130PS/2万回転の達成
text=KIYOKAZU IMAI
3代目のNR500である開発記号「NR3」の1981年フランスGP仕様。自社開発のセミダブルクレードルフレームに、90°V型4気筒の「2X」エンジンを搭載した。(Photo/Shigeo Kibiki)
1981年モデル「NR3」の技術仕様とレース
雨の鈴鹿200kmで飾った唯一無二の勝利
ホンダコレクションホールが収蔵しているNR3。完全なダブルクレードルフレームで、内径16インチのフロントタイヤを履いた「2.5X」仕様。リアサスペンションはリンク式で、NR3ではボトムリンク形式を採っていた。(Photo/Shinobu Matsukawa)
NR2の車体をマックストンに任せた一方で、NRプロジェクトではそれと並行して、当時のロードレーサーの標準的な技術仕様での車体開発を社内で進めていた。
まず、テスト用のフレームを製作。それはスタッフのあいだでは「Tフレーム」と呼ばれたが、マックストンのものと同じくクロムモリブデン丸パイプ製のダイヤモンドフレームだった。
1Xエンジンを吊り下げたTフレームNR2は、マックストンフレームNR2の最終レースであった1980年8月24日の西ドイツGPから1カ月後の9月28日に行われたムジェロ・インターナショナルレースに出場。片山敬済が乗ったが、結果は残らなかった。Tフレームの開発はその後も続き、11月には大幅改修を実施。エンジンを下から抱え持つアンダーループを車体左側に、同じく右側にはクランクケース下までを支えるブラケットを追加して強度アップを図っている。
1981年の世界グランプリにおける500ccクラスの初戦であったオーストリアGPに持ち込まれたNR3。フレームのタイプはセミダブルクレードルで、タイヤは前後18インチの「1X」仕様。(Photo/Shigeo Kibiki)
テスト目的であったTフレームを経て、NRプロジェクトは1981年シーズンに投入するNR3のためのフレーム開発を推し進めた。搭載する2Xエンジンは、NR500のV型4気筒としては3作目で、それまでの0Xや1Xよりクランクケース等の小型化を実現していた。それを踏まえてNR3用フレームは、アンダーループを車体の左右両サイドに持たせたダブルクレードル形式を採ることができた。そしてNRプロジェクトは、結果的には3つのタイプのNR3用フレームを作り出すことになる。
最初のNR3-1Xフレームは、先のTフレームの設計をベースとしており、そのためステアリングヘッドから後方へ伸びるトップパイプは1本のみのバックボーン型であるセミダブルクレードル形式であった。1981年3月のアルゼンチンGPから5月のフランスGPまでの世界グランプリ戦において片山敬済が乗ったのはこのNR3-1Xフレームだった。
NR3以降のサスペンションは昭和製作所(現・Astemo)との共同開発に。フロントフォークには新技術であるアンチノーズダイブ機構「TRAC(トルク・リアクティブ・アンチダイブ・コントロール)」を装備した。(Photo/Shinobu Matsukawa)