インド現地法人からHondaでのキャリアをスタートさせたジテンダー。約20年間一貫して人事領域に携わり、アジア大洋州地域の従業員エンゲージメントや効率性向上に取り組んだのち、現在はグローバル規模で、次世代リーダーの選抜や育成に取り組んでいます。ジテンダーに、Hondaフィロソフィーや人事という仕事のやりがい、Hondaが目指すべき姿や今後のビジョンについて話を聞きました。
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Jitender Teckchandani (ジテンダー・テックチャンダニ)
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20年続けてこれたのは、Hondaがフィロソフィーを追求する企業だったから
ジテンダーさんはHondaでのキャリアを、インド現地法人である「ホンダカーズインディア・リミテッド(Honda Cars India Ltd. / 以下、HCIL)」からスタートしたそうですね。まず、同社に入社したきっかけを教えてください。
転職せず、Hondaでキャリアを積んできた理由はなんだったのでしょうか?
3、4年ごとに新しいポジションに就かせてもらえたので、常に新鮮な気持ちで経験したことのない刺激的な仕事に挑戦できたというのが、第一の理由ですね。この間、私のキャリアを気にかけてくれ、私個人としても、そしてプロフェッショナルとしての成長にも有意義な助言をしてくれた素晴らしいリーダーたちと仕事をしてきました。同時に、強力で有能なチームメンバーにも恵まれました。
第二の理由は、Hondaがフィロソフィーを追求する企業だったこと。どんな企業にも企業理念はありますが、大抵は壁に貼られたままの飾りに過ぎません。一方Hondaでは、受け継がれてきたフィロソフィーが、立場や国を越えて実践されているんです。私自身も仕事で行き詰まったとき、Hondaフィロソフィーを読み直すと、進むべき方向が自ずと見えてくるんですよ。
現在所属している人事部タレントマネジメント課では、どんな仕事をしていますか?
現在はグローバル規模で次世代のリーダーを選抜・育成し、適所適材を実現するミッションにチャレンジしています。
現在はまだ小さいチームなので、トップレベルのポジションにしか焦点を当てられていません。今後は徐々にスコープを拡大し、将来リーダーとなる人材の強力なタレントパイプラインを確実にするとともに、後継者育成の文化を育み、地域・領域を超えた人材の流動性を高めていきたいと考えています。
「人」こそがHondaにとって最重要の資産
Hondaのフィロソフィーが社内で実践されていると感じるのは、どのような瞬間ですか?
日本を含め世界中すべての工場で、職位を問わず全社員が白い作業服を着ているということに、まず驚きましたね。他にも、以前勤めていた会社ではランチを食べるフロアが職位ごとに区切られていて、食べ物の質も異なっていたのですが、Hondaでは、同じ場所で、チームメンバーとも上司とも一緒に話をしながら同じ食事することができます。職場も同様に、仕切りがないですよね。このように、様々な場面で「平等」の理念が実践されているのを感じています。
それから、Hondaには相互信頼を柱とする「人間尊重」の理念があります。怒鳴ったり、侮辱したりといったハラスメント行為を社内で見たことがありませんし、後輩であろうと先輩であろうと、誰もが「さん」付で呼びます。
この20年で特に印象に残っているプロジェクトはありますか?
Asian Hondaにいるときに行った人事評価・報酬システムの改革はかなり印象に残っています。2018年に、アジア地域12カ国にあるHondaの32社を対象に従業員エンゲージメント調査を実施したところ、「報酬と評価」が最も満足度の低い項目であることがわかりました。
実は当時、多くの拠点で、国や文化にかかわらず日本と同様に終身雇用・年功序列を前提に給与を決定していました。しかし、アジア地域では転職がスタンダードなので、これでは正当な評価、それに基づく報酬を支払えません。そこで、「人や経験に基づく給与」から「役割・責任や成果に応じた給与」への制度改革を行ったんです。デリケートかつ大きな挑戦でしたが、改善と交渉を続けた結果、人事評価・報酬システムを変えることができました。私にとって最大の挑戦でしたし、現在アジア地域での実施率は98%と、結果としても大成功だったと確信しています。
人事で仕事をしていて、どのような点にやりがいを感じますか?
企業経営を成功させるためには、3つの資源に焦点を当てる必要があります。ヒト、モノ、カネです。3つの資源のうち、モノとカネは有限ですが、ヒトは無限の能力を持っています。ですから、私はヒトが企業にとって最も重要な資産であると考えています。機械よりも複雑なヒトを管理するのは至難の業ですが、適切なフィードバック、トレーニング、モチベーションがあれば、ヒトの行動を正しい方向に導くことができます。人材開発を通じて、社員の能力を向上し、会社が成長するための土台をつくることができる、これが人事の仕事です。チャレンジングですがやりがいのある仕事だと感じています。
真のグローバル企業に必要なのは「多様性」
今後、Hondaにはどんな会社になってほしいですか?
私の夢は、Hondaで働く一人ひとりが自分の可能性を最大限に発揮し、才能を活かして組織の成功に貢献することです。Hondaは、従業員が自由に能力を発揮することを奨励し、前向きで刺激的な職場環境を醸成しています。
しかし、Hondaの人材、特にグローバルで重要なポジションにおける多様性という点では、まだまだ改善が必要です。多くの重要なポジションは、日本人男性によって占められており、外国人や女性の成長機会が限られているように感じています。
私は、多様な人材の参画によってこういった状況を変え、多様性を受け入れることや、文化的知性、誰も排除しない職場環境、グローバルな連携の重要性に対する理解をさらに深めたいと考えています。そうすることで、経営上の重要な意思決定により広い視点がもたらされ、最終的にはグローバルな顧客のニーズや嗜好に沿った商品やサービスの開発につながるのです。
最後に、これからHondaで実現していきたい夢は何ですか?
私の夢はとてもシンプルで、「会社とともに成長すること」です。まずは会社の成長。Hondaのビジョンや基本理念に賛同し、世界中から優秀で多様な人材が集まる真のグローバル組織になってほしい。そして私自身も新しい経験をし、新しいスキルや姿勢を身につけることで、人生に良い影響を与え、より良い人間になりたいと考えています。
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インドでは、Hondaが製造している「シティ」という小型自動車が有名で、そのブランドに憧れていたというのが入社のきっかけです。その後、アジア大洋州地域本社であるAsian Hondaを経て、日本に配属されました。
Hondaには20年ほど在籍しているのですが、正直に言うと、入社した当時はこんなに長く勤めるとは思っていませんでした。インドでは3、4年ごとに転職するスタイルがスタンダードだったので、次のキャリアに進むための一つのステップだと考えていたんです。