Sustainable impacts 2022/11/14
カーボンニュートラル達成のため、愛するHondaモビリティを持続的なものにするため──
「2050年までにカーボンニュートラルを達成する」という大目標は、Hondaだけで達成できるものではありません。数多くの取引先と連携しながら、取り組みを進める必要があります。サプライチェーン全体のCO2排出量削減を目指す部署に所属する廣川が、環境の取り組みにかける想いや今後のHonda製品への期待を語ります。
廣川 貴公Takahiro Hirokawa
四輪事業本部 サプライチェーン購買統括部 調達企画部 企画課
自動車メーカーに8年間勤めたのち、2019年にHondaへ転職。入社以来、サプライチェーン全体の強化・効率化を目指す部署でカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを行う。入社2年目で環境取り組み推進の対外発信をメインで行うなど、購買ESG領域のキーパーソンとして活躍。
カーボンニュートラルを目指し、取引先に寄り添った取り組みを行うために働きかける
Hondaでは、クルマづくりを支えるサプライチェーンを効率化し強化する取り組みを進めています。サプライチェーン購買統括部の調達企画部企画課に所属する廣川は、製品LCAグループに所属し業務にあたっています。
廣川 「LCAとはライフサイクルアセスメントのことで、クルマづくりの工程全体における環境負荷を評価するもの。製品使用からのCO2だけでなく、部品製造や原材料などのサプライチェーンにおけるCO2削減に向けた取り組みを推進するのが、当グループの役割です。そのなかで私は実務として環境施策の企画と実行を担っています。
カーボンニュートラルを目指していくためには、Honda1社で考えるのではなくお取引先と共に進めていく必要があります。お取引先の自社工場はもちろん、購入部品や原材料などパーツをつくる際に発生するすべてのCO2を抑えるために何をすべきかを考えています」
環境にまつわるHondaの方針を取引先に発信し、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを呼びかけている廣川。2021年11月には取引先約280社に対し説明会を行いました。
廣川 「まずは社会的なカーボンニュートラルの流れとHondaの目標について発信するのが大事だと考え説明会を行いました。カーボンニュートラルの達成というHondaとしての目標は明確になった一方で、お取引先から具体的施策の共有を望む声もいただきました」
説明会を行うことでHondaが背負う責任の大きさを実感するとともに、見えてきた課題もありました。人に寄り添うことを大切にしているHondaとして、改善すべき点があったと廣川は振り返ります。
廣川 「お取引先各社にご納得いただけるまで寄り添えていなかったのは反省点です。カーボンニュートラル達成は難問なので、お取引先にお願いしますと伝えるだけでなく、一緒に重点を決めながら取り組んでいく必要があります。
そこで、2022年は新たに方針を発信するため、関係各所に働きかけているところです」
第一志望だったHondaに再チャレンジ。新しい知識を学びながら日々挑戦
廣川は2019年にHondaへ転職するまで、別の自動車メーカーに勤務していました。前職でも環境分野に携わっていましたが、購買ではなく生産部門で公害防止などを推進。実は、新卒で就職活動をしていた際に廣川はHondaを第一志望としていたのです。
廣川 「Hondaに入社したかったのですが、新卒時の就職活動ではご縁がなく、別の会社に声をかけていただいて入社することになりました。その選択に悔いはなく、ずっとその会社で働いていこうと考えていたんです。
しかし、あまり異動のない会社だったため30歳までずっと同じ部署で働いており、人生一度きりなのでもう少し広い視野で仕事をしてみたいと思うようになりました。そこでもう一度Hondaに挑戦したいと考え、環境分野の募集があったため応募し、今に至ります」
前職では自社の工場を対象に環境の取り組みを進めていましたが、Hondaでは取引先との連携がメイン。取引先と取組みを進めていくためには、部品の素材や製造工程についての理解を深め、設計/開発部門とも連携を取りながら進める必要があります。
廣川 「前職の経験を活かしているというより、新しい知識を勉強しているところです。そんななかでも自ら手を挙げれば周りが『やってみろ』と言ってくれるので、Hondaは懐が深い会社だと思います。年次や経験にかかわらず、ワイガヤで皆が意見をぶつけ合えるのもいいですね。
会話のなかでも、『君の想いはなんだ?』『なぜそう考えるんだ?』と毎回のように聞かれます。そこがしっかりしていれば失敗しても次に活きると言われているので、自分の軸を大切にしていきたいですね」
ゲームチェンジのように、世の中で環境が重視されるようになった
これまでの自動車業界では、環境に関する取り組みは「有害な物質を排出しない」「法律を守る」など、社会的責任の側面が強い活動とされてきました。しかし、現在は環境への取り組みが企業競争力を高め、購入や投資につながります。
廣川は前職に入社した頃から、環境を重視する時代が来ると考えていました。
廣川 「以前の環境に関する取り組みでは、どちらかといえば守りに近いスタンスの企業が多かったように思います。それがHondaでいえば2021年、ガラッとゲームチェンジをしたように環境が前面に出てくることになりました。非常に責任のある仕事に携わっていると日々感じながら働いています」
廣川の仕事のモチベーションになっているのは、Hondaを愛するがゆえにモビリティを持続的なものにしたいという強い想いです。
廣川 「私は小学生の頃からずっとHondaが好きで、自分で買ったバイクやクルマもずっとHonda製です。だからこそ、ワクワクさせてくれるHondaのモビリティにこれからも乗り続けたい気持ちが強いんですよね。
しかし、環境面で見るとバイクやクルマはCO2を排出するので、マイナスの側面もあります。これからもHondaのモビリティに乗り続けるためには、CO2排出をライフサイクルで考えなければならない。今それが注目されはじめているので、自分のやりたいことと時代の流れが合ってきていると感じています」
社内外の連携を強化し、大きな目標の達成に向けて歩みを進める
エンジン音が好きで、子ども時代からHonda製品の虜になった廣川。昨今進んでいるモビリティの電動化については思うところがあるものの、今後Hondaが生み出す新たな価値に期待しています。
廣川 「今まではHondaのエンジン音が好きでしたが、電動化によって魅力に感じる部分が変わってくるのかなと思っています。新しいことに挑戦し続けるHondaでは、きっと今後のモビリティで新たな魅力を生み出していくはず。そこに私も貢献していければいいなと考えています。
今までは燃費がいいことがお客様の評価軸だったかもしれませんが、今後はクルマ1台が排出するCO2が低いことが価値になるかもしれません。そのような環境性能を評価する価値観を醸成していければ、私たちの活動もより具体的になっていくのかなと思います」
2050年、全活動のCO2排出量を実質ゼロにする。この大目標を達成するために進んで動く部署にいる廣川は、今後さらに社内外の連携を強化していきたいと考えています。
廣川 「カーボンニュートラルの達成を目指す活動は、壮大です。Honda1社で推進できる活動ではなく、自動車業界や他の業界とも協力しながら仲間を増やし、皆を巻き込みながら取り組みを進めていく必要があります。
私は調達部門にいますが、社外のお取引先や社内の他部署とも連携しながら目標達成に向けた取り組みをすることになります。その際、皆様がついてきてくださるように、共感し合える企画提案が必要です。コミュニケーションを取って意見を聞きながら進め、難しい目標を達成していきたいですね」
自分が愛するHondaのモビリティに乗り続けるため、そしてワクワクを与えてくれたモビリティを持続可能なものにするため、サプライチェーン全体のCO2排出量削減に向けた取り組みを推進する廣川。
純粋な愛情をモチベーションとして、これからもカーボンニュートラル達成に向けて全力を注ぎます。