モータースポーツ・スポーツ 2024.05.24

カリフォルニア公道をフォーミュラカーが駆け抜ける!「アキュラグランプリ」の魅力に迫る

カリフォルニア公道をフォーミュラカーが駆け抜ける!「アキュラグランプリ」の魅力に迫る

 POINTこの記事でわかること

  • 誰もが楽しめる「アキュラグランプリ」の魅力
  • 公道を走るレースに加え、トラックが宙を舞うエキサイティングなレースやアニメ調のラッピングカーの展示など

Honda Storiesは、海外拠点における現地の取り組みについても紹介しています。グローバルレポート第二弾は北米からお届けします。(第一弾はこちら

北米最高峰の自動車レースといわれるインディカーシリーズ。『Indianapolis 500』が有名ですが、その次に観客が集まるレースイベントをご存知でしょうか。それは毎年4月にカリフォルニアで開催される『Acura Grand Prix of Long Beach』です。

Hondaが北米で展開するパフォーマンスブランド「Acura」の名前を冠したこのイベントではロングビーチの海沿いの公道がサーキットに変わり、フォーミュラカーやIMSA耐久レースカーが走行するほか、ドリフトやトラックレースの種目も。モータースポーツファンのみならず、長らく地元の人々から愛されてきた大会の魅力に迫ります。

公道を走る市街地コースならではの魅力

カリフォルニア州ロングビーチ市内の市街地コースでフォーミュラカーレースが初めて開催されたのは1977年のことでした。

1975年から1983年まではF1もこのロングビーチで開催されていました。1984年になるとアメリカを代表するフォーミュラカーレース「インディカーシリーズ」(当時の呼び名はCARTシリーズ)が「ロングビーチグランプリ」として開かれるようになりました。

2018年、Hondaは主催者側と話し合い、北米を中心に展開するブランド「Acura」のグランプリとして開催することで合意しました。HondaではなくAcuraで契約した背景には、アメリカ西海岸におけるAcuraの認知度を向上させたいという目的があったのです。以来、『Acura Grand Prix of Long Beach』として数々の熱戦が繰り広げられてきました。

ちなみに、同じフォーミュラカーでもF1が世界のサーキットや市街地コースを転戦するのに対して、インディカーシリーズは、アメリカ国内を中心に楕円形のオーバルコースとロード/ストリートコースを舞台に競うのが特徴です。

会場内のあらゆる場所からレース観戦が可能で、誰もがレースを自分のペースで楽しめる。会場内にはレースカーの音が響き渡り、耳栓やヘッドフォンが必要なほど 会場内のあらゆる場所からレース観戦が可能で、誰もがレースを自分のペースで楽しめる。会場内にはレースカーの音が響き渡り、耳栓やヘッドフォンが必要なほど
関係者に配られる耳栓にもAcuraのロゴが 関係者に配られる耳栓にもAcuraのロゴが

ロングビーチグランプリに代表される市街地レースは、日ごろ通り慣れた公道が開催期間中はがらりと様相を変えサーキットに変わるという、日常と非日常の交錯が醍醐味といっても過言ではありません。

郊外にある常設サーキットと異なり、ショッピングセンターやコンベンションホール、水族館で普段からにぎわうロングビーチ市のど真ん中に、サーキットが設営されます。設営には毎年丸2ヵ月をかけているそうで、市や市民をあげてこのレースを応援している様子がわかります。普段買い物で通る同じ道を、レーシングカーが爆音をあげて疾走する姿は迫力満点です。

2024年は2023年の来場実績である19万2000人を上回る歴代最多の19万4000人を記録。2024年のF1日本グランプリ(3日間合計で約22万9000人)とも引けを取らないほど人気なイベントです。車両の展示、キッズスペースなどレース以外のプログラムも充実しているため、家族連れの参加者も多いのが特徴です。

レースだけでなく展示イベントも。エネルギッシュな演出で展示された新型EV「ZDX」 レースだけでなく展示イベントも。エネルギッシュな演出で展示された新型EV「ZDX」
ピットの裏側で行われるメカニックの車両整備を間近で見学できるパドックツアーも組まれている ピットの裏側で行われるメカニックの車両整備を間近で見学できるパドックツアーも組まれている
2013年のロングビーチグランプリでは、佐藤琢磨選手(中央)が日本人ドライバーとして初優勝を飾った。また、2024年3月に琢磨選手はロングビーチ市らが取り組む事業「ロングビーチモータースポーツウォーク」への殿堂入りが発表された 2013年のロングビーチグランプリでは、佐藤琢磨選手(中央)が日本人ドライバーとして初優勝を飾った。また、2024年3月に琢磨選手はロングビーチ市らが取り組む事業「ロングビーチモータースポーツウォーク」への殿堂入りが発表された

ロングビーチGPではインディカー以外にも、さまざまなスポーツカーが参戦する「IMSAシリーズ」や「スーパードリフトチャレンジ」、「スピード/UTVスタジアムスーパートラックス」など、計5種目のレースを開催しています。

IMSAシリーズでは「Acura ARX-05」が2019年から2年連続でチャンピオンに。昨年からは「Acura ARX-06」が参戦しています。

IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップに参戦車両の「Acura ARX-06」 IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップに参戦車両の「Acura ARX-06」
インディカーやIMSAの決勝開会式にはアメリカ国歌斉唱の際に飛行機がコースの頭上を打ち抜くように飛来し、観客を盛り上げた インディカーやIMSAの決勝開会式にはアメリカ国歌斉唱の際に飛行機がコースの頭上を打ち抜くように飛来し、観客を盛り上げた
トラックが勢いよく台からジャンプし、文字どおり「宙を舞う」すさまじい迫力のスーパートラックス トラックが勢いよく台からジャンプし、文字どおり「宙を舞う」すさまじい迫力のスーパートラックス

また、Acuraは2022年にYouTubeでオリジナルアニメ『Chiaki’s Journey(チアキのジャーニー)』を公開して話題になりました。

アニメ『Chiaki’s Journey』
Chiaki’s Journeyのラッピングを施してアニメからそのまま飛び出してきたような姿の「NSX Type S」 Chiaki’s Journeyのラッピングを施してアニメからそのまま飛び出してきたような姿の「NSX Type S」
Chiaki’s Journeyのテイストでラッピングを施した「Integra Type S」。パレード走行やトラブル発生時に安全確保のためにコース上でレース車両を先導するセーフティカーとしても活躍した Chiaki’s Journeyのテイストでラッピングを施した「Integra Type S」。パレード走行やトラブル発生時に安全確保のためにコース上でレース車両を先導するセーフティカーとしても活躍した

サステナビリティへの取り組み

最後に会場で行われるサステナブルな取り組みを紹介。モータースポーツ業界では近年、F1をはじめ、さまざまなイベントでサステナブルの取り組みを強化しています。

ロングビーチが位置するアメリカ西海岸といえばアメリカ国内において環境問題に対する意識が高いことで知られています。

インディカーシリーズでは2023年より植物由来のバイオエタノールやサステナブル合成燃料100%再生可能なサステナブル燃料をいち早く実戦に投入。石油由来の燃料を用いた場合に比べて、CO2排出量を少なくとも60%削減できるといいます。また、ガソリンに比べて引火性が低く、安全性も高いのが特徴です。

サステナブルでありながら、刺激的なレースや様々な工夫が凝らされた車両展示が楽しめるロングビーチグランプリ。2025年はイベント開催50周年の節目の年となります。今後も注目のイベントであることは間違いないでしょう。


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