Hondaの「水源の森」保全活動をより多くの人に知ってもらいたい。参加してもらいたい。そう思った私たちは、保全活動が必要で、初めての方も、子ども達も、みんなが参加しやすい森林はあるのだろうかと考えました。そして見つけたのが日本一の標高を持つ山、富士山です。世界文化遺産に登録されている富士山ですが、一部豊かな森林や生態系が失われ、森の再生を必要としており、100年後の森を目指した大きなプロジェクトが進行中なのです。日本一の山、富士山をよりよい形で子ども達に残そう、「豊かな自然を次世代に」の想いを持つHondaは、このプロジェクトに参画することを決めたのです。
2002年、富士山2合目、標高1,600mあたりの出来事でした。トウヒツヅリハマキという蛾の幼虫が大発生し、これまで植林していた森を100ha(東京ドーム約20個分)も枯らしてしまったのです。原因はシラベという一種類の木のみを植えていたことにありました。
そこで、より環境の変化に強い天然林のような森を目指して「富士山の森づくり」100年のプロジェクトがスタートしたのです。
今回はその一環として、富士山の天然広葉樹林に多くある樹種の中から自生種※を選び、その苗木をみんなで植えました。
※ある地域に古くから自生している
「富士山の森づくり」が目指すのはより天然林に近い森です。様々な種類の樹木が不規則に茂っていて虫や鳥や動物が集まり、人の手を加えなくても維持されていく、そんな森です。そこで、富士山に自生する樹種の種から苗木を育て、ランダムに植えていきます。子ども達が大人になった頃、さらに孫たちが育つ頃の未来を見据えたプロジェクトです。
(photo:天然林の写真)
ヘルメット・ゴム手袋
を受け取って出発!
Honda 執行役員の尾高や山梨県富士・東部林務環境事務所の加藤さんなどから今日の主旨や富士山の森づくり、作業について説明していただきました。私たちが知らなかった富士山の現状を知り、「自分たちで富士山の森を守りたい」と、取組みへの意欲が高まります。
まず最初に天然林を見学しました。我々が目指すのはこういう森なんだ、と最初に肌で感じてもらうのが目的です。空気がものすごくおいしくて、耳を澄ますと虫や鳥の声 、木々のざわめきを全身で感じ取れます。しかも土がふかふか。何時間でもいたくなるようなここちよい空間でした。
天然林で味わった感動を胸に、いよいよ苗を植える現場へ。森の中のところどころに広がる木のない場所に補植をしていきます。
作業が終わったらバスで麓に降りてお昼ご飯。大勢でひとつの鉄板を囲み、皆で協力したからこその格別の美味しさです。
見つけたよ!
「富士山の森づくり」では富士山に自生しているものと同じ種類の育苗した苗を植えます。今回はミズナラ・カエデ・ヤマザクラの3種類。苗木がしっかりと根付き元気に育つように、根を肥沃な土で包んだ「根巻き苗」です。
苗を植える作業は2〜3人一組で協力して行います。実際に自然にふれあい、みんなで汗を流す、決して1人ではできない作業を体験することで活動の重要性を実感してもらうことができました。
黒くてコロコロしているのはシカのフンや、白い花がかわいらしいシロバナノヘビイチゴ 。ウンモンテントウも発見!豊かな自然が残っていますね。
福岡さん/都心に住んでいて自然に触れる機会が少ないので、体験させてあげたいなと思い、子どものために来ました。
娘さん/自然で遊ぶのは好き。道じゃないところを歩いたのが楽しかったです。
自分が植えた木がちゃんと育つといいなあと思います。
石黒さん/Hondaらしいなと思ったのはまず最初にゴールを見せるところ。天然林という目指すべき姿を見せてもらえたことで、植林への気持ちも変わってくる。
まさにHonda流だなと感じました。
加藤さん/汗をかいて作業した後、うしろをふり返った時に見える緑が最高です。
寺田さん/富士山なら家族で参加できるし、また次にいってみようと思えるし、すごくいい企画でした。
楊さん/彼がちょうど誕生日だったので、一緒に行こうと誘いました。
心がリフレッシュできたのと、他の従業員と一緒に作業できたのがよかったです。
多田さん/今日は誕生日ということで、未来を作りたいと思って参加しました。
Hondaは未来を作っていく会社だと思って入社しましたが、自分がイメージしていた通りでした。
Hondaは今まで、水源の森保全活動ということで各事業所の水源となっている「森の保全」活動を行ってきましたが、山の中での活動ということで、敷居が高かった傾向があります。そこで今回は小さなお子様も参加していただける、しかも富士山という圧倒的な知名度のある場所を選んでより多くの人に参加していただこうと考えました。
植林は10年20年というスパンのプロジェクトですから、未来を担うお子様に来ていただくのは非常に大事なことで、それが実現できたかなと思います。
今回の参加で、富士山の広大な裾野のように、ボランティア活動に参加してくださる方々の裾野を広げ、水源の森保全活動にも是非参加し、未来を一緒に作っていっていただきたいと思っています。
富士山の森は自然に育った天然林と、人の手で木を植えた人工林からなっています。その割合は天然林が55%で人工林45%。天然林が多いイメージですが、約半数を占める人工林。富士山は多くの人の手によって守られているのですね。
富士山は遠くから見ると青々としていますが、実は標高2,500mより上は、環境が過酷すぎるため、木が育ちません。このラインを「森林限界」といい、 富士山では5合目よりも上が対象となっています。
富士山は火山です。歴史上、平安時代に2回、江戸時代に1回の大噴火がありました。最後の大噴火は今から311年前にもさかのぼるのですね。
答えは「世界文化遺産」です。富士”山”なので、「自然遺産」では?と思われがちですが、日本人はもちろん世界の人々にとって信仰や芸術など様々な文化に影響を与えている点が評価され、「世界文化遺産」として登録されました。日本の象徴であり、古くから愛されてきた富士山、大切に守っていきたいですね。
富士山の麓にて総勢100名を超える参加者が集まりました。山の作業に必須のヘルメットや軍手をここで受け取ります。いよいよ山の中に入るんだ、と感じる瞬間。富士山もうっすらと顔を出してくれました。