4カ月で作り上げられたチャンピオンマシン
完成したNV0Bはグランプリ前哨戦のデイトナに向かった
エンジンはNV0Aのものを踏襲。といっても、そのまま使うわけではなく、軽量化を主とした改良を図った。車体も同様で、レイアウトは奇をてらったものでないが、材料や製法には新機軸を投入した。それが、内部にリブをふたつ仕込んだ目の字断面のアルミ押し出し材を用いたツインスパーフレームだ。NV0Bより約半年先行して開発された1985年モデルのGP250ワークスロードレーサー RS250RW(開発記号「NV1A」)で初採用していた新技術であった。同車で手法を確立し、素性の良さも確認済みであった目の字断面フレームをNV0Bにも応用展開した。そして、サスペンションやホイール、ブレーキといったコンポーネントには、NR500時代から改良を重ねてきた実績のある技術を使用。そうして車両を成り立たせることで、短期での開発を可能としたのだった。
果たしてHRCは、開発の正式スタートから4カ月後である1985年2月中旬に、NV0Bを完成させた。同車は、HRCのテストライダーであった飯田浩之によって初走行した。そこでひととおりの動作確認が行われ、OKが出されると、すぐさま梱包されて航空貨物に。世界グランプリ戦での勝負の前に実戦を経験させるため、できたての2代目NSR500はアメリカのデイトナへと送られた。