Honda SPORTS

第80回 都市対抗野球大会 Honda 硬式野球部

準々決勝

第80回都市対抗野球大会

8月30日(日) 19:30
試合会場:東京ドーム

チーム名 1 2 3 4 5 6 7 8 9
東芝 0 0 0 0 1 0 0 1 0 2
Honda硬式野球部 1 1 0 0 0 2 0 0 X 4
バッテリー Honda 東芝(川崎市)
投手:諏訪部-福井-須田

二塁打
三塁打
本塁打岡野、長野、田浦

諏訪部が好投。つないで先制、一発攻勢で加点しHondaベスト4進出

 序盤から自慢の攻撃陣がその持ち味を発揮。
 初回、多幡のタイムリーで先制、続く2回には岡野のソロホームランで追加点。
 投げては先発諏訪部が7回を1失点に抑える好投を見せる。
 6回に長野が都市対抗野球大会での自身初打点となるホームランを放つと田浦のソロホームランも飛び出し試合を決定づけた。
 4-2で東芝に快勝、準決勝進出を決めた。


 今年になって最も成長した投手だと安藤強監督の評価が高く、本大会で使ってみたいという思いの強かった諏訪部貴文(中越)が初先発で好投。打線も、つないで先制点を挙げると、あとは重量打線が爆発して一発攻勢で追加点を挙げて逃げ切った。投手陣は2本のソロホーマーを浴びて、2点を失ったものの、Hondaとしては内容的には会心の試合運びだったといっていいだろう。
 これで、Hondaは昨年に続いてのベスト4進出を果たした。

 この日のHondaの先発は、今大会初めての登板となる入社3年目の若手諏訪部だった。ドーム初登板ということで、少し心配された立ち上がりだったが、あっさりと三者凡退で退け、安藤監督以下スタッフをホッとさせた。そして、その裏、一番落合成紀(報徳学園→東海大=JFE東日本)が左前打で出るとバントで二塁へ進む。2死後、四番西郷泰之(日本学園)は四球で歩き一、二塁となったところで、多幡雄一(星稜→立教大)が右前へ先制タイムリーを放った。「今年は、前に西郷さんがいてくれることで、自分にチャンスが回ってくることが多くなってきました。西郷さんが歩かされて自分で勝負というケースも多いのですが、そういう場面で冷静に打てたことが大きいです」と、自分の立場を理解して、チームとしてもつないで得点をしていこうという姿勢を示した。

 さらに2回には今大会初打席となった主将の岡野勝俊(東京農大二→青山学院大)が右中間へソロ本塁打を放った。試合に出たくてうずうずしていたという岡野だが、「チームが勝っていたので、いつかは必ず出場機会があるだろうと思っていました。起用してくれた監督に応えられる一発が出せてよかったです。打ったのは、高めのクソボールでしたね」と、嬉しそうに語っていた。岡野はこの日、次の打席も四球、左前打と3打席ですべて出塁。存在感を示した。今季は、コーチ的にブルペンで投手の球を受けることも多いというだけに、「諏訪部は4、5回に少し球が浮いてきて心配したのですが、7回までよく投げていました」と、投手陣の調子を見据えた発言もあった。

 勢いづいたHondaは、6回には長野久義(筑陽学園→日大)が、「打った瞬間行ったと思った」という会心の一打を左翼スタンドへ放り込む。さらに2死後、六番田浦英仙(城北=JFE東日本)も左翼へ弧を描く本塁打を放って東芝の先発増井投手を引きずり下ろした。これで3点差となり、諏訪部も持ち前のスライダーが低目へコントロールされ、いい感じで7回を1失点で投げた。南関東予選の第一代表決定戦では、リードをもらながらも責任イニングを投げ切れなかったという反省もあった。それだけに、「予選では不甲斐ない投球をしてしまいましたが、それを取り戻せてよかったと思います。コーチからも、打線は調子いいんだから、(打たれても取り返してくれるのだから)思い切って行けと言われていました。だけど、5回の本塁打はいらいと思いますから、次はゼロで抑えます」と自信のコメントだった。

 8回は福井良輔(横浜→国際武道大=JFE東日本)が投げ、東芝の一番大河原にこの日2本目のソロアーチを浴びたものの、9回はこの大会ではすっかり抑えのエースとしてチームに定着している須田幸太(土浦湖北→早稲田大=JFE東日本)を投入。2死から1安打は許したものの、危なげなく抑えて、安定したところを示した。

 試合後、安藤監督は、「空中戦でしたね」と苦笑しながらも、「初回のチャンスに多幡が打ってくれたのが大きかったです」と、つないで取った先取点の価値を評価していた。さらには、期待の諏訪部に関しては、「本大会ではどこかで使いたいと思っていました。その機会を窺っていたのですが、使うとすれば途中からよりは先発でと思っていましたので、ここ(準々決勝)がいいタイミングでした。今日はコントロールもよく、いい投球でした」と、期待に応えてくれたことに満足の表情だった。
 これで、Hondaは2年連続のベスト4進出となった。この大会では毎試合のようにヒーローも変わり、チームのムードは上々である。

 なお、この日は試合前に長野選手のユニホームが紛失してしまうという事件があった。一瞬、試合に出られないかもしれないという心配もあったというが、相手チームと連盟に伝えて、いつもの「10」ではなく、この日試合に出ない選手の「31」を着用して出場ということで許可されことなきを得た。しかも、そのユニホームで一発も出て、「明日から、それ(31番)で行け」と他の選手からからかわれるというハプニングがオマケとしてついていた。長野は、「どうもスミマセン」と、本塁打とは別にコーチらに平謝りだった。