Honda SPORTS

第80回 都市対抗野球大会 Honda 硬式野球部

2回戦

第80回都市対抗野球大会

8月22日(土) 15:40
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
Honda硬式野球部 3 0 0 0 0 0 1 2 0 6
鷺宮製作所 0 1 0 0 0 0 2 0 0 3
バッテリー Honda 鷺宮製作所(東京都)
投手:筑川-坂本-須田

二塁打
三塁打
本塁打川戸、多幡

鮮やかな先制攻撃、中盤追い上げられるも須田投手が好救援

 初回、2番川戸のホームランなどで3点先制。
 その後、両チーム点を取り合い、1点差に詰め寄られるも代わった須田が好リリーフ。
 8回にクリーンアップの活躍で貴重な追加点をあげたHondaが6対3で初戦を飾った。

 組み合わせが決まったときに、初戦では屈指の好カードとして話題となった。しかも、先の北海道大会でも顔を合わせているのだが、そのときはHondaが苦杯を舐めさせられている。もちろん、本番前の大会でもあり、お互い探りあいという要素もあっただろうが、やはり選手たちとしては、お返しをしたいという気持ちは強くなっていたようだ。そんな意識が、先制攻撃となって表れ、途中追い上げられて苦しい場面もあったが、終始リードをキープして、リリーフしたJFE東日本からの補強選手須田幸太(土浦湖北→早稲田大)の好火消しもあって、結果的には快勝した。

 鷺宮製作所の先発投手は、元巨人で快速球が持ち味の三木投手だったが、Honda打線は積極的に振っていき、二番川戸洋平(日大藤沢→日大)がその速球を叩き右翼中段へ放り込んで、開始わずか3球で先制した。さらに、長野久義(筑陽学園→日大)が左中間へ、西郷泰之(日本学園)が右翼線へそれぞれ二塁打して2点目。続く多幡雄一(星稜→立教大)も中前打してこの回3点目が入って、三木投手をKO。幸先のいいスタートとなった。

 今年のスローガンでもある「“一”への執着」は日本一をとるために、1球1打を大事にしていこうということとともに、「1回からたたみかける」ということもあるのだということを本大会で見事に表してくれた。このリードで、満を持して先発したエース筑川利希也(東海大相模→東海大)は楽な気持ちでマウンドに登ることができた。2回にはストライクをとりにいったところを下位打線に狙い打たれて連打で1点を失ったものの、6回までは被安打3。投球数も68球で、完投ペース。
 さらに、7回には鷺宮の3人目の佐藤大投手から田浦英仙(城北=JFE東日本)が安打してチャンスを作り、1死一塁で佐伯亮(広陵→立正大)があえて送ると、吉岡聡(花咲徳栄→立正大)が右中間二塁打して欲しかった4点目を加えた。筑川投手も好調で、応援席もいくらか余裕が感じられるようになってきた。

 ところがその裏、1死をとった後、いくらか筑川投手の球が浮き気味になってきて、四死球で一、二塁としてしまう。すかさず、安藤強監督はマウンドに行き佐伯捕手とも相談し、続投としたが、鷺宮の七番久保に右前打され1点を返され、なおも1死一、三塁となったところでコーチ兼任のベテラン坂本保(佐伯鶴城)を送り込んだ。ここで、鷺宮ベンチは意表をついてスクイズを仕掛けてきた。慌てたHonda野手陣はバント処理をミスしてしまい、1点差でなおも二、三塁となり一打逆転のピンチとなった。
 1点差となり、安藤監督はリリーフに須田投手を送り込んだ。「監督から、楽しんでこいと言われましたので、緊張するというよりも、本当に思い切り楽しんで投げられました」という須田は、四球こそ与えて満塁としたものの、そこから二者連続三振は圧巻だった。新人投手とはいえ、早稲田大時代には早慶戦の大舞台も経験しているし、高校時代はセンバツで甲子園出場と経験豊富だ。「こんな場面で投げられるんだという嬉しさを感じていました」と思いながら投げたというから見事な度胸である。

 こうして、須田の好火消しで再び流れを取り戻したHondaは8回、1死から長野が右中間三塁打すると、頼れる主砲西郷はしっかりと左翼へ犠牲飛球を放ち追加点。さらに、多幡も左翼へダメ押しともいえるソロ本塁打した。自慢のクリーンアップが初回に続いて見事に機能を果たした。
 今年、休部した三菱ふそうから西郷が加入したことで長野は、精神的にはずいぶん余裕ができたという。「技術的には打撃スタイルそのものは、去年と変わっていないと思いますが、精神的にはずいぶん違います。オレが決めなくちゃいけないという気持ちよりも、西郷さんへつないでいけば何とかなるという気持ちです。8回も三塁打したときは、必ず返してくれるだろうと三塁ベース上で思っていました」

 8、9回は須田投手が気合の投球で、三者凡退。安心して見られる展開となった。
 試合後、安藤監督は、「初回にいい形で3点とったのを、筑川がしっかりと投げて試合を作ってくれたのが大きかったです。7回、ミスもあって追い上げられて少し苦しかったのですが、補強の須田がよく投げてくれました。これで、この大会で須田の使い方にも確かなものが見えてきました。7人の投手を、使い分けて戦っていきます」と、先を見据えた戦い方を描いていたようだった。