2001年1月号

  
 安全で夢のある社会
 づくりに全力を注ぐ

吉村 昨年は安全運転普及本部ができて30年になります。30年経って交通安全教育のあり方や、方法なども変わってきていると思いますが、これからはどういう教育を目指していかれますか。
吉野 やはり超高齢化社会になるわけですから、高齢者の安全教育がまず重要です。そこで高齢者の方が毎年、健康診断を受けるように、運転に関する”健康診断“ができないものかと考えています。「あなたの運転の弱点はこうです。こういうところに気をつけてください」ということが楽しく、気軽にできるようにしたい。自ら進んで自分の運転の安全チェックを受けるようになることが理想ですが、そのための手法とかプログラムを開発したいと思います。もう一つは女性ドライバーに向けた安全教育です。女性が教育や訓練に気軽に参加できる環境を提供できればと考えています。そして、運転の傾向を計測できるような簡単な装置を1日付けて運転したら、「あなたはいつも左側1m以上開けています。右側は非常に狭いですよ」といったことが出てくる。そうしたフライトレコーダーのようなものや、もっと簡単にできるシミュレーターを開発して、その人の運転を診断して処方箋も出てくるようなことができたらいいと考えています。
 もう一つは、これから自動車の時代を迎えるアジアでの安全運転普及活動です。すでに二輪などでは日本で培ったノウハウを活かし、いろいろな安全活動を展開しています。
 お客様がホンダの製品をお使いになるということは、それによってある意味で幸せになりたいからだと思っています。しかし、事故が起きたら幸せなど吹っ飛んでしまいます。ホンダのお客様が幸せを目指しながら不幸になることをできる限り減らしたいということが、われわれの安全活動の原点にあります。
吉村 昨年の2月、中国政府に招かれて北京で防災セミナーの基調講演をしました。私にとって25年ぶりの北京は、完全にクルマ優先の都市になっていて、北京市内を歩くと毎日クルマに自転車や人がはねられる事故を目撃します。それこそ日本でいう第1次交通戦争、昭和30年代後半から40年代初めにかけて多かった事故の形態です。かつて「北京秋天」といわれたような澄みきった青空は失われ、今や朝出かけて夕方帰ってくると白いワイシャツの襟から袖まで真っ黒になってしまいます。アジアの国々に対して日本の自動車産業が安全と環境について貢献することが求められている。まさに21世紀へのチャレンジといえますね。
吉野 われわれのもう一つの夢は2本足のロボットの開発です。これは将来、たとえば地雷除去や盲導犬の代わりや災害のときに人を救助するなど様々に活用できますので、なんとか開発したいと力を入れています。技術的にはもっと人工知能を発達させなくてはいけないことと、2本足で歩かせることが非常に難しかったのですが、何とか世のため人のために役立つものにしたいと、社員一同、志をもって取り組んでいます。
吉村 自動車会社がロボット技術に挑戦して、それをいかに世のため人のために応用できるかを研究されている。そうした夢の実現を是非、期待したいですね。
吉野 そういう使命や正義といったものを掲げることが、従業員のパワーや能力が出てくるもとだと思います。
吉村 本日はどうもありがとうございました。


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