2021年11月、
両国国技館で開催された高専ロボコン
2021全国大会。
競技課題は「超絶機巧(すごロボ)」。
魅力的なロボットが次々と登場する中、
Honda賞を受賞したのが、
鈴鹿工業高等専門学校(以下、鈴鹿工業高
専)Aチームの「プロジェクトS」だ。
2台の傑作ロボット誕生の
舞台裏と
彼らのロボコンに懸ける
情熱に迫った!
Hondaは次世代を担うエンジニアたちのモノづくりへの情熱とチャレンジを全力で応援し、2002年から特別協賛。
2台の全自動制御ロボット
による精密な発射技術と
美しくなめらかな拾い上げる
動作で、ペットボトルを
次々とゴミ箱へ投入!
どんなペットボトルも
逃さず検出!
正確に、そして滑らかに、ペットボトルをゴミ箱まで運ぶ!
ロボットだけじゃない!
「細部のこだわり」
“すごロボ”を目指し、
開発に明け暮れた
鈴鹿高専Aチームの
裏側とは?
「4月の大会テーマ発表後、2日間でアイデアを出し、その後も開発グループ分けや担当決めもスピーディーに行いました」と語るのはリーダーの富永さん。
ロボットには「自動制御」の搭載を決めたが、実はこれは鈴鹿高専の伝統だ。「約8年前に、ある生徒が『自動制御に注力したい』と技術を蓄積してくれたんです。今では我が校を象徴する技術になっています」と顧問の打田正樹先生。伝統の技術を継承した2台で全国大会優勝を目指すことに決めた。
担当決め、ロボットの試作とスムーズに進むかに見えたが、新たな課題、トラブル……。困難にぶつかる度に、メンバーで知恵を出し合い、粘り強く突破口を模索した。
コロナ禍の活動制限で全員集合が難しい中、結束力低下を防ぐために特に富永さんが心がけたのは、「メンバーと頻繁に連絡をとること」。彼の誠実なコミュニケーションは、メンバーからの信頼を集め、チームの絆を固いものにした。射出機は7月下旬に原型完成、回収機は9月に形が確定。まずは地方大会へ向けて、チームは一丸となり調整を重ねていった。
自体の高い剛性と強度。それを実現す
るために長時間におよぶ実験を繰り返
し、ブラッシュアップを図り続けた。
ときに機体をイチから作り直し、納得のいくものを追求し続ける。ストイックな製作過程で油田崚市さんが心掛けていたのは、「できることとできないことを見極める」という先輩からのアドバイス。大会までの時間は限られている。製作を確実に進めるために、この意識はエンジニアにとって必須のものだ。
そして、同じく重視したのは現場での安全管理。安全管理担当の岩瀬真大さんは「作業中の怪我の防止はもちろん、不織布マスク着用、作業中の密を回避するなどのコロナ対策にも徹底して取り組みました」と話す。あらゆる面で万全を期して挑んだオンラインでの地方大会では、練習の成果を存分に発揮。見事、全国大会への切符を手に入れた!
両国での予期せぬトラブルも、
迅速にカバー!
最後まであきらめない!
その想いが最高の
パフォーマンスを引き出した
ロボコンが、
夢中になる楽しさを教えてくれた
2021年の全国大会参加経験がメンバーにもたらしたものは、技術力や能力のアップだけではない。ロボットの完成度をいかに高めるかに没頭した放課後。課題に向かい仲間同士で考え、実験を繰り返し、少しずつ、でも着実に一歩を進めてきた。その過程で彼らが学んだのは、仲間とともに全力で作りたいものを作る楽しさ、そして困難に挑戦し続けるマインドだ。
「開発中は辛いと思うときがほとんど。それでも続けてこられたのは『あきらめたくない』という想いがあったからです」と話す富永さん。一つの挑戦を終えた今、この言葉がメンバー一人ひとりの心に力強く響く。
冷めない情熱を胸に、
変わらず切磋琢磨する毎日
2021年度の大会が終わったばかりだが、チームは既に自分たちでルールを決めて取り組む校内ロボコンに向けて、持ち前の発想力や技術力に磨きをかける日々を過ごしている。「次こそ全国大会での優勝が目標です」と富永さんは意気込む。
良いものを作ろうとすればするほど、モノづくりのむずかしさに直面する高専ロボコン。大切なのは“常識にとらわれない多角的な視点”だ。「さまざまな発想から、解決の糸口が見つかります。そのためには、物事をいろんな視点で見ることが重要。それを継続した先に、素晴らしいロボット開発、そしてやりがいが生まれるのだと思います」と富永さんは語る。
ロボコン経験から得た学びを胸に、全国大会優勝に向けて、夢を追う若者たちの多忙な日々は続きそうだ!
ロボコンを経験して抱く、
それぞれの夢・目標
- リーダー 射出ロボット制御担当
- 電子情報工学科 3年 富永 啓介さん
- 加工・製作・全体デザイン・
パフォーマンス担当 - 電子情報工学科 3年 松田安佳音さん
- 回収ロボット制御担当
- 機械工学科 3年 川田貴優さん
- 副部長
安全管理・シナリオ製作・射出機製作担当 - 電子情報工学科 3年 岩瀬真大さん
- 回収ロボット回収部分 設計・製作担当
- 機械工学科 3年 鈴木丈一郎さん
- 全体回路設計・製作担当
- 電子情報工学科 3年 福谷友翔さん
- 発射ロボット全体設計・製作担当
- 機械工学科 2年 油田崚市さん
- 回収ロボット足回り設計・製作担当
- 機械工学科 2年 日々野浩生さん
これからも鈴鹿高専の
アイデンティティを
発揮し続けてほしい
思うようにロボットが
動かないなんて当たり前。
自分で答えを探し続けなければ
ならない道のりは
苛立ちや悔しさの連続で、
あまりにも険しい。
それでも、何度でも挑戦して
壁を乗り越えようと思えたのは、
「あきらめたくない」というモノづくりへの情熱
まだ見ぬロボットを作り上げる楽しさ、
そして、同じ方向を目指す、
チームの皆がいたから。
仲間と自分の力を信じ抜いた先にある
未来の光は
彼らの未来を
ずっと明るく照らし続けるだろう。
Hondaは、これからも夢を追い続ける
未来のエンジニアたちを応援してまいります。