エンジンテクノロジー VTEC

※2004年10月発表の情報

エンジン百年のジレンマを解決し、常識を覆したVTEC

まずはじめに、VTECとは何かをご紹介しましょう。
エンジンが生まれて百年、VTECが登場するまで、エンジンは“不器用”でした。
“不器用”とは、「あちらを立てれば、こちらが立たず」ということ。

VTECが登場するまでのエンジンは日常の使い勝手を立てると、スポーツ性が立たず、スポーツ性を立てると、日常の使い勝手が立たずジレンマにおちいる状況だったのです。

「日常の使い勝手」と「スポーツ性」を両方立たせ“器用”なエンジンにする技術。それがVTECです。

“器用”なエンジン、VTECの新発想

エンジンは、「吸気」「圧縮」「燃焼」「排気」を繰り返して動力を生み出します。
VTEC以前のエンジンは、「吸気」「排気」を行うバルブと呼ばれる弁の開きが常に一定でした。

だから、日常よく使う低回転でちょうどよく「吸気」できる《少なめ》のバルブの開きにすると、スポーツ走行で多用する高回転でちょうどよく「吸気」できる《多め》のバルブの開きにできないため、“不器用”なエンジンだったわけです。

そこで、バルブの開きが常に一定という常識を覆し、低回転で《少なめ》、高回転で《多め》にバルブの開きを切り替え、両方ともでちょうどよく「吸気」させる。それがVTECの新発想です。

バルブの開きを《少なめ》と《多め》に切り替えるVTECのメカニズム

従来の機構

VTECの機構

そのしくみは簡単。バルブを押し下げるカムとロッカーアームを従来の1種類から2種類にし、バルブの開きを《少なめ》と《多め》に切り替えるのです。

その切り替えは、真ん中が切り離されているロッカーアームの中のピンを油圧で動かして行います。

低回転時は、ピンが引っ込んでいるので、真ん中のロッカーアームが空振りします。バルブは、両端のカムの小さな突起で押し下げられ、開きが《少なめ》となります。

高回転時は、油圧でピンを動かしてロッカーアームをひとつにつなげます。するとバルブは、真ん中のカムの大きな突起で押し下げられ、開きが《多め》となるのです。

「油圧でバルブを押し下げるカムの種類を切り替える」それがVTECのメカニズムです。

つまりVTECは、エンジン誕生百年の常識を覆す新発想で「日常の使い勝手」と「スポーツ性」を両立させ、世界ではじめて“器用”なエンジンをつくり上げた技術です。

1989年、VTECエンジンをはじめて採用したインテグラXSi/RSi。量産自然吸気エンジン初の排気量1リッター当り100馬力の高出力と日常の使い勝手のよさを両立した。(1.6リッターDOHC VTEC 最高出力160PS/7600rpm[ネット値])

Hondaで最も排気量の大きな3.5リッターのVTECエンジンを搭載した2004年登場のレジェンド。300馬力の高出力と日常の使い勝手のよさを両立。

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