Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える

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新たな挑戦で、人や社会の役に立ちたい──常にチャレンジしてきた社員の前進の記録

Hondaには、今いる領域とは異なる場所で挑戦したい人を支援する「社内チャレンジ公募制度」があります。中田はこの制度を利用して、より自分の希望に近い仕事に携わることができました。中田がどのような想いを抱えて入社してから経歴を積んできたのか、そしてこれから何を大切にしながら働いていきたいかに迫ります。

中田 杏里Azusa Nakata

四輪事業本部 ものづくりセンター開発戦略統括部 開発プロセス改革部 開発DX推進課

2002年にHondaへ新卒入社し、欧州用のカーナビゲーション開発に携わる。2008年にチャレンジ公募制度を利用し、衝突シミュレーションを行い車体骨格を決める業務を担当。現在の所属では次世代四輪ものづくりの環境構築に取り組む。

研究者をも唸らせたHondaの挑戦に魅力を感じ、入社を決意

中田 「私は、常に新しいことをしたいタイプなんです。担当業務が割り振られたあとも、『これは変えたほうがいいんじゃないの?』と思う部分があれば、自分でリーチングアウトをしていろいろ挑戦してみたくなりますね」

開発プロセス改革部の開発DX推進課に所属する中田は、その言葉どおりチャレンジ精神を持ち続けながら仕事をしてきた社員です。現在は次世代四輪ものづくりに向けた環境構築に取り組んでいますが、これまでのキャリアにおいても常に挑戦を繰り返しながら働いてきました。

中田は学生時代、人の一生や社会について想いを巡らせる機会があったことで就職活動の軸を決めました。

中田 「身のまわりで悲しい出来事が重なり、生きていられるはずの人がちゃんと生きられるような社会にしたいという想いが強くなったんです。そのために自分が仕事としてできることはないか考え、世界で求められている課題を解決できる会社で働こうと思いました」

生きたい人が生きられる社会づくりに貢献しつつ、課題を解決しながら常に新しいことに挑戦できるところで働きたい。そう考えた中田は、Hondaへの入社を決意します。

中田 「学生時代、自動制御工学の授業でASIMOの前身となるロボットの紹介映像を見ました。それまでの常識では、小型の二足歩行ロボットはできても人型のものは無理だろうと思われていたそうです。

難しいと言われていたことをHondaが発表したので、先生は『やられましたね』と言っていました。研究者にそう言わせてしまう挑戦をしている企業があるんだと知り、Hondaに興味を持ちました」

カーナビ開発で葛藤し、自分の希望を叶えるためにチャレンジ公募を利用

▲ヨーロッパ出張時の一コマ

2002年にHondaへ入社した中田は、四輪の車体電装部門に配属され欧州用カーナビゲーションの開発を担当することになりました。2008年までの約6年間カーナビの開発に携わるなかでやりがいを感じながら仕事に取り組んでいましたが、同時に、葛藤も多かったと振り返ります。

中田 「当時開発していたナビは、高級なオプション品でした。もちろんあると便利なのですがなくても運転自体には支障ないものだったので、クルマの開発に携わっているという実感が湧かなかったんです。

ナビの開発担当といっても、仕様を決めるのとクルマでのテストが主な業務で、プログラミング作業については進捗を管理するような立場だったので、技術者として何か技術を身につける前に管理職になってしまったような不思議な感覚もあったんです。

入社時にヨーロッパ担当がいなくて全部自分が携わることになり、年数回の海外出張で、ヨーロッパ中を実走して実際のお客様の使い方を知ることができたり、現地スタッフと直接英語で議論して仕様を決めたりと、やりがいを感じられたことも多くありましたが、このままこの部署で働き続けていいのか、という葛藤はありました」

大きい開発を2つほど経験して自分のなかでやりきったと感じた中田は、社内の公募制度を利用して異動することにしました。

中田 「募集が出ていた衝突シミュレーションを扱う部署の案内を見て、『これだ!』と思いました。そこならクルマを必要としている人に向けた仕事ができそうだと感じ、異動しようと考えました。ヨーロッパとのやり取りを通して英語力は身につきましたが、今後はさらに技術的なことを磨きながら世の中の役に立ちたいと考えていたんです」

異動先の部署では、スパコンで衝突シミュレーションを使いながら車体骨格を決める仕事に携わりました。

中田 「車体は安全性とデザイン性の両立や使用する材料、重量、コスト、ほかのパーツとのバランスなどいろいろなことを考えて開発しなければいけません。Hondaでは、シミュレーションをする人が形状や材質の提案も行います」

異動によって世の中の役に立っている実感を得られるようになった

異動前後の業務で大きく違うと感じたのは、テストへのプレッシャーでした。

中田 「ナビ開発では、問題が起きたとき何回でもテストができます。しかし、衝突の開発領域では一度テストをしたらクルマが壊れてしまうので、やり直しができません。再テストになるとプロジェクトリーダーが関係各所に頭を下げてもう一度クルマを持ってこなければならないし、骨格の設計変更ということになれば他部署にも迷惑がかかるということもあり、プレッシャーが大きかったですね」

その後、中田は2016年からEuro NCAP*新テストの導入準備に携わりました。NCAPとはクルマの安全性を格付けするテストで、決まった試験方法によってクルマが評価されるのが特徴です。2020年導入の新しい衝突テストの評価について、Hondaとして提言を行いました。と同時に、新しい提案も社内で行います。

*ヨーロッパ新車アセスメントプログラム。ヨーロッパで実施されている自動車安全テスト。European New Car Assessment Programmeの略

中田 「車体を開発するなかで、シミュレーションは実際の試験と合っているかを確認しなければならないはずなのに意外とできていないところが多いことに、もどかしさを感じていました。そこでR(リサーチ)テーマを提案し、テストの計測の仕方も開発すべきだと主張したんです」

当時中田は、戦略を立ててプロジェクトを進めるRグループにテーマを提案したつもりでした。しかし、Hondaの「言い出しっぺがやる」風習により、自身が衝突テスト計測プロジェクトを進めることになったのです。

中田 「提案をしたら『じゃあ来月から定例会に出て進捗報告して』と言われて、これは私がやることになるんだとはじめて認識しました(笑)。課としてこういうことに取り組むべきではないかと言ったら、提案した人が進めることになる。今思えば、それはすごくHondaらしいですね。

最初はひとりで進めていましたが、スタートから1年経って他部署や外部パートナーを巻き込むようになりました。計測技術を作り、テストをして解析するという形だったので、まさにチャレンジ公募前にやりたかったことができるようになりましたね。衝突安全というカテゴリに関わることでより世界中の人々の役に立っている実感も得られるようになりました」

2022年からは開発DX推進課で今までの仕事を踏まえながら新しいことへの挑戦を模索しています。

中田 「今までやってきた衝突計測のRテーマが今期予定通り終われば、今開発で使われている計測の環境を変えることができます。今後はDXを推進して、これからの四輪ものづくりの環境構築に貢献する予定です。

今までは衝突領域の仕事に集中して取り組んでいましたが、新しい課では別の分野の人とも関わることになります。そこから新しい何かができそうだなと感じていますね。たとえば今はVRのスペシャリストが同じグループにいて、VR技術と衝突シミュレーションの技術を組み合わせて新しい世界が見えるんではないかという話になったりするんです」

効率化を机上の空論で終わらせないために必要なのは、現場目線で考えること

▲直属の上司である志波(しわ)と

衝突シミュレーションを用いた車体骨格の開発から、安全性の新テスト導入に向けた提言、計測技術の開発と自分が携わる範囲を少しずつ広げている中田。今ある無駄な作業をDXで解決していけば、また新たなことを考えられる時間が生まれる。その繰り返しをするなかで、これからも現場目線を忘れずにいたいと考えています。

中田 「今のプロセス改革部でずっと仕事をしてきた人は、開発の現場から遠い人も多いのではないかと感じています。私は衝突の開発をやってきて、今も計測のRテーマをしているので、比較的開発をしている人とのつながりが強いんです。

開発の人と話をすると、私たちの部署で話しているバラ色の未来とは違う泥臭い話が実はたくさんあるんですよね。だからこそ、現場の話を聞くのは常に忘れないようにしたいと思います。机上の空論にならないように、効率化も施策の方向性も現場目線で考えていきたいですね」

Hondaにはさまざまな事業領域が存在するため、求められる専門性や仕事の進め方が異なります。組織が立ち上がって間もない開発DX推進課にはさまざまな経歴の社員が集まるので、それをおもしろいと感じながら働いているメンバーが多いのです。

そのなかでも中田の直属の上司である志波は、中田をチャレンジ精神あふれる素晴らしい技術者だと評価しています。

志波 「当課は2022年に新設され、さまざまな開発現場からさまざまな経験・知識・技能を有するメンバーが集まった組織です。そんなメンバーの一員である中田と一緒に、開発現場目線の考え方を大切に、開発現場に貢献できる、喜んでくれるような技術を作って展開していきたいと考えています。

その結果、新たなチャレンジをするための時間やリソースが生み出されると考えています。これからも現場の方と密に情報交換をしながら一緒にやっていきたいですね」

中田は現場目線の改革を実現するために、今でも開発領域の会議に参加することがあります。

中田 「昔のつながりから今も会議に声をかけてもらうので、打ち合わせには顔を出すようにしています。現場で何がNGだったのかなど、情報を自分から取りに行くようにしているんです。現場目線で提案する姿勢は、今後もHondaの技術者として貫き通したいですね」

世の中や人に必要なことをしたいという想いを強く持ち、実現のためにキャリアチェンジやテーマの提案などを行って常に挑戦してきた中田。

これからも現場目線を忘れることなく、四輪ものづくりの未来に向けた取り組みを続けます。

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