POINTこの記事でわかること
- カリフォルニア州で開催された、モントレー・カー・ウィークの魅力
- Hondaは1965年製F1マシン「RA272」などとともにイベントに参加
- アキュラ次世代EVモデルのコンセプトカーを世界初公開するなど話題を集めた
毎年8月中旬に開催されるモントレー・カー・ウィークは、世界中で行なわれる自動車イベントのなかでも、もっとも魅力溢れるもののひとつといって過言ではありません。2024年は8月9日~18日にて開催され、多くの来場者を集めて盛況のうちに幕を下ろしました。今回はアメリカ モントレーより、2024年のイベントレポートをお届けします。
カーレースからオークションまで大小さまざまなイベントが開催
モントレーはアメリカ サンフランシスコから南に200kmほどの距離にある人口3万人ほどの小さな街です。
目の前に広がるモントレー湾では野性のラッコが戯れる姿がたびたび目にされるほか、およそ20㎢の陸地はそのほとんどが起伏に富んだ荒野か林で、自然豊かな美しい景観を誇ります。気候は穏やかで晴れの日が多く、真夏でも最高気温が25℃に達することがほとんどないのもモントレーの特徴。そんな爽やかな青空を求めて、全米から多くの観光客が集まるのも納得です。
この街が全米だけでなく全世界から注目される理由が、もうひとつあります。それが、8月中旬に開催されるモントレー・カー・ウィークです。
モントレー・カー・ウィークはモントレーを中心とする地域で開催されるクルマ好きのための大小様々なイベントの総称で、オークションやヴィンテージカーで速さを競うヒストリックカーレース、車両の美しさを競うコンクルー・デレガンスなど、バラエティに富んだイベントが繰り広げられます。
中には、ショッピングモールの駐車場に参加者が思い思いにクルマを並べているだけといった風情の小規模なイベントもあり、それを通りがかった市民が見るとはなしに眺めているといった風景もしばしば見かけます。
際立って人気が高いのが、「モントレー・モータースポーツ・リユニオン」、ザ・クエイル、モータースポーツ・ギャザリング」、「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」の3つのイベント。
TIPS
モントレー・モータースポーツ・リユニオン スリリングなレーシングコースとして名高いラグナセカを舞台に4日間開催されるヴィンテージカーレース。
ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング クエイル・ロッジ&ゴルフクラブで催される200台限定のカーショーで、希少なクラシックカーや新型車両が展示される。
ペブルビーチ・コンクール・デレガンス ペブルビーチ・ゴルフリンクスというゴルフ場で開催される自動車ショー。世界各国の著名コレクターが愛車を持ち込み、美しく仕上げたクラシックカーと着飾った乗員などの華やかさを競い合う。
また、「モーターラックス」というイベントではジェット機が展示されるなど、幅広いモビリティを楽しむことができるのもモントレー・カー・ウィークの特徴です。
1965年製F1マシン「RA272」がデモ走行に登場
今年、Hondaはこのモントレー・カー・ウィークの多彩なイベントにて、その存在を世界中の自動車愛好家に印象づけました。
とりわけ注目されたのが、1965年製F1マシン「RA272」でモントレー・モータースポーツ・リユニオンに参加したことではないでしょうか。
RA272は、1965年メキシコGPで栄冠を勝ち取ったF1マシン。Hondaは、去る7月にイギリスで開催された「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」に、このRA272の11号車とともに参加しました。
エンジン始動に苦しみながらもF1ドライバーの角田裕毅選手とホンダ・コレクションホールのテストドライバーである宮城 光さんがそのステアリングを握ったことは、このHonda Storiesのグッドウッド 2024レポ(※1)でご紹介したとおりです。グッドウッドでのイベント終了後、RA272はそのまま大西洋を横断してモントレーに運ばれてきました。
※1 グッドウッド2024年レポについて詳しくはこちら
グッドウッドより運ばれてきたRA272はラグナセカのガレージでの展示を経て、モントレー・モータースポーツ・リユニオン最終日に行なわれたデモ走行「マクマーティ・エキシビション」に出走。このほか、往年のF1マシンが参加する「マリオ・アンドレッティ・トロフィー・レース」のフォーメーションラップ(※2)でリードカー(※3)を務めるという大役を果たしました。ちなみに、RA272のエンジンの様子はグッドウッドのときとは対照的なスムーズな始動で、スケジュールどおりにすべての走行をこなすことができました。
※2,3フォーメーションラップとは、自動車レースにおいてスタートする直前に行われる周回のこと。そのなかで先頭を走るクルマがリードカー
今回Honda側のスタッフは、1960年代のF1メカニックたちが着ていた作業着や帽子を着用し、当時の雰囲気を再現。これが現地ファンには大いに喜ばれ、「メカニックたちと写真を撮りたい」とファンが詰めかけたほどでした。
グッドウッドでRA272を静かに眺め、エンジンの暖機運転(※4)が終わると穏やかに拍手を贈ってくださったイギリスのファンに対し、アメリカのファンはとにかく陽気で開放的。暖機運転が終わった後の拍手にしても、まるで映画に登場するヒーローに声援を贈っているかのような、力強さや明るさの感じられるものでした。
※4エンジンの各部にオイルを十分に潤滑させることを目的に、走行前に一定時間アイドリングを行うこと
またこれ以外にも、アメリカのファンがHondaの関係者に積極的にコミュニケーションを図ろうとしていたことは印象的で、自分が所有するHondaのV-TEC(※5)搭載車の話を熱心に語りかけたり、ドライバーの宮城さんが日本のスーパー耐久シリーズに参戦していた当時の写真を手にしてパドックにやってきたりするなど、熱狂的な姿が目立ちました。
※5 正式名称は「バリアブル(V)バルブタイミング(T)アンド リフト・エレクトロニック(E)コントロール(C)システム」。「パワー」と「環境性能」を両立させるためのテクノロジー。
新しいEV用プラットフォームを採用した次世代EVコンセプトを発表
●ザ・クエイル・ア・モータースポーツ・ギャザリング/ペブルビーチ・コンクール・デレガンス
Acuraブランド(※6)は、毎年恒例となっているAcura プライベート・コレクションやザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリングで「Acura パフォーマンス EV コンセプト」と「インテグラ・タイプS HRCプロトタイプ」を世界初公開しました。
※6 北米におけるAcuraの展開について詳しくはこちら
Acura パフォーマンス EV コンセプトは、プレミアムパフォーマンスブランドであるAcuraの次世代EVの方向性を示すモデルとして、米国カリフォルニア州のアキュラデザインスタジオで開発されました。アグレッシブなフロントデザインは、スーパーヨットと呼ばれるラグジュアリーな大型ヨットからインスピレーションを得ています。また、次世代EVプラットフォームが採用されている点にも注目が集まりました。
インテグラ・タイプS HRCプロトタイプは、軽量化や空力性能の向上など、現行モデルから大幅な機能向上を図り、パフォーマンスモデルとしての可能性を示しました。
また、ペブルビーチ・コンクール・デレガンスでは、Hondaがピニンファリーナと共同開発して1984年のトリノショーで公開したデザインコンセプトカー「HP-X コンセプト」が40年の時を経てレストアされ、展示されました。
●モーターラックス
モントレー空港内で開催された「モーターラックス」というイベントではHondaJet(ホンダジェット)を「Acura ZDX タイプS」とともに展示しましたが、HondaJet の機内を見学したいというお客様が多数訪れたほか、具体的な問い合わせも何件もあったようです。
今年のモントレー・カー・ウィークは、量産車やレーシングカーなど幅広いジャンルで長年活躍してきたHondaの足跡、そしてこれからを改めて知る絶好の機会になったといえるでしょう。
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