MONTHLY THE SAFETY JAPAN●2003年2月号


OPINION


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PROFILE
1962年兵庫県西宮市生まれ。82年、鈴鹿サンデーオートバイレースデビュー戦3位。83年全日本選手権GP250ccチャンピオン、全日本選手権F3チャンピオン、スズカ4時間耐久レース総合優勝。84年、全日本選手権F1およびF3チャンピオン。86年世界耐久選手権シリーズ鈴鹿F1総合5位。88年〜91年ホンダレーシング契約・全日本GP500cc参戦。93年全米選手権650ccおよびSS600cc全米チャンピオン。95年全米選手権チームチャレンジランキング3位。99年全米選手権GP350ccランキング4位、全米選手権F500ccランキング5位。四輪スーパー耐久シリーズクラス4チャンピオン。2000年四輪スーパー耐久シリーズクラス4ランキング3位。2001年四輪10勝、24時間耐久レースクラス4優勝・総合3位。
 宮城さんが高校での交通安全講話を始めて4年。二輪、四輪のレースの経験を通じて、街中での安全にかかわる話をしています。生徒たちの興味はまずはレースです。「あんなスピードでよく走れますね」と聞かれるそうです。「スピードが出せる条件があるから」と話しているそうです。
 「レースにはルールがあります。そして、スポーツマンシップに則った一定のマナーがあります。選手同士にルールとマナーを守るという信頼感があるので、安心して競技ができるのです。街中ではどうですか。交通ルールを自己流で解釈したり、マナーを無視したりと、残念ながらすべての人が必ず守っているとはいえません。信頼感がないところでは、レーサーは決してスピードを競うことはしないのです」。
 もう一つ、宮城さんが条件に挙げるのが「技量」と「経験」です。公道では経験の少ない人もいれば、運転が苦手な人もいます。一方、レーサーはすべて一定の技量と経験をもっていることが信頼感につながっています。さらに宮城さんが高校生に伝えたいことは、「技量とはスピードを出すことではない」ということです。
 「レーサーの技量が評価されるのは『止まる』ことです。路面の状態や周囲の状況などを読む判断力、技術と経験、センスで差がつく。そこでレースの勝敗がつくことが多いのです。止まることが最高のテクニック。『レーサーは時速320kmであなたの目の前でピタッと止めることができないと走れない。止まる技術があるから走れる』と、話しています」。

 ルール、マナー、技量、経験を通じた選手同士の信頼感がレーサーの安全確保の基盤にあるのですが、それも選手が自分の安全は自分で守るという自己責任のうえで成り立つと話す宮城さん。
 SJ2月号では、自分の安全は自分で守るために安全を人に依存しない、車間距離を取ることの大切さについて話していただきました。



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