Honda SPORTS

第80回 都市対抗野球大会 Honda 硬式野球部

準決勝

第80回都市対抗野球大会

8月31日(月) 18:00
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
NTT東日本 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2
Honda硬式野球部 0 1 0 0 0 0 2 0 X 3
バッテリー Honda NTT東日本(東京都)
投手:大田-筑川

二塁打
三塁打
本塁打

7回初球スクイズで同点、相手失策で逆転。Honda自信の決勝進出

 2回、多幡の二塁打から、キャプテン岡野が先制のタイムリー。
 ところが6回、NTT東日本に逆転を許してしまう。
 1点差のまま迎えた7回、安藤監督の代走起用が的中し佐伯のスクイズと相手エラーなどで勝ち越しに成功。
 6回途中からマウンドへ上がった筑川が安定したピッチングを見せHondaが3対2で接戦を制した。


 台風が接近しているという状況にもかかわらず、東京ドームには多くの応援団やファンの人が集まって熱い声援を送っていた。ドーム内は、外の天候の荒れ模様に関わらず1点を争う熱戦が繰り広げられた。
 今大会に入って初めて、中盤で相手にリードを許したHondaだったが、何も慌てなかった。自信を持った攻撃で、7回に逆転。そのリードを、この日はリリーフとしてマウンドに立っていたエースの筑川利希也(東海大相模→東海大)がしっかりと守りそのまま逃げ切った。これで、ついに、Hondaは2004年以来の決勝進出を果たした。

 この日、Hondaの先発マウンドは、準々決勝に続いて今大会初めて登板する投手起用だった。それだけに、いささか立ち上がりが心配された大田悦生(広島工→流通経済大)だったが、1死後連打でピンチを招く。しかし、ここでNTT東日本が仕掛けてきたエンドランを防いで、三振併殺で切り抜ける。目立たないが、今大会では佐伯亮捕手(広陵→立正大)の好リードと強肩がいぶし銀のように光っている。この日も、このプレーで大田投手の不安を取り除いた。

 今大会、毎試合序盤で先制しているHondaは、この試合でも2回に三塁線二塁打で出た多幡雄一(星稜→立教大)を二塁において、前試合に引き続いて七番DHとして入っている主将の岡野勝俊(東京農大二→青山学院大)が、この日はバットを短く持って、しぶとく三遊間を破って先制タイムリー打とした。前日の本塁打とは違って、技ありの一本だったが、「本来、ボクはこういう打撃も得意なんです。むしろ、これが持ち味ですよ」というベテランらしいテクニックだった。

 試合はこのまま、前半を終えるが、4回には大田投手が制球を乱し四死球で満塁のピンチを作ってしまったものの、そこは何とか切り抜けた。とはいえ、さすがに1点のリードだけでは心細い。

 そんな矢先の6回、大田が先頭打者を四球で歩かせる。続く三番荒川は当たっている選手だ。安藤強監督は、ここでワンポイントリリーフも考えたというが、結局続投したところを右前打されて無死一二塁。すかさず、エース筑川を送り込んで四番清田を三振。しかし、続く平野に右犠飛が出て同点。さらに、代打竹内のボテボテの三塁前内野安打で逆転されてしまった。

 アンラッキーな面もあって、Hondaとしてはいくらか厭な感じの点の取られ方だったが、ベンチは少しもひるんではいなかった。それよりも、「野球は7、8、9回が勝負」(安藤監督)という思いがチームに浸透しているから、終盤の攻撃には自信を持っている。そんな雰囲気が漂っていた。

 とはいえ、打線は相手の下手投げ木城投手の浮いてくる球をやや打ちあぐんでいた。 それでも、7回1死から六番田浦英仙(城北=JFE東日本)が左前打で出塁。続く岡野が今度は右へ引っ張ってしぶとく一、二塁間を破って1死一、三塁。ここで八番佐伯が初球スクイズを決めて同点。安藤監督はこの場面、最初から初球スクイズと決めており、打席に入る前から佐伯には伝えていたという確信の同点劇だった。

 NTT東日本はこれで木城投手をあきらめ、片山投手に交代。Hondaベンチは、すかさずエンドランを仕掛けたが失敗し、2死二塁となってしまった。逆転機を逃したかに思われたが、小手川喜常(大分商→立正大)の一打は相手遊撃手の失策を誘い、二塁走者佐伯が逆転のホームを踏んだ。

 佐伯は守りでも、8回には1死一塁の場面で盗塁を刺して相手の反撃の芽を摘んだ。

 2回の先制打と7回、貴重なつなぎの安打を放った岡野は、「6回にボテボテの安打で逆転されましたが、ベンチは全然慌てていなかったですね。むしろ、あんなタイムリーで負けてたまるかという気持ちが出てきましたよね。そう言いながら、結局こっちは相手のエラーで勝っちゃったんですけれどもね(笑い)」と、上機嫌だった。そして、自身もこの大会は6打席で5打数4安打と絶好調。「とにかく、つなぐ気持ちで打席に入っています。球はよく見えています。今は、負ける気がしませんね」と自信をのぞかせる。
 これで、決勝進出だが、三菱ふそう時代に都市対抗優勝経験のあるベテラン西郷泰之(日本学園)は、「決勝といってもいつもと変わらず、普段どおりやることが出来れば自然に結果はついてきます」と平常心を強調する。決勝で、西郷の都市対抗通産本塁打タイ記録が樹立されれば、もちろん結果はついてくるであろう。

 今大会に入って初めて、相手にリードを許す場面もあった試合展開になったが安藤監督は、「リードされるという場面は、これまでも(他の大会で)何度かありましたから、別に慌てませんでした。佐伯がしっかりとスクイズを決めてくれました。ただ、そのあとエンドランが失敗になってしまいましたが…、(相手に失策が出て)何が起こるかわかりませんね」と冷静に振り返った。