企業活動のCO₂排出削減

企業活動によるCO₂排出(スコープ1・2)は、各生産拠点における製品製造時の直接的CO₂排出と製品の製造/加工工程などで使用する化石燃料由来のエネルギーによる間接的CO₂排出が主要因です。生産工程の効率向上や設備の電化などを行い、さらに使用するエネルギーを再生可能エネルギー由来に置換することで、企業活動のCO₂排出削減を進めていきます。

主要施策3. カーボンニュートラル工場化の拡大

CO₂排出削減の起点は生産効率向上と省エネルギー施策の実施

Hondaは、企業活動による直接排出(スコープ1)とエネルギー利用による間接排出(スコープ2)の削減に向けて、取り組みを推進しています。

3つの主な技術/ノウハウによるCO₂排出削減

① 生産効率の向上と省エネルギー施策の実施

② 生産設備の電化

③ 再生可能エネルギーの調達・活用

生産工程においては、プロセス改善による生産効率向上や省エネ施策などを優先して取り組んでいます。また工場内設備の電化は、設備更新時や設備自動化タイミングなどに、積極的な導入を進めています。

さらに化石燃料由来の電力使用によるCO₂排出については、工場敷地内への太陽光パネルの設置をはじめとして、再生可能エネルギーの調達や活用を通じて、削減に取り組んでいます。結果として2024年3月期実績は、2031年3月期の削減目標46%(2020年3月期比)に対して、37.7%に到達しており、CO₂排出量は314万t-CO₂eとなっています。

Hondaは、自社企業活動の責任領域であるスコープ1・2の削減に対して、管理指標(KGI)「企業活動CO₂排出総量削減率(2020年3月期比)」を設定し、目標値を定めて、その達成状況を把握しながら取り組みを継続的に推進しています。

指標と目標・実績

管理指標
(KGI)
目標値 実績
2026年3月期 2031年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期
企業活動CO₂排出総量
削減率(2020年3月期比)
全社 - 46% 450万
t-CO₂e
430万
t-CO₂e
382万
t-CO₂e
314万
t-CO₂e

企業活動 CO₂排出総量削減率(2020年3月期比)

2026年3月期 埼玉製作所 完成車工場 カーボンニュートラル工場化の実現へ

埼玉製作所 完成車工場

Hondaは、3つの主な技術/ノウハウにて、自社の企業活動によるCO₂排出削減を実施しており、実質的なCO₂排出ゼロに到達した生産拠点を「カーボンニュートラル工場」と定義しています。

四輪マザー工場である埼玉製作所 完成車工場を、カーボンニュートラルのリーディング工場に設定して、3つの主な技術/ノウハウの適用を行っています。この取り組みを進めることで、2026年3月期にHonda初のカーボンニュートラル工場の実現を目指します。また、これを通して蓄積した技術/ノウハウは、事業所間で情報共有することで、各地域特性に応じたカーボンニュートラル工場化の拡大を図っていきます。2030年代後半には、全世界の四輪生産拠点でカーボンニュートラル工場を実現することを目指し、取り組みを進めていきます。

環境負荷最小化と世界トップレベル生産効率の両立を目指す「カナダEV専用工場」

2028年に稼働開始予定のカナダEV専用工場は、埼玉製作所 完成車工場で培ったカーボンニュートラル工場化の技術/ノウハウを活用し、環境負荷の最小化と生産効率の両立を目指します。取り組みの一つとして、カナダで普及する水力発電などの再生可能エネルギーを活用して、クリーンエネルギー化を進める予定です。

他の生産拠点においても、各地域の再生可能エネルギーの普及特性に応じた施策を順次進めていきます。

技術/ノウハウ① 生産効率の向上と省エネルギー施策の実施

自社企業活動のCO₂排出削減のため、第一に取り組むべきことは「生産効率の向上」と「省エネルギー施策」の実施だと考えています。生産効率の向上のため、生産工程の見直しや生産における工程数/手順の削減などを行っています。

省エネルギー施策については、未利用熱の再利用などを行うことで、消費エネルギーの抑制やCO₂排出削減につなげています。

例えば、塗装工程で発生した廃熱を回収して他の設備に再利用するなどの取り組みを進めています。塗装工程だけにとどまらず、各工程で実装可能な取り組みを継続して行っていきます。

技術/ノウハウ② 生産設備の電化

生産工程からのCO₂排出を削減するためには、設備の電化が有効な手段の一つです。取り組み事例としては、乾燥に使用する設備などのガス燃焼設備を電化し、工程からのCO₂排出を削減しています。

また、電化後の設備に使用する電力を化石燃料由来から再生可能エネルギー由来に置換することで、さらなるCO₂排出削減にもつなげています。

今後も継続して、生産工程の特性に応じた設備の電化に取り組んでいきます。

技術/ノウハウ③ 再生可能エネルギーへの置換

留寿都風力発電所(留寿都ウインド合同会社)

Hondaは、敷地内の建屋や駐車場などに太陽光パネルの設備導入を積極的に行っています。自家発電した再生可能エネルギーを最大限利用するために、定置用蓄電池などを設置し、可能な限り自社の企業活動CO₂排出を抑制し、削減する取り組みに注力しています。

また、日本や北米などでは外部からの再生可能エネルギー由来電力の調達も進めています。日本における取り組み事例として、2024年9月に留寿都ウインド合同会社とバーチャルPPA契約を締結し、2025年より活用をスタートする予定です。

バーチャルPPA:仮想電力購入契約(Virtual Power Purchase Agreement)の略。

炭素クレジットの活用

Hondaは、さまざまな施策や工夫を行ない、CO₂排出の抑制や削減に取り組んでいます。しかし、こうした取り組みをもってしてもCO₂排出のゼロ化が困難なものも一部想定されるため、どうしても排出されるCO₂については、炭素クレジットなどの活用も選択肢の一つとして考え、実質的なCO₂排出ゼロを目指します。


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