入社以来一貫してIT領域の道を歩み続ける倉敷は、仕事と家庭をどちらも大切にしている社員です。ITインフラの整備といった業務に真摯に取り組みながら在宅勤務や託児所を活用して育児にも向き合う姿には、「これからを担う若手の働きがいを高めたい」という想いが表れています。倉敷がこれまでのキャリアのなかで携わってきたプロジェクトや、思い描く未来像に迫ります。
倉敷 和行Kazuyuki Kurashiki
IT本部 システム基盤部 オフィスコミュニケーション課
2009年に入社以来IT事業に携わり、IT関連の問い合わせや相談に応じるヘルプデスク業務やPC運用、社内ITインフラの運用を担当。グローバルでのメールシステム移行や国内のメールアドレス統合などのプロジェクトを進める。
効率化を目指してITインフラを統一するシステム基盤部の働き
Hondaは国内だけでなく海外にも多数の拠点があります。それぞれの拠点が裁量権を持ち現場の声を反映させながら仕事を進めています。
現地の特性に応じた判断や仕事の進めはもちろん必要ですが、使用するシステムが拠点ごとに異なるなど、改善すべき点も多くあります。そうした課題を解決すべく、2011年頃から国内海外問わず使用するITインフラを統一し、標準化していこうという取り組みがはじまりました。そこで誕生したのが、IT本部のシステム基盤部です。
IT本部システム基盤部では、海外のITインフラ部門と連携しながら標準化プロジェクトを進めています。2013年からシステム基盤部に所属している倉敷は、2021年現在、国内PCの標準化プロジェクトでリーダーを務めています。
倉敷 「今までは本田技研工業と本田技術研究所というふたつの法人で使用しているPCの種類が異なっていました。そのため、法人を跨ぐ異動の際はPCを一度返却し、異動先で新たな機器を受け取らなければならなかったのです。
2020年4月の事業運営体制の変更によって本田技術研究所の一部が本田技研工業に統合され、国内の異動者が今まで以上に増えました。そこで国内のPCをすべて統一化し、異動のたびに返却することで発生する無駄をなくそうという想いでプロジェクトに取り組みました。私は2020年12月からこのプロジェクトのリーダーを務めています」
これまでHondaでは現場が主導する形で、それぞれの部署にとって最適なPCを選び、使用していました。PCの調達も部署ごとに行われていたため、機種や仕様が統一化されていなかったのですが、大規模な組織変更がきっかけとなり標準化に取り組むことになったのです。
倉敷 「PCを標準化しなければ、社員の業務が滞り、費用も無駄になってしまう恐れがあります。コスト削減や運用のシンプル化を進めるためにも、取り組まなくてはならないプロジェクトのひとつですね。
会社規模が大きいゆえに標準化も一筋縄ではいきません。また、グローバルや国内のすべてのシステムを無理やり一本化してしまうと誰も喜ばないシステムになってしまいます。グローバルで標準化するところと地域で決めるところ、各事業所で決めるところなどを分けてプロジェクトを進めなくては上手くいかない。その点を考慮しながら推進しています。ゆくゆくはどこに行っても同じPCが使えるようになります」
未経験からIT部門へ。常に変化し続けるITの魅力にのめり込む
2009年倉敷はHondaに新卒入社しました。就職前は運転免許も持っていませんでしたが、企業文化に惹かれたのです。
倉敷 「Hondaの企業説明会はとてもおもしろく、変わっていました。他社では求める人物像などの説明を受けることが多かったんですが、Hondaの説明会では社員自身が開発を手掛けたエンジンの話をずっと聞かされたんです。とてもユニークでこだわりのある本田宗一郎氏の精神が現代に引き継がれていると感じ、おもしろいと思ってHondaに入社しました。
Hondaに入社してから現場や間接部門で出会った人々は、入社前のイメージ通り、職人気質でこだわりを持った方が多く、一人ひとりが個性的です」
入社当初は、個性的な企業文化づくりに携われるような仕事をしたいと考えていた倉敷。しかし、結果としては第三希望として伝えていたIT部門に配属されました。
倉敷 「当時は、人事か経理のどちらかで悩んでいたんですが、部署の説明を受けたとき、ITは学生時代に専門に学んでいなくても活躍している方が多いという話を聞いたんです。私は文系出身でITとはほとんど関わりのない学生時代を送りましたが、新しいものが好きなこともありチャレンジしてみようと思いました。IT部門に配属されて栃木の事業所で働いていた頃は、ITインフラの仕事を多く担当していましたね」
入社以来IT部門に携わってきた倉敷は、キャリアのなかで印象に残っている仕事として“メールアドレスの標準化プロジェクト”を挙げています。2019年の夏頃に企画して、2020年3月に国内従業員のメールアドレスをすべて変更したのです。
倉敷 「メールアドレスの標準化は、企画から開発、展開、運用とプロジェクトのすべてを私がメインで取り組んだはじめてのプロジェクトだったので、とても印象に残っています。
事業運営体制の変更に合わせて、メールアドレスの標準化もスピーディーに展開することができました。会社の方向性と今まで私たちが取り組んできたテーマがピッタリと合ったことに加えて、大きなトラブルもなくやり切ることができました」
入社当初は強く希望していなかったIT領域の業務を、ずっとおもしろいと感じられる理由。それは、変化が常にある仕事だからだと倉敷は考えています。
倉敷 「ITは、進化し続ける業界です。アプリケーション開発だけでなく、社外のITの変化や他企業の動向を汲み取ったうえで、社内で新しいことをやってみようという動きが常にあるんです。新しい挑戦ができるので、飽きませんね」
グローバルを相手にするがゆえの苦労とおもしろさ
▲グローバルのプロジェクトメンバーと(2019年10月撮影)
倉敷が所属するオフィスコミュニケーション課がカバーする範囲は日本国内にとどまりません。海外の拠点と定期的に情報交換をし、良い事例があれば各国に持ち込んで進めることもあるのです。
倉敷 「たとえばメールアドレスの統一は、日本の拠点で実施した1年後に北米の拠点でも行いました。現在はコロナ禍で難しいですが、以前は日本にグローバルを含めた全地域のIT担当者が集まって来期の計画などを立案する会議を年に一度実施していましたね。
日本と同様に、北米は市場もIT部門のリソースも大きいので、グローバルに展開する前に北米と日本で施策を行い、成功したら各地域で進めていくという方法を取ったこともあります」
Hondaの事業所はグローバルに展開しているため、多くの部署で海外拠点とのやり取りが発生します。そのなかでもオフィスコミュニケーション課は特定の地域に限らず全地域と関わるため、他の部署とは違った苦労もあるのです。
倉敷 「他の部署でもアメリカとだけ進めているプロジェクトがあったり、アジア・太平洋向けのシステムを作ったりすることはたくさんあると思いますが、私たちはグローバルの全地域が相手なので少し変わっていると思います。
2015年にオフィスコミュニケーション課に異動してきて、グローバル13万人のメールシステムを移行するプロジェクトを担当したときは、部門を横断して仕事を進めた経験のないままプロジェクトメンバーに加わることになったので手探りで進めていました。
朝は北米、夜はブラジルといったようにさまざまな地域とやり取りを重ねながらプロジェクトを進めていきましたね。最初は日本がハブとなって全地域とコミュニケーションを取っていましたが、プロジェクトが進むうちにアメリカ、ブラジル、ベルギーの間でコミュニケーションを取ってくれたりと、地域間での連携も進んでいきました」
仕事をするうえでコミュニケーションを大切にしている倉敷は、海外の担当者とのやり取りも極力通訳を介さずに行っています。入社当時は英語があまり得意ではありませんでしたが、社内の研修を受けて学びました。
倉敷 「4年ほど社内の英語研修を受講しており、得意ではなかった英語を話せるようになりました。英語を学んだ理由は、自分で話せたほうが早いからです。通訳の方を介してしまうとどうしてもタイムラグが発生し、わいわい楽しくやりたくても若干熱量が落ちてしまいます。そのため自分で話せたほうがいいだろうと思い、勉強しました」
国内でも海外でも積極的にコミュニケーションに取り組んできた倉敷ですが、コロナ禍によって働き方が変わり、すべてのやり取りを対面で行うことは叶わなくなりました。しかし、Hondaはコロナ禍になる前から在宅勤務を進めていたこともあり、特に問題なく業務に携わることができています。
倉敷 「現在は週2〜3日在宅勤務をしています。スケジュールは違いますが、他のメンバーも大体週2〜3日くらい出社をしていますね。メンバーと顔を合わせる機会は減りましたが、Teamsを使ったリモート会議ではなるべく仕事以外の話や雑談をするよう心掛けていて、メンバーの安心感やコミュニケーションから生まれる気づきを失わないよう意識しています。そのおかげかコロナ禍でも仕事をスムーズに進めることができています」
これまでに倉敷らの部門でWeb会議システムを整えてきたことで、在宅でもコミュニケーションに困りごとを抱えることなく各自が仕事に力を注げる環境が整っているのです。
イクメンではなく、父親だから。仕事も育児も全力投球するロールモデルに
Hondaは在宅勤務以外にも、柔軟な働き方を支援する制度を整えています。倉敷は埼玉県和光市の和光ビル敷地内にある「わいわい がーでん」という企業託児所*を2018年から活用しはじめました。
*性別に関わらず、一人ひとりが等しくキャリアを形成するための環境を整えるべく、企業内託児所を導入し、育休からの早期復帰および仕事と育児の両立を支援している
倉敷 「息子が1歳のときに託児所ができて、開園当初に子どもを預けてから今もずっと利用しています。以前住んでいた都内では、子どもを保育園に入れることが難しく、預けることができたとしても駅から遠くなってしまうことも。そうなると、子どもと一緒にいる時間が減って働いている妻の負担にもなり、誰も幸せにならないと思いました。そこで思い切って会社の近くに引っ越してきて、従業員向けの託児所に預けることにしたんです」
Honda従業員向けの託児所を利用する選択は正しかったと、倉敷は強く思っています。
倉敷 「託児所は子どもの人数に対して先生が多くいらっしゃり、安心して子どもを預けられます。子どももとてものびのびとしていますね。私は、会社と保育園と家の三角形をできるだけ小さくしたいと考えていました。そうすることで子どもと一緒にいる時間ができ、余裕が生まれると思ったんです。結果的に引っ越してきて良かったですね」
会社の託児所と在宅勤務を利用して、融通が利く働き方ができるのも魅力です。
倉敷 「託児所に子どもを連れて行った後、自宅に帰り在宅勤務することもあれば、出社して帰りに子どもを迎えに行って、夕食を作ってお風呂に入れたあと在宅勤務をすることもありますね。夜に在宅勤務をしてブラジルとの会議に出席するといったような働き方もできるので、バランスをとりながら仕事も家庭も大切にすることができます。Hondaでは仕事の進め方を自分で決められると感じる機会が多く、有休や残業時間もコントロールしやすいと思います」
倉敷は柔軟な働き方ができるHondaの制度を有効活用し、仕事と育児を両立するロールモデルになりたいと考えています。Hondaでは倉敷のような若い世代で制度を積極的に活用する機運が高まっています。
倉敷 「私は、“仕事も家庭も大事にしながら働く若手のロールモデル”になりたいと考えています。仕事も楽しんで育児にもしっかり向き合っている人が評価されるんだと若い方に思ってもらえれば、彼らもより自分自身の未来像が描きやすくなるのではないかと考えています」
倉敷が仕事と育児を両立するロールモデルになりたいと考える理由は、性別を問わず育児に関わる必要があると強く思っているからです。
倉敷 「私は“イクメン”という言葉があまり好きではありません。父親として自分の子どもを育てるのは当然のことなので、性別は関係ないと思います。男性が育児をするのは当たり前という認識が広がり、育休を取る男性が増えれば、世の中も変わっていくのではないかと考えているんです。いずれは、イクメンという言葉が使われない世の中になるといいですね」
IT領域の業務のおもしろさに熱中しながら、ワークライフバランスを大切にしながら育児にも力を入れる倉敷。
仕事と育児を両立しながら活躍する姿が若手社員たちの手本となる日を夢見て──。新たなスタンダードをつくり続ける倉敷のこれからに、大きな期待が寄せられます。