デザインは問題解決の近道 より多様な視点でプロダクトを進化させたい

デザインは問題解決の近道
より多様な視点でプロダクトを進化させたい

アーテミエフ ヴァディム / Artemyev Vadim

デザインセンター モビリティデザイン開発室 プロダクトデザインスタジオ

CAREER
  • 2009年

    本田技研工業株式会社 入社 四輪R&Dセンター デザイン開発室 モビリティ、ロボティクス領域 デザイン担当

  • 2015年

    四輪R&Dセンター デザイン室 アドバンスデザインスタジオ Acuraデザイン担当。その後、グローバルモデルを中心に四輪デザイン領域に従事

昔から抱いていた外国車への憧れ

私はロシア出身で、クルマのデザインに関わる仕事をしています。昔からクルマへの興味が強く、子どもの頃は、当時珍しかった外国車を街中で見つけるのが楽しみでした。9歳でF1のレースを見て魅了され、この頃からクルマに関わる仕事をしたいと思っていました。

10代のとき、母の仕事の都合でロサンゼルスに行ったのですが、クルマのデザインを学べる学校が現地にあることを偶然知り、クルマのデザインを一生の職業とする選択肢があることに驚きました。自分も、子どもの頃に追いかけていたカッコイイクルマをデザインしたい。これが私の転機になって、カーデザイナーの道に進むことを決心しました。

他社の内定を辞退しHondaへ

サンクトペテルブルクの大学で工学とインダストリアルデザインを学んだ後、イタリアのヨーロッパ・デザイン学院で修士課程を修了し、現地の自動車メーカーでインターンシップを経験しました。実は、このメーカーで内定をもらっていましたが、同時期にHondaがクリエイティブデザイナーを募集しているという情報を耳にし、すぐさまエントリーしました。HondaはF1に情熱を注ぎ、NSX、S2000、CR-Xなど、見ていてワクワクするスポーツカーを次々と発表しているブランドだというイメージをもっていたので、このチャンスを逃すわけにはいかないと、いてもたってもいられなかったのです。そうして、契約デザイナーとしての採用が決まり、日本で働くことになりました。

激しい競争でデザインスキルを磨く

Hondaでのキャリアがスタートしたのは、六本木にあるデザインスタジオです。当時、約数十名いたメンバーの半数は、私と同じように海外からきた契約デザイナーでした。全員が同じプロジェクトに参加し、自分の提案が採用されることを目指し、競い合う。ここで成果を上げないと、日本に残れないかもしれない。そんな焦りや緊張もあり、必死で努力しました。ただ、それだけ厳しく、チャレンジングな環境だからこそ、グローバル基準で戦うことができるハイレベルなクリエイティブスキルを磨けたんだと思います。

激しい競争でデザインスキルを磨く

一度離れて気づいた、Hondaの温かさ

六本木のスタジオで充実した日々を過ごしていましたが、ヨーロッパに戻りたい気持ちもあり、一度Hondaを離れることになりました。向かった先はロンドン。新天地もまた、才能豊かなメンバーの活気にあふれ、刺激的な毎日でしたが、理想と現実のギャップを感じ始め、このまま働き続けるか悩むようになりました。「Hondaに戻る選択肢もあるのでは?」と友人がアドバイスをくれ、さっそく当時の上司にメッセージを送りました。退職したあとも、Hondaの仲間とは良い関係を築いていたんです。すると「すぐにでも戻っておいで」と返事をいただき、再びHondaで働くことになりました。不安もありましたが、多くのメンバーが「おかえり」と出迎えてくれたときは本当に嬉しく、自分のことを覚えてくれていたことは大きな励みになりました。

Hondaには、何か問題があれば、仲間がサポートしてくれる雰囲気があり、チームで推進する仕事の進め方もHondaならではだと思います。人を大事にし、アルムナイも快く受け入れるフレンドリーな環境は、私の財産です。

一度離れて気づいた、Hondaの温かさ

keywordアルムナイ

Hondaでは、Honda退職者を対象とした「Hondaアルムナイネットワーク」を運営し、過去、Hondaに在籍した方の採用も行っている。

自分の力を試せる場所はひとつじゃない

これまでを振り返ると、2017~2019年の3年間は特に充実した時期でした。この期間にクリイエイティブアワード、ECD(Executive Creative Director)賞と、2回も受賞することができたのは、誇らしい思い出です。一番印象に残っているのが、ロサンゼルスのスタジオと合同で開催した、Acuraの次世代デザインスケッチプロジェクトです。私のアイデアが採用されたコンセプトカー「Acura Precision EV Concept」は、2022年のペブルビーチで発表されました。グローバルな規模のコンペは頻繁に開催されるわけではありませんが、今後もチャレンジして自分の力を試したいです。

Acura 次世代デザインスケッチプロジェクトAcura 次世代デザインスケッチプロジェクト

Hondaは、クルマだけでもラインナップが多彩ですが、ロボティクスや空のモビリティと領域が幅広く、多くのプロジェクトに携わることができることも魅力的です。また、パーソナルプロポーザルプロジェクト(PPP)と呼ばれる制度があり、年に1回、スタジオのメンバー誰もが自分のアイデアを自由に提案することができます。そこで提案されたアイデアが新製品の開発に発展するケースもあります。キャリアを広げるチャンスがあり、恵まれた環境だと感じています。

ダイバーシティは必要不可欠

ロシア、イタリア、イギリス、日本と転々としてきましたが、今思えば、一つの場所にとどまらず、それぞれの国で文化を享受し、想像力を膨らませてきたのが逆によかったように思います。デザインにおいても、多様な文化に対する好奇心と理解は必ず仕事に役立つと思いますし、異なる意見を持つ人がいることは、ブランドが健全であり続けるためにも重要なことです。Hondaは、日本だけでなく、世界中で販売されているグローバルブランドです。デザインの現場に私のような海外出身のデザイナーがもっと増え、さまざまなバックグラウンドや視点をもつメンバーがジョインしていくと嬉しいです。ダイバーシティが進むことで、Hondaのプロダクトはさらに進化すると信じています。

ダイバーシティは必要不可欠

わたしのワーク・ライフ・バランス

息子の誕生がコロナ禍と重なり、育休を11カ月取得しました。育休期間はかけがえのない時間で、復職後は、「育児期両立セミナー」に妻と参加し、Hondaのユニークな取り組みに感銘しました。仕事と家庭の両立においても、上司や同僚の理解・サポート、そして柔軟な働き方ができるHondaの環境に深く感謝しています。



keyword育児期両立セミナー

キャリア・多様性推進室が主催する、産休・育休復職後の両立ノウハウの習得とキャリア意識の醸成を目的としたセミナー。産休・育休復職後の従業員とそのパートナーを対象に、外部講師による講義、グループディスカッション、育児の先輩社員とのパネルディスカッションを開催し、従業員自身の成長を支援している。2023年度より育児期前に実施。
https://global.honda/jp/diversity/balancework/

※取材内容、および登場する従業員の所属は取材当時のものです。

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