きみの経験が、夢になる。

きみの経験が、夢になる。

東日本大震災で被災した地域の小・中学生を対象に、
明日への「希望」をふくらませ、「夢」をあきらめない気持ちを伝えたい…
そんな想いからHondaの「ASIMO特別授業」は始まりました。

5年間の足跡

たくさんの子どもたちが参加してくれました。

2011年6月から2016年9月までの間、
授業はこれまでに約21,000人の子どもたちが参加してくれました。
これからも、各県の教育委員会と連携し、
活動範囲を広げて行く予定です。

MAP

ASIMOが行く

宮城県 女川町立女川小学校

宮城県女川町立女川小学校でASIMO特別授業を行いました。

宮城県 牡鹿郡 女川町の今

駅からゆるやかな坂を登ると女川小学校が見えてきます。教室からは子どもたちの楽しげな声が。

震災から2年が経った2013年3月。女川第一小学校、女川第二小学校、女川第四小学校の3校が合併して、女川小学校となりました。海も山も川も、豊かな自然が広がる女川の地で育った子どもたちは、元気いっぱいで体を動かすことが大好き。和太鼓演奏や芸術活動も盛んで、心もすくすく成長しています。
東日本大震災により、女川町は町全体が甚大な津波の被害にみまわれました。震災当初は通学路が瓦礫に埋もれ、かろうじて道がある状態でしたが、現在は整備された道路が続いています。女川駅をスタート地点に、駅前には商店街、高台には住宅街と、少しずつ新たな町が生まれつつあります。一方でたくさんの仮設住宅と、新築の住居エリアなど未だ開発中の場所も多く見受けられます。まだまだ道半ばではありますが、明るい復興の兆しが感じられました。

2015年3月21日にオープンした女川駅舎。建築家の坂茂さんが設計し、ウミネコが羽ばたく様子をイメージした曲線を描く大屋根が特徴です。
駅の2階から見た女川の町。新しくできた商業施設「シーパルピア女川」は観光客やゆっくりと散歩を楽しむ地元のお年寄りのみなさんで賑わっていました。

ASIMOがやってきた!授業の様子をご紹介

ASIMOも、僕も、成長中。
ASIMOが誕生してから現在に至るまで、たくさんの失敗と試行錯誤がありました。子どもたちは、ASIMOの成長記録を真剣に聞き入ります。ASIMOが、走る、声を聞き分ける、お茶を運ぶ、ボールを蹴る、そして後ろ歩きをする。得意技を披露するたび、子どもたちは首をぐーっと伸ばして、一生懸命その姿を目で追いかけていました。ときどき「頑張れー!」と声援を送る子どもたち。
自分の成長と重ね合わせて見つめていたのかもしれません。

授業を終えた子どもたちの声

ASIMOとはじめましての子も、5年前に会ったことがある子も。
「今日のASIMO特別授業はどうだった?」感想を聞いてみました。

サッカーが大好き。
私は右利きだから
右足でボールを蹴るけれど、
ASIMOは左足でボールを蹴っていて
すごいと思いました。

5年前よりも、ASIMOの動きが
スムーズになったと思います。
ASIMOも成長しているんだな
と感じました。

もしもASIMOが
クラスメイトだったら…。
一緒に算数の授業を受けたい。
計算問題、勝てるかな?

町のバスケットボールチームで
練習を頑張っています。
いつかASIMOと、
バスケットで対戦したいです。
そのときは、負けません!

おもちゃを分解して、組み立て直し
たりしてものづくりに興味があります。
いつかASIMOみたいなロボットを
作れたらすごいと思います。

校長先生にお話を伺いました

ASIMOに興味津々な子どもたち。
私とASIMOの出会いは、5年前に女川第一小学校で教頭を務めていたときです。女川第二小学校で行われた特別授業を見学させてもらい、子どもたちが前のめりに話を聞く姿から、ASIMOに対する関心の高さを感じ取ったことを覚えています。もっと多くの女川の子どもたちにASIMOを見せてあげたい。だから今回のお話をいただいたときは、嬉しかったですね。
経験が夢や希望に繋がる。
震災当初の高学年生は、自衛隊、消防隊や警察の方々の命がけの活躍を目の当たりにし、「みんなの役に立つ大人になりたい」としきりに夢を語ってくれました。「大工になって家を建ててあげたい」と明確な目標を持つ子もいました。経験が夢や希望に繋がるんです。だから、私たち教師にとって、「子どもたちに様々な経験をさせて、世界を広げること」が大切な役目だと思います。ASIMO特別授業も、普段の生活では経験することができない、新しい世界のひとつ。志を持って一生懸命働くHondaのスタッフや開発者の姿から、ロボットやITなど新しい世界と出会い、夢や志をもつきっかけになればと思います。

ASIMO開発者からのメッセージ

大切なのは、諦めない気持ち。
最初は歩くだけだったASIMO。そこから、人間と一緒に暮らせることを目指して試行錯誤の毎日を送っています。ASIMOがいろいろなことが出来るようになるまでは、決して平坦な道ではありませんでした。でも、いつでもピンチを乗り越えることができたのは、チームのみんなと諦めずにとことん努力したから。ロボットというひとつの分野だけでなく、動物の観察やゲームの世界を勉強するなど、たくさんの知恵を持ち寄ってアイデアを絞り出しています。みんなで同じ目標に向けて気持ちをひとつにすると、何かしら解決の糸口が見つかりました。

本田技術研究所 基礎技術研究センター

杉山謙一郎

2002年
株式会社 本田技術研究所入社
基礎技術研究センター配属
以降一貫してヒューマノイドロボットの知能化研究に携わる
ASIMOのどのような開発に
携わっているか

ロボットが作業できるようになるための、知能化研究・制御機能開発に携わっています。

きみが好きなことは、なんだろう?
女川小学校のみんなには、ぜひたくさんのことを経験してほしい。音楽だって、サッカーだって、もちろんロボット作りだってなんだっていい。さまざまな経験の中から、自分が好きなもの、得意なものが見つかると、それがいつしか夢になると思います。

子どもたちが夢を抱くその日まで。いま、大人ができること。

経験の幅と夢は比例する。
子どもたちの夢をふくらませるために、私たち大人は何ができるでしょう?私自身、子を持つ親として、子どもたちがいろいろな経験を重ねることが難しい社会になっているのではないかと感じています。インターネットのおかげで便利な暮らしが実現しましたが、その分苦労して何かを得る経験が少なくなりました。仮想社会が発達し、自然の中で遊ぶ機会も減りました。子ども同士で日が暮れるまで遊ぶ光景も見かけなくなりました。本来、子どもは多種多様な経験の中から得意なものを見つけ、自信をつけて成長していくと思いますが、幼少期の経験が乏しいと、自分自身の可能性を見出すことは難しいと感じています。
経験から見つけた、自信のカケラ。
私の幼少期は、成績も普通、運動神経も普通、遊びに夢中ないたって普通の子どもでした。毎日、友達と球技や虫取りなどをして、帰りが遅くなって親に怒られるほど。なかでも鉄道が好きで、模型作りに没頭しました。今振り返ると、細部までこだわって模型を作っているうちに得意になり、やがて物づくりが好きになったのだと思います。その結果、将来は物づくりの仕事をしてみたいと思うように。さまざまな遊びを経験するなかで、好きなこと、やりたいことを見つけることができたのです。
夢にはいろんなカタチがあっていい。
どんな子どもにも必ず長所があります。ただ、それに気がついていないだけだと思います。大人は、学業や運動の成績といった、見える化しやすい尺度で子どもを見てしまう。すると子どもたちは、その小さな尺度の中だけで自分の可能性を測ってしまい、自分にはこれ以上できないと限界を決めつけてしまうのです。また、将来の夢=職業という考えに囚われて自由な発想で夢をふくらますことができない子もいるでしょう。夢や目標は比べられるものではなく、自分らしい価値観と成長の軌跡のなかで見つけていくもの。夢にはいろいろなカタチがあるはずです。
私たち大人ができること。それは、子どもたちが希望や自信を見つけられるよう、様々な経験を提供することだと思います。今回のASIMO特別授業が、子どもたちの思い出に残り、未来に思いを馳せる経験のひとつになれば、嬉しいです。

Hondaが届けたい想い

本田技術工業株式会社 日本本部
営業企画部 主幹
仲敏彦
未来を変える、子どもの発想力。
震災当時、岩手のHondaの販売店で働いていた私は、お客さまの元にガソリンを届けようと被災地に入りました。そして、その変わり果てた町の姿に愕然としました。大人の私でも動揺を隠せなかったのだから、子どもたちはどれほどの傷を負っただろうか‥と思うと、胸が詰まる思いです。あの日起きた出来事を忘れることはできないけれど、ASIMO特別授業を通して、未来が楽しみになるような期待や希望を伝えたいと思いました。
Hondaは夢を大切にする会社です。昔、Hondaでは「小さな子どもは道に落ちた石ころひとつでいろんな遊びを思いつく。そんな発想力を大事にしよう」という話がありました。子どものような好奇心に満ちた発想力が、夢になり、未来を変えると信じています。震災を経験した子どもたちにも、そんな発想力の素晴らしさ、夢が持つパワーを知ってほしいと思います。

Hondaが届けたい想い

本社 社会活動推進室 室長
宮普@光明
夢のチカラを伝えたい
“The Power of Dreams”をスローガンに掲げるHondaは、いつの時代も夢のチカラを原動力に、歩みつづけてきました。今回ご紹介した「ASIMO特別授業」や11月26日(土)に最終審査会を迎える「子どもアイディアコンテスト」など、次世代を育成する分野でも夢をテーマにした取り組みに力を注いでいます。
近ごろ教育現場で「夢を持てない子どもたちが増えている」というお話しを伺うことが増えました。とても残念なことです。夢は大きなパワーになるからです。もちろん、夢の実現に向けて努力するなかで、何度も何度も失敗を繰り返し、へこんで、時には立ち上がれないほどの苦しい挫折を味わうこともあるでしょう。しかし、夢はいつも限界の先にあるのです。あきらめずに努力してほしいです。
「ASIMO特別授業」ではどうしたら夢を持つことが出来るのか、ASIMOの開発者のエピソードを通じてわかりやすくお伝えしてきました。夢を実現するために一生懸命に努力したことは、必ず自分の成長に繋がります。もしこの活動をキッカケに、子どもたちが夢を持ってくれたなら、それほど嬉しいことはありません。夢のチカラを知るHondaだからこそ、子どもたちの夢を応援できると信じています。

これからも「Hondaの社会活動」では、
子どもたちの育成支援活動を始め、地球環境を守る活動、交通安全の普及活動など、
幅広い分野でさまざまな取り組みを展開してまいります。

合言葉は "Together for Tomorrow"

このロゴは、みんなで力を合わせ、夢のある明日の社会づくりをめざすというHondaの社会活動の考え方を表しています。

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