Sustainable impacts 2024/05/13
正解がないから挑戦が楽しい。コネクテッドサービスでクルマに新しい価値を
さまざまな技術やサービスが登場している自動車業界で注目されるキーワードの一つが「Connected(つながる)」。まさにそのワードを冠したサービス「Honda CONNECT」の開発に携わる萩原と川島は、どんな未来を見据えているのでしょうか。新たなサービスを生み出すやりがいを語ります。
萩原 優樹Yuki Hagiwara
電動事業開発本部 ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部 コネクテッドソリューション開発部 コネクテッドソリューションプラットフォーム課
学生時代はソフトウェア工学を専攻し、2016年にHondaへ新卒入社。動態管理サービスの開発と実証を担当した後、グローバル向けコネクテッドプラットフォーム開発を担当。アジア地域を中心にコネクテッドサービス全般の開発運用に携わり、各国での開発リードに注力している。
川島 成絵Narue Kawashima
電動事業開発本部 ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部 コネクテッドソリューション開発部 コネクテッドソリューションプラットフォーム課
学生時代は情報通信分野を専攻し、2018年にHondaへ新卒入社。入社以来、コネクテッドサービスの開発に携わる。これまで、日本およびアジア地域でのコネクテッドサービス全般の開発運用に携わり、とくに通信領域に注力して担当している。
自分たちのアイデアでゼロからイチを生み出し、グローバルに展開する
100年に一度の変革期と言われる自動車業界。その4つのキーワードとされているのが、「Connected(つながる)」「Autonomous(自動化)」「Sharing(共有)」「Electric(電動化)」。なかでも「Connected」は、電動化時代の新たなモビリティを可能にする上での必須条件とも言えます。
Hondaは、コネクテッド技術を用いてクルマのさまざまなデータを活用することで、安心かつストレスフリーなカーライフを実現するため、新世代コネクテッド技術「Honda CONNECT」を提供。緊急時のサポートや地図の自動更新、車内Wi-Fiの利用などが可能になるこのサービスは、2024年3月現在、36カ国で展開しています。
その開発に携わるのが、萩原と川島です。
「私たちの部門が取り組んでいるのは、世界中のクルマとの通信を支えるプラットフォームやそのネットワークの設計、世界各地のHondaディーラーが使用するツール、さらにお客様に使っていただくモバイルアプリなどの開発と運用です。
その中で私が担当するのは、主にプラットフォームやアプリの開発、それに伴うプロジェクト管理やテストなどです」
「私も萩原さんと同じプロジェクトで、主に通信機能に関する領域を担当しています。また、Honda CONNECTはグローバルに展開しているので、各国共通で使えるシステムを作り、世界中のお客様にコネクテッドサービスを継続的に利用していただくためのサポートも行っています。
プロジェクトマネジメントとエンジニアの両方の役割をしつつ、幅広く柔軟に業務を進めていくのがこの部署の特徴です」
新たなモビリティサービスを生み出そうと自動車業界全体が大きく動いている時代に、これまでにないものを創り出すために奮闘するふたり。それこそが、この仕事の魅力だと話します。
「『コネクテッドはこうあるべき』という正解は、おそらくまだ誰も持っていないと思います。その中で自分たちのアイデアを反映させて、世の中に出していける。さらに、お客様の反応を確かめられるというのは、大きなやりがいです」
「新しいものを生み出せて、それを世界中の人たちが使ってくださるのは、とても嬉しいですよね。正解がないからこそ、いろいろな国の人とディスカッションしてアイデアを出し合いながら取り組めます。
それぞれの国で文化やニーズも違いますから、さまざまな価値観に触れることができる点も楽しいです。現地の人に使ってもらわないと見えてこない感覚もあって、刺激を受けます」
困難にもポジティブに向き合う風土があるから、皆のために働こうと思える
現在同じ部署で働くふたりは、2年違いの先輩後輩。萩原は2016年、川島は2018年に、新卒でHondaへ入社しました。
学生時代、ソフトウェア工学を専攻していた萩原は、プログラミング言語の研究などを行っていました。Hondaへの入社のきっかけは、クルマへの興味だったと言います。
「友人とドライブに行くのが好きで、クルマの運転に興味を持つようになったんです。いろいろな完成車メーカーを見る中で、縁あってHondaに入社が決まりました。
学生時代はよく海外に旅行していたので、グローバルな舞台で海外の人たちと仕事ができる点も魅力でした」
萩原同様、海外に興味があり、インターンシップでは1カ月ほどタイで過ごしたこともあるという川島。学生時代は情報通信を専攻し、大容量ネットワークの構築などを研究していました。
周囲にはIT企業への就職をめざす学生が多い中で、「ITを使いながら、グローバルにさまざまなことに挑戦したい」と完成車メーカーへの就職を希望。中でも、Hondaの説明会で聞いた話に惹かれたと振り返ります。
「『お客様にもっとモビリティの楽しさを提供したい』という夢を語っていたんです。その夢は自分の生活の中でイメージできるというか、実現できそうでおもしろいと感じました」
IoTでバイクの位置情報や稼働状況を管理するサービスの開発を担当していた萩原は2018年から、川島は入社以来、コネクテッドサービスの開発に携わっています。
部署には20代30代の若手社員も多く、正解がない中で新しいサービスを生み出すため、自然と協力し合う風土ができていると話します。
「チャットツールに困ったことを投げかければ誰かがすぐに回答してくれるなど、お互いの知っていることを補完し合いながら進めようという雰囲気があります。困難なことがあっても、周りに助けを求めながらポジティブに立ち向かえる人が多いなと感じます」
「他の人たちが仕事をしやすいように配慮する人、周りの人たちのために動ける人が多いですよね。その気持ちを感じるからこそ、自分だけではなく皆のために働こうと思える。とても仕事がしやすい職場です」
サブスクリプションでお客様と継続的につながる──新たなサービスの形を模索
コネクテッドサービス自体が自動車業界において新しい領域ということもあり、これまでにないさまざまな試みに挑戦できていると話すふたり。とくに、Honda CONNECTをグローバルでサブスクリプションサービスとして提供したことに大きな手応えを感じたと言います。
「たとえば、動画配信などでサブスクリプションは広まっていますが、そのプラットフォームをHondaで作れたことは、大きな一歩だと思います」
「これまではクルマを販売した時点で途切れていたお客様との接点が、コネクテッドサービスを付加価値にすることで継続的なものになります。お客様との関係を維持しながら、タッチポイントを作ることにこだわりました」
新たな試みの連続だからこそ苦労することも。各国からの異なる要望をまとめていくことには毎回苦心すると口を揃えます。
「私が担当する通信領域は、サービスへの入会・退会に関わるのですが、ここが最も地域ごとの差が出る部分です。それぞれの地域でクルマの販売方法も異なりますから。
現地との対話を繰り返し、できるだけ要望を受け入れながらも、実現が難しい部分はこちらから代替案を提示して進めています」
「グローバルで共通化できることは共通化する一方で、地域に寄り添うところは寄り添う。それを大切にしながら一つのサービスを作り上げていく難しさがあります」
もちろん、苦労が大きい分、自身の成長も実感できると話します。
「私は入社以来、コネクテッドサービスに関するさまざまな業務を経験させてもらっています。これまでは先輩に付いて作業することも多くありましたが、今回のプロジェクトでその経験を自分ごととして形にできたと感じています。
また、アジアや中東地域へ出張する機会があったのですが、現地で自らの力でプロジェクトを推進し、これまで学んできたことを発揮して自分のものにできたことで、大きな成長を感じました」
「私も今回のプロジェクトでアジア各国へ出張しました。それぞれ限られた期間でテストを進めるため、うまくいかない場合も考慮して現地やHonda内で細かく計画を立て、最後まで現地でやり切れたことは成長したポイントだと思います。
出張先のメンバーとは仕事以外でも積極的にコミュニケーションをとっていたので、帰国後もスムーズに協力できています。やはり、根気強くコミュニケーションをとりながら、お互いの考えを理解し合うことが大切です」
コネクテッドサービスが社会のインフラとなることをめざして
ふたりが開発に携わるコネクテッドサービスは、走り出したばかり。まだまだ認知されていない現状を脱却することが目標です。
「クルマ全体の魅力から見ると、コネクテットサービスが占める割合はごく一部というのが今の状況です。グローバルに展開しているとはいえ、現地のホームページではコネクテッドサービスについて軽く触れているくらいという地域もあります。
さらに良いサービスをリリースすることで、『コネクテッドサービスがあるから、このクルマを選びたい』と言ってもらえるようなサービスを作っていきたいですね」
「クルマにはコネクテッドサービスがついていて、それを使うのが当たり前というサービスにしていかなければいけません。クルマで移動するという日常にこのサービスがなじんでいき、もっと多くの地域に自分が携わるサービスを広げていきたいです」
そのために求められているのは、「Hondaらしさ」だと川島は言います。
「各社がコネクテッドサービスを展開する中で、Hondaとしてのキラーコンテンツを出してほしいという要望を受けることがあります。Hondaらしいコンテンツとは何かというと、『誰かに自慢したくなる、ワクワクするコンテンツ』なのかなと思っています。
そういった期待に応えるためにも、今世の中でどんなアプリが出ているのか、お客様が普段使っているのはどんな機能なのかといった目線を持つことを心がけています」
2050年までに交通事故死者ゼロ・環境負荷ゼロの実現をめざしているHonda。コネクテッドサービスには、利便性向上だけではなく、安全や環境に寄与していくというミッションも。
「今はクルマ単体のサービスとして提供していますが、私はコネクテッドサービスの将来として、いずれは社会のインフラとして機能する未来があると考えています。たとえば、信号機とつながることで安全面のサポートができるかもしれない。いろいろなものとコネクトしながら、新しいモビリティライフを創造していきたいと思います」
当たり前をアップデートして、楽しさと快適と安全を提供する──世界中をつなぎながら、新しい価値を生み出していきます。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです