レポート報告

夢を届けるASIMOに、子どもたちから希望の声が

栃木県さくら市にある喜連川小学校。この地域では東日本大震災時に、近くのお丸山公園で土砂災害が発生し、今もなお、立ち入り禁止の状態が続いているなど、深い傷跡が残る場所です。また、ここでは震災後に福島県から避難してきた子どもたちも学んでいます。今回、その喜連川小学校の全校生徒約500人を対象とした「ASIMO特別授業」を7月16日(木)に開催。その様子をご紹介します。

授業風景 ASIMOの登場にみんなドキドキ

授業が始まると、舞台袖からASIMOがてくてく歩いて登場。普段は目にすることがない二足歩行ロボットを目の前にして、子どもたちは緊張している様子でした。授業の前半では、ASIMOの自己紹介や研究開発の過程について、映像や紙芝居を使った説明がありました。ASIMOの研究開発は失敗の繰り返し。失敗して、またチャレンジ、そしてまた失敗…長い間、それの繰り返しでした。それでもあきらめずに努力を続けた結果、ASIMOが誕生!あきらめずにいられた理由は、いつか人とロボットが一緒に生活できることを願い、“人の役に立つロボットをつくりたい!”という夢を持っていたから。このASIMO特別授業には、夢を持ち、失敗してもあきらめない大人になって欲しいという、Hondaからのメッセージが込められています。

先生が乗っているのはなんだろう!?

授業後半では、ASIMOが自分でバランスをとって歩いていることも紹介。そして、ASIMOなどの研究で生まれたバランス制御技術を活かした「UNI-CUB」も登場しました。これは、進みたい方向に体を傾けるだけで自由に進むことが出来る、新しい乗り物です。「UNI-CUB」に乗って、先生が登場するシーンでは、子どもたちは大きな笑顔を浮かべて、先生の動きを目で追っていました。その後、ASIMOは子どもたちにダンスを披露したり、サッカーボールを蹴ったり、一緒に手話をしたり…次第に子どもたちはASIMOの動きに夢中になっていき、授業の最後にASIMOが手を振ると、みんな名残惜しそうに手を振りかえしていました。

子どもたちの感想

ASIMO特別授業が終わると、みんなからさまざまな感想を聞くことができました。Hondaがあきらめずに続けたロボット開発に関心したり、一緒に遊びたいなど、たくさんの声が。なかには、地震や台風のときにASIMOに活躍してもらいたいなど、人の役に立ってほしいという希望も聞くことができました。そんな子どもたちの素直な感想をご紹介します。

先生たちにも
授業の感想を聞いてみました

「今回の授業は、近代科学の先端技術を自分の目で見て、その技術が想像以上にすごいんだ!ということを、ASIMOから感じてもらうことを目的としています。不可能だと思っていることでも、夢を持ち続けていれば、いつか可能になる。そういうことを子どもたちは理解してくれたと思います。また、ASIMOだけではなく、Hondaのスタッフが働く姿を見て、職業観を養うこともできたのではないかと思います。私が小さい頃は、鉄腕アトムの世界が夢でした。ASIMOを見ていると、その世界が遠い未来ではなく、近未来であることに思えます。今日は、その世界を垣間見ることができました。もしかしたら、私自信が一番、ASIMOに感動していたのかもしれませんね(笑)。また、このように今でも被災地に目を向けて、自分たちの技術を使って現地で活動しているHondaの姿勢は、我々も学ぶべきことだと思いました」

「UNI-CUBに乗らせていただきました。これはおもしろいです!最初は思いのほか揺れたので、バランスを取ることに集中しました。でも慣れてしまうと簡単!ついついスピードを出してみたくなりますね(笑)」

「UNI-CUBに乗りました。最初は乗れるかどうか不安でしたが、コツをつかむと、すぐに乗れるようになりました。前後だけでなく、真横にもスーッと移動できるなんて驚きです。本番は少し緊張しました。『和氣先生が乗れるなら、僕たちにも乗れる!』って、子どもたちが自信を持ったんじゃないかな(笑)」

「ASIMOが蹴ったサッカーボールを受け止める役でプログラムに参加しました。ASIMOの右足から勢いよく飛んできたボールは、スピードがあって、受けた時に強い衝撃ありましたね。私にとっても、いい経験になりました」

Hondaのスタッフから 本田技研工業株式会社 埼玉製作所 高橋 亜美

「私は、東日本大震災後に始まったこのプログラムに、以前から興味を持っていました。震災当時、現地に赴いて手伝ったり、貢献できなかったことを、ずっと後悔していたからです。そんな時に社内でスタッフを募集していることを知り、思い切って応募してみました。偶然ですが、私の出身地はこの近くなんです。まさかこのような形で、再び地元の学校と関われるとは思いもしなかったので、本当に嬉しくて、この機会を楽しみにしていました。地元開催ということもあり、力が入ります(笑) ASIMOは、人の役に立つことを夢見て開発されたロボットです。Hondaの研究者たちは、多くの失敗を繰り返しながら、ASIMOを完成させました。私はこの授業を通じて、被災地の子どもたちなどに、夢を持つこと、失敗してもあきらめずにチャレンジする勇気を伝えていきたいと思っています」

東日本大震災後の2011年6月よりスタートした「ASIMO特別授業」。これからもHondaはこのような活動を通して、被災地の子どもたちを応援していきます。

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