アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト支援
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延べ人数:3,238
高専生(出場25チーム):237
Honda従業員観戦(家族含む):197名

3年ぶりの対戦形式!
全国の高専生チームが両国国技館で熱いバトルを展開

「アイデア対決・全国高等専門学校 ロボットコンテスト」、通称“高専ロボコン”は、若きモノづくりの担い手である高専生たちが、毎年異なる競技課題に対して独創的なアイデアと技術力を駆使したロボットで成果を競い合う伝統あるイベントだ。
Hondaは、2002年から高専ロボコンに協賛。大会では、独創的なアイデアや創意工夫、モノづくりへのこだわりが光るチームにHonda賞を贈呈し、次世代を担うエンジニアたちのモノづくりへの情熱、チャレンジを応援し続けている。
11月27日に開催された2022年度の全国大会では、地区大会を勝ち抜いた全25チームが両国国技館に集結。 「ミラクル☆フライ ~空へ舞いあがれ!~」をテーマに、自作の紙飛行機をロボットで飛ばして点数を競い合う対戦形式で行われた。この形式で開催されるのは実に3年ぶりで、高専生たちが工夫を凝らしたロボットと独自の戦略で熱戦を繰り広げ、会場を沸かせた!

学生たちのエンジニア魂と情熱を
乗せて
無数の紙飛行機が両国国技
館を飛び交った

紙飛行機をロボットで飛ばす?!
今までにない高難易度なテーマ

今年の競技課題は、『ミラクル☆フライ ~空へ舞いあがれ!~』。その名の通り、自作した紙飛行機をロボットが飛ばし、競技フィールドに設置された5か所の円形スポット、2か所の縦長滑走路、2種類の筒型ベースの中にランディングさせ、ランディング数に応じた得点を競う。また、すべてのスポット、滑走路、ベースに紙飛行機をのせることができればVゴール達成となり、その時点で勝利が確定する。
今回の競技の難しさは、なんといっても紙飛行機を飛ばすという点だ。射程場所を決めても、気流に左右される紙飛行機は射出後の軌道が不安定。状況を見極め、即座に戦略を切り替えるといった臨機応変な対応力が求められる。2分30秒という試合時間の中で、ロボットの性能だけではなく、戦略やチームワークやが問われる競技内容になっている。

技術も戦略も千差万別。
目指すのは勝利だけとは限らない!

大会がスタートすると、各チーム、個性溢れるロボットを携えて紙飛行機を飛ばし合い、競技フィールドは紙飛行機で一気に埋まっていく。飛ばし方も考慮して自作した紙飛行機を用い、連続射出で大量得点を狙うチーム、一点突破で高得点を狙うチーム、最初からVゴールのみを狙うチームなど、戦略の違いも見られ、各チームの技術とアイデアの独創性がぶつかり合う試合が繰り広げられた。
また、勝利を重視するよりも形状の美しさや演出方法、機能にこだわるロボットも登場し、学生たちの柔軟な発想と斬新なアイデアが光るロボットに観客が沸く姿も。特に徳山工業高専のロボットは紙飛行機の軌道が美しいとSNS上でも話題となり、会場でも「いつまでも見ていられる」という声が挙がっていた。さらに試合の合間に行われたエキシビションでは、地区大会で評価の高かった長野工業高専と沖縄工業高専の和や伝統文化をモチーフにしたロボットが個性溢れるパフォーマンスを披露し、会場が温かい空気に包まれた。

優勝は、確実にVゴールを決め続けた
奈良工業高専
ロボコン大賞は
徳山工業高専の手に

そんな多種多様なロボット対戦の中で特に印象深かった試合は準々決勝。射出の精度と連射で大会最高得点を記録していた和歌山工業高専と、4つの射出機構と自動射出でVゴールを狙う大分工業高専のバトルとなったが、Vゴールを見事決めた大分工業高専が決勝に進むことに。試合後、悔しさのあまり、涙を流す和歌山工業高専リーダーの姿に会場からは健闘を称える拍手が送られた。
そして迎えた決勝戦は、地区大会から確実にVゴールを決めてきた強豪・奈良工業高専と大分工業高専のVゴール狙い校同士の一騎打ちに。試合開始とともに紙飛行機を連射し良い勝負に見えたが、メインと妨害用の5つの射出機構をメンバーで手分けして操縦した奈良工業高専が、高い精度でランディングを決め続け、なんと開始39秒という早さでVゴールを達成!今大会の全試合でVゴールを達成し、見事優勝を掴んだ。
栄えあるロボコン大賞に選ばれたのは、準々決勝時にワイルドカードで敗者復活を遂げた徳山工業高専。アイデアと技術がともに優れていた点が、審査員から高く評価された。

Honda賞受賞!
富山高専(本郷キャンパス)
「SKY×FAMILY」

ロボットと人がシンクロ!
独自性あるアプローチで
観客の心をとらえた画像認識ロボット

“家族”をコンセプトに紙飛行機で遊ぶ親子をモチーフにしたロボット。動かす際には、ロボットの動きのモデルとなる操縦者が紙飛行機を投げる動作をし、その動きをカメラで撮影。ロボットが操縦者の動きを認識することで、同じように紙飛行機を投げるモーションピクチャーの技術を搭載している。また、紙飛行機はロボット下部に取りつけたラックをモーターで上昇させ、押し上げる形で装填。射出は巻きばねとモーターの回転でものを投げる際の人の手首のスナップを再現し、まるで人が紙飛行機を投げているかのような動きを実現させた。人とロボットの動きをリンクさせた射出はもちろんだが、競技中、状況に応じて変わるロボットの愛らしい表情にも注目が集まった。
連続して紙飛行機を射出するタイプではない富山高専のロボットは、制限時間内にロボットが投射できる回数はごくわずか。また長距離の投射ができないため、ロボットの位置に一番近い円形スポットを狙うが、画像認識がうまく行かず、なかなか紙飛行機をスポットに載せられない。チームメンバーも観客も固唾をのんで見守る中、競技終了数秒前に繰り出した最後の渾身の一投がついに成功。思わず出た保江リーダーのガッツポーズとハイタッチする歓喜の姿は会場を大いに沸かせた。

「見る人を楽しませたい」勝敗よりも
想いにこだわり、工夫を凝らした

富山高専(本郷キャンパス)
チームリーダー
保江龍聖さん

得点をとるなら射出機構を増やすべきですが、人らしく見せることにこだわって敢えて2つに抑え、動きも腕の回転に見えるよう調整するなど設計には工夫を凝らしました。また、見ている方々を楽しませることを目標としていたので、親しみやすい外見にし、表情に変化をつけて応援してもらえるロボットを目指しました。
今年は3年ぶりに対戦形式で大会が行なわれ、自分たちと同等の熱量を持ったチームと戦うことができ、とてもうれしかったです。他のメンバーと協力しながら一つものを作り上げて得られる達成感や、今回の大会で感じた楽しさを後輩にも味わってもらえるように、まずは全国大会の常連校になることを目指し、これからもロボット作りに精進していきたいと思います。

敢えて難易度の高い技術に挑戦した
モノづくりへのこだわりを評価

特別賞審査員
株式会社本田技術研究所 先進技術研究所
フロンティアロボティクス研究ドメイン統括
エグセクティブチーフエンジニア
吉池孝英さん

富山高専のロボットでは、シートフィーダーのように紙飛行機を飛ばす他の高専のロボットとは異なり、人が腕を使って投げるように紙飛行機を飛ばす機構と制御に果敢にチャレンジしており、独自性を追求したモノづくりへのこだわりを感じました。また、ロボットの前に立った人の投射動作を画像認識で解析し、紙飛行機を投射するトリガーに用いるという難しい技術を実装し、人とロボットのコラボレーションに敢えてチャレンジしていました。
この2点のチャレンジの姿勢に加え,会場で見られた最後まであきらめないチームの姿勢を高く評価しました。

観客も大注目!
面白ロボット紹介

夜の空港を走る優雅なフライトが会場中を魅了

有明工業高専AppRoaching

ロボット最上面は空港を再現。リフトアップされた紙飛行機が磁石に誘導されて滑走路を優雅に走り、飛び立つ美しい姿は会場の観客を魅了した。この離陸までの一連の動きをしっかり見せるため、紙飛行機をわざと遠回りさせて射出装置まで辿り着くようにさせるなど工夫を凝らした。最終的に全観客が納得のデザイン賞を受賞。

反転イカ紙飛行機と連続発射が勝負のカギ

大阪公立大学工業高専AIRsROCK

紙飛行機を押し出して飛ばす発射機構を3機搭載し、計36機の紙飛行機の連続発射を可能に。ロボットの位置を確認しながら操作ができる半自動制御方式を採用したロボットに加え、イカ紙飛行機と槍紙飛行機を融合させ、紙の折り重ねで滑空をできるだけ防ぎ、極限まで直進性を高めた「反転イカ紙飛行機」で一点突破の大量得点を狙った。

見た瞬間ワクワクが止まらない!
遠心力で投射するアトラクションロボット

長野工業高専信州ずくだせランド

遊園地のアトラクションをイメージした楽しげな見かけと演出が印象的なロボット。紙飛行機を飛ばす動力となるのは、保持機構を回転させて生じる遠心力。発射機構にはセンサーがあり、レーザーが当たると投射位置と判断して、角度や速度を変えながらカイトフライヤーをモチーフにした発射機構から紙飛行機を飛ばす。保持機構が大回転して連続投射する他のロボットには見られない独自性で、見事アイデア賞を受賞。

Honda特別賞審査員
からのメッセージ

チャレンジの先にあるすべてが
成長の糧になる。
高専ロボコンで
一歩を踏み出してほしい

今年のロボコンはアイデアの独創性を競った去年のロボコンとは違い、点数で明確に勝負が決まる対戦形式のものでした。Vゴールを狙うチームやオールラウンドに点を取りに行くチームなど、勝つための戦略を練ってきたチームがいる一方で、点数にこだわらず、自分たちの世界観をどう実現するかに集中したチームがいるなど、非常に多様性に富んでいたと思います。まさに「高専ロボコンならではの面白さが戻って来た」、そんな印象を受けました。
また、独創性を大事にしつつも、実際に現場で問題なくロボットを動かさなければならないのがロボコンの一つの難しさですが、今回参加したチームはしっかりモノを作ることと独創性の2軸をうまく両立させることができていたと思います。
モノづくりの現場では、ピンチに陥っても自分たちがやってきたことを信じてやり抜くことが大切です。Honda賞を受賞された富山高専の皆さんも時間ギリギリまで粘り、最後の一投で成功した。あの時に感じた喜びが今後の成長につながる、大きなきっかけになると思っています。最初の一歩を踏み出さなければ、成功には絶対に辿り着けません。一歩を踏み出した先で得られたことが必ず今後の糧になるので、ぜひ多くの学生さんにロボコンにチャレンジしてもらいたいです。

特別賞審査員 株式会社本田技術研究所 
吉池孝英さん(写真右端)

大会結果

ものづくりへの情熱を持ち、
夢追う若きエンジニアたちを
応援し続けたい

3年ぶりの対戦形式で、学生たちのものづくりへの情熱がぶつかり合った2022年の高専ロボコン。学生たちは勝ち負けという結果を越えて、仲間とともに1つのものを作り上げる喜びや困難に挑む姿勢、そしてどんな時でもあきらめない心を手に入れたのではないだろうか。
ロボコン参加の過程で体感したすべてを未来に向けた糧にして、夢に向かってまた新たな挑戦をし続けてほしい。
Hondaは、これからも高専ロボコンを通じて、夢を追い続ける未来のエンジニアを応援してまいります。