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亀山ではじめた新たな試み
三重県亀山市の森林によって育まれた鈴鹿川は、いくつもの渓流を合わせながら伊勢湾へと流れ込みます。川の水は農業用水をはじめ鈴鹿市・四日市市の上水道用水や工業用水の供給源となっており、流域周辺にとって欠かすことのできない大切な資源です。
この鈴鹿川を生み出すために大きな役割を果たしているのが亀山市の豊かな森林ですが、近年の調査により、一部の地域で「生物多様性」を保全する活動に適したフィールドがあることがわかり、2017年より水源涵養機能の向上に加えて、生物観察および景観保全のための整備活動をはじめました。これは、「生物の豊かさ」は生態系の豊かさに支えられており、生態系の豊かさは自然環境の豊かさに支えられているため、生物が豊かであるためには、自然環境が豊かでなければならない、という考えによるものです。
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水源の保全活動と生物多様性保全活動を同時に
三重県亀山市関町坂下の滋賀県との県境にあり、標高は約600m高畑山と鈴鹿川源流に挟まれた場所に位置しています。植生としては、スギ、ヒノキ群とブナ、ミズナラ群及びアカガシ群が交わる地域で、特にアカガシ自生区においては、東北以西にしか生息しないキリシマミドリシジミチョウが繁殖するに必要不可欠な場所であり、近くの鈴鹿川源流周辺においてもコガタブチサンショウウオ等の目撃例もあり、生体観測に適した地域です。
生物観察と景観整備を考えた場合、原生雑木林のエリアで手を加える作業も限られる事から、はじめに活動エリアの環境、生態系の実地調査を行い、最適な施策を精査・検討した上で、短期、中長期的な計画を立案し、自然の生態系保全活動と鈴鹿川源泉保全活動を実施しました。定期的に実施内容に対して検証作業を行った上で、このエリアにとって適切な施策を柔軟に考え、実行することで、動植物が生息しやすく、またその動植物を観察する人たちにも配慮がなされた環境づくりを行いました。
- 植えている木
- 生物多様性保全に適した混合樹林
- 実行団体
- 鈴鹿製作所
- 共催
- NPO法人「森林の風」
- 後援
- 三重県亀山市