1.5L VTEC TURBO エンジン
燃費の良さと走りの楽しさを併せもつ欲張りなターボ
かつてのターボエンジンは、「パワーはあるが、燃費が悪い」というのが常識でした。しかし、HondaのVTEC TURBOは、燃費の良さと走る楽しさを両立させる、新しい時代のターボエンジンです。
1.5L VTEC TURBOは、小排気量エンジンの燃費の良さはそのままに、ターボチャージャーに直噴システムと可変動弁機構を組み合わせることで、2.4Lエンジンを凌ぐ低速トルクと高回転までリニアに伸びるパワーフィールを実現。街中から高速道路、坂道にいたるまで爽快な加速が楽しめます。
そのうえ、1.5L VTEC TURBOには、レギュラーガソリンでその性能を十二分に発揮できる仕様を用意したことで、より幅広いお客さまにその魅力を提供できると考えています。

VTEC TURBOとは?
VTEC TURBOを支える三大技術
小排気量エンジンは燃費が良く、重量が軽いという長所がある反面、大排気量エンジンに比べるとパワーやトルクが小さいという短所もあります。これを克服するのがターボチャージャーによる過給です。
HondaのVTEC TURBOは、「吸排気デュアルVTC」、「直噴システム+高タンブルポート」、「電動ウェイストゲート付き高応答ターボチャージャー」によって、低燃費と運転する楽しさを両立しました。
VTEC TURBO構成図


直噴システムと
強タンブル吸気ポート

高圧の空気をエンジンに送り込むターボエンジンの短所は、エンジン内部が高温、高圧になりノッキングが起きることでした。 VTEC TURBOは、シリンダー内に燃料を直接噴射する直噴技術を用いています。こうすることで、ガソリンの気化熱でシリンダー内部の温度を下げることができます。また、吸入空気に強い流れを与える強タンブル吸気ポートとタンブル保持ピストンにより、燃料を素早くきれいに燃やすことができます。直噴の冷却効果と強タンブル流による急速燃焼で、ノッキングしないようになりました。
燃焼室の様子

燃料噴霧~燃焼挙動

燃料噴霧挙動

吸排気デュアルVTC

かつてのターボエンジンは、エンジンが低回転の際、効率よく過給できず、エンジンのレスポンスの悪さの原因になっていました。VTEC TURBOでは、VTCが吸気バルブと排気バルブの開閉タイミングを変えることで、2つのバルブが同時に開いている時間をコントロール。その結果、エンジン回転が低くても、効率よく過給できるようになったのです。
電動ウェイストゲート付きターボチャージャー

ターボエンジンの課題に「ターボラグ」がありました。アクセルペダルを踏んでも、「排気エネルギーの上昇」→「タービンの回転」→「吸気量の増大」というプロセスを経るため、加速がワンテンポ遅れるのです。VTEC TURBOでは、少ない排気エネルギーでも効率よく回転する小径タービンを備えた電動ウェイストゲート付きターボチャージャーを採用し、この課題を解決しています。アクセル操作に俊敏に反応する、鋭いレスポンスを得られるようになりました。


インタークーラー
インタークーラーは、ターボチャージャーで圧縮され高温になった吸入空気を、エンジンに送り込む前に冷やす装置。高温の空気をそのまま取り入れたのでは、エンジン内部の温度が上昇し、ノッキングが起こりやすくなります。温まった空気は膨張して密度が薄く体積も増えてしまうため、インタークーラーで空気の温度を冷やして空気密度を高めることで、より多くの空気を送り込むことができるようになります。その結果、エンジンは、さらに効率的に稼働します。

ヘッド内蔵水冷排気マニホールド
ターボチャージャーは、エンジンの燃焼室から排気された高温の排気ガスを利用して、エンジンに吸入空気を送り込む装置です。ターボエンジンはトルクが大きいため、燃焼室から出る排気ガスは1000度以上の高温になります。そこで、シリンダーヘッド内部のウォータージャケットによって、ターボチャージャーに入るまでに排気ガスを適切な温度に下げています。これにより、部品の耐久性を上げ、ターボチャージャーの信頼性が向上します。また、ウォータージャケットを使うことで、燃料冷却だけに頼らない冷却が可能となり、燃費向上にも貢献しています。
2.0L VTEC TURBO エンジン

燃費と走る楽しさを両立する1.5L VTEC TURBOに対し、よりパワーを重視したのが2.0L VTEC TURBOです。1.5L VTEC TURBOの基本設計を受け継ぎながら、可変リフト機構を採用するVTECの搭載や冷却性能の強化などによってこれを実現。2L直列4気筒エンジンの燃費性能を備えながら、大排気量6気筒エンジンに匹敵する320PSの高出力を手に入れました。このエンジンを搭載するCIVIC TYPE Rは、2.0L VTEC TURBOの高性能や軽さを生かし、ドイツのニュルブルクリンク北コースで、FFモデル最速※1の7分43秒80※2のラップタイムを記録。時代が求める環境性能に配慮しながら、さらなる運転の楽しさを追求したのが、2.0L VTEC TURBOです。
※1 Honda調べ (2017年4月現在)
※2 Honda 測定値

可変リフト機構

クーリングチャンネル付ピストンなどの
冷却性能の強化

「CIVIC TYPE R (シビック タイプアール)」がニュルブルクリンクで
FF モデルの最速ラップタイムを更新※Honda 調べ (2017年4月現在)
市街地も高速も低燃費
あらゆるシーンで
燃費が良いVTEC TURBO
VTEC TURBOは、発進と停止を頻繁に繰り返す市街地から高速道路まで、あらゆるシーンで省燃費。市街地を走る際、1.5LのVTEC TURBOと2.4Lのエンジンを比較してみると、2.4Lエンジンは排気量を活かした高いトルクを発生。VTEC TURBOもまた、ターボの効果で2.4L並みの実用トルクを発生させます。つまり、VTEC TURBOによって、小型の1.5Lエンジンでも、2.4Lエンジンと同じような走りができるのです。

まとめ
VTEC TURBOは、ターボチャージャー、直噴システム、そして、可変動弁機構を組み合わせることで、ガソリン1滴1滴のエネルギーを有効に使う技術です。Hondaは、このVTEC TURBOやハイブリッドシステムによって、運転する楽しさと環境性能の両立を図っていきます。
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