ハイブリッドシステム Honda e:HEV
エンジン搭載別ラインアップ
[1.5LアトキンソンサイクルDOHCエンジン搭載のe:HEV]
大幅な省スペース化を実現したコンパクトカー向けのe:HEVe:HEVに組み合わせる専用エンジンの中で最もコンパクトなエンジンが、1.5LアトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジンです。インテークマニホールドを新設計し、その上部にエアクリーナーを搭載するなど、効率のよいレイアウトを追求。モーターも小型化したことで、補器類を含めたサイズは従来の2モーターハイブリッドシステムに対し、幅方向、前後方向共に20%以上短縮し、エンジンルームのスペースが狭いコンパクトカーへの搭載を可能としました。
エンジンはHondaが得意としてきたVTEC※1と電動VTC※2を組み合わせたことに加えて、燃焼高速化やフリクション低減を徹底したことで、40%以上の最大熱効率を達成、優れた燃費性能を発揮します。また、エンジンが発するノイズを発生源から抑制するため、チェーンケースへインシュレーターを追加し、静粛性を向上。さらには電動VTCの制御を最適化することで、エンジン始動時の振動を低減しました。アイドリングストップからの復帰時も、エンジンをなめらかに再始動します。
この1.5LアトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジンに組み合わせた発電用モーターと走行用モーターは、ローター(回転子)の磁力を強化し、ステーター(固定子)は従来の「集中巻きステーター製法」から、角断面ワイヤーを密集させて容積効率を高めた「セグメント巻線ステーター製法」を採用。さらに角断面ワイヤーの被膜厚を低減させながら耐電圧性を向上させたことで、従来の2モーターハイブリッドシステムのモーターに対し、幅方向のサイズを12%以上短縮しながらも、大トルク化を実現。一般的※3な2.4L自然吸気エンジンを上回る高いトルクを実現しているため、力強く滑らかな走りが可能です。
※1 可変バルブタイミング・リフト機構
※2 連続可変バルブタイミング・コントロール機構
※3 HondaのL4 2.4L自然吸気エンジンとの比較。Honda調べ
[2.0LアトキンソンサイクルDOHCエンジン搭載のe:HEV]
走りと燃費、静粛性を高い次元で両立したe:HEV運転に余裕をもたらす力強い走りと高い静粛性を追求したe:HEVに採用したのが、2.0LアトキンソンサイクルDOHC i-VTECエンジンです。Hondaが得意とするVTEC※1と電動VTC※2の高精度なバルブコントロール技術によって、走りと燃費、そして静粛性を、高い次元で両立しました。従来のe:HEV用2.0Lエンジンに対し、高圧縮比化や吸気損失の低減、そして徹底したフリクション低減により、熱効率も向上させており、さらには、車速とエンジン回転数が連動した気持ちのよいエンジンフィールも追求しています。
エンジンは、燃焼室のコンパクト化とピストン冠面形状を改良し、圧縮比を13.0から13.5へとアップさせています。その際ノッキング対策として、ナトリウム封入エキゾーストバルブを採用したことで、燃焼効率を高めることに成功しました。さらには、高流動タンブルポートを採用して混合気の均質化を促進したことで、EGR(排ガス再還流)の導入量を増加させることができ、ポンピングロスの低減にも成功しています。加えて、カムシャフト、クランクシャフト、ピストン、シリンダー、チェーンガイドなどには、広範囲にわたってフリクション低減技術を採用しています。
このエンジンユニットへ組み合わせた走行用モーターは、高出力・大トルクモーターを採用。低速から高速まで、幅広い速度域で力強く滑らかな加速をもたらします。また、発電用モーターと接続された、ジェネレーターギアの幅を最適化して噛み合い音を低減したことで、より静かな走りも実現させました。
※1 可変バルブタイミング・リフト機構
※2 連続可変バルブタイミング・コントロール機構
[2.0L直噴アトキンソンサイクルDOHCエンジン搭載のe:HEV]
高い環境性能とスポーティーな走りを追求したe:HEV高い環境性能はそのままに、より爽快で上質な走りを追求したe:HEVに採用したのが、2.0L直噴アトキンソンサイクルDOHCエンジンです。熱効率に優れたアトキンソンサイクルに加え、通常のポート噴射システムから、燃料をシリンダー内に直接噴射する直噴システムを採用。燃料を無駄なく燃焼させることで、従来のe:HEV用2.0Lエンジンに対し、走り、燃費、排ガス、静粛性のすべてを向上させました。
エンジンは、燃料を35MPaという高い圧力で最大4回に分けて高圧噴射し、シリンダー側壁への付着を抑制しながら微粒化。低回転から高回転まで、幅広い領域でエミッション(燃焼ガス中の有害物質)を抑制しています。さらに、吸気を高速で導入してシリンダー内へ強いタンブル流を生成する高タンブル吸気ポートや、浅皿状の冠面で吸気の作り出したタンブルを保持・加速するタンブル保持ピストンも採用しており、世界トップレベルとなる約41%の最大熱効率※1を達成しました。また、直噴システムの採用によりストイキトルクが30%向上し、燃料比率を高めることなく必要トルクの発生が可能となりました。それにより、エンジンモードでの走行可能領域が拡大し、高速クルーズ時の静粛性が向上しました。
走行用モーターは、高出力・大トルクモーターを採用したことで、一般的※2なV6 3.0Lクラスのエンジンに匹敵する大トルクを発生し、エンジンから伝達されるトルクの変動を低減するフライホイールに新構造ダンパーを採用したことで、静粛性を向上させました。胸のすく力強い加速と上質さの両立を実現しています。
また、ドライバーのアクセル操作に連動するダイレクトで力強い加速感を提供するダイレクトアクセルや、リズミカルなエンジンサウンドで走りの爽快感を提供するリニアシフトコントロールも採用しています。
※1 Honda測定値
※2 HondaのこれまでのV6 3.0L車の最大トルクとの比較。Honda調べ
[2.0L直噴アトキンソンサイクルDOHCエンジン+平行軸配置2モーター内蔵電気式CVT搭載のe:HEV]
高出力モーターによって、走る楽しさと上質さを高い次元で両立したe:HEV高い環境性能はそのままに、更なる走る楽しさと上質さを追求したe:HEVに採用したのが、2.0L直噴アトキンソンサイクルDOHCエンジンとシリーズ最大のパワフルなモーターを搭載した2モーター内蔵電気式CVTです。2モーター内蔵電気式CVTは高トルク高回転のモーターを従来の同軸配置から平行軸配置に変更し、許容トルクとモーター走行での最高速度を従来の同軸配置仕様に対し、大幅に向上させました。従来のモーター配置のまま、モーターのトルクを向上させると、モーターのサイズと共にパッケージが大きくなり、搭載することができなくなります。そこで、発電用モーターと走行用モーターの配置を変更。平行軸にすることで、パッケージを維持したまま、モーターの大トルク化を実現しました。
モーターのローター(回転子)に用いられる永久磁石を新たに開発し、磁石素子を微細化することで耐熱性を確保しながら、材料成分を調整することにより、磁力を強化。e:HEVシリーズの中で最も高いトルクを発生します。また、ローターの内部形状は、複数のひし形を網目状に組み合わせた多重円環構造とすることで、従来の二重円環構造に比べて、遠心力の分散性能とローター固定性能を高効率に両立。さらには磁石サイズをダウンしたことで、遠心力そのものを低減し、高回転化を実現しました。
また、モーター走行用のギアとエンジンドライブ用のギアが、ひとつのギアを共用(共噛み)していた従来の構造から、モーター走行用とエンジンドライブ用に個別のギアを設定した新構造へと変更。それぞれに最適なレシオ設定が可能となり、モーター走行での最高速度を引き上げながら、エンジンモードでは高速クルーズに適した低エンジン回転となるよう、エンジン直結ギアのレシオを最適化させました。これにより、駆動力と静粛性の両立を実現しています。
Hondaの2モーターハイブリッドシステムは、一般的なシリーズ式やシリーズ・パラレル式とは異なり、エンジンで直接駆動するエンジンモードを有していることに優位性があります。従来のエンジンドライブ用ギアは単一であることから、エンジンドライブはほぼ高速クルーズに限られていました。平行軸配置2モーター内蔵電気式CVTでは、より低いレシオでのエンジンドライブを可能にするギアの追加※1により、従来に対して牽引性能を大幅に向上させた※1ほか、市街地走行でもエンジンドライブを可能とし、緩加速時の燃費を向上させました。
※1 一部のモデルには搭載されておりません
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