実感する。わざわざアウトバーンを走らずとも、誰もが身近に感じる進化の象徴が「ラウンドアバウト」だろう。いわゆる円形交差点である。
これは3本以上の道路の接点を環状型にした交差点で、基本的に信号機はない。環状内は一方通行(右側通行の場合は半時計回り)となっており、環状内を走行している車がないか、あるいは走行していても、自分が進入することで走行中のクルマを停止させるようなタイミングでなければ、自由に進入し、好きな方向へ自由に出て行くことができる。
つまり環状型は、構造的に事故が発生しにくい交差点といえる。しかし、日本人がヨーロッパへ行くと、ラウンドアバウトに戸惑うケースが少なくない。なぜなら、信号がないということは、自分の判断で進入するタイミングを決めなければならないからである。信号機に慣れている日本人にとっては、これが意外に難しいのである。だが、それはちょっとした慣れの問題で、慣れてしまえば、通常の交差点で右折するタイミングよりも簡単でかつ安全に通行できるようになる。
もちろん、物事には裏と表があり、ラウンドアバウトにも交通量が極めて多い場所や時間帯には渋滞を引き起こしやすいというデメリットもある。そのラウンドアバウトがこの秋、日本にも本格的に導入された。9月1日に改正道交法が施行され、新たに7都府県15カ所で運用が始まったのである。ラウンドアバウトが日本でどのように普及するのか。日本のモータリゼーションがどのレベルにあるのか、問われている。