本田技研工業(株)は、同社埼玉製作所(四輪車生産工場)と浜松製作所(二輪車、汎用製品等生産工場)において廃棄物の埋立処分の「ゼロ化」を2000年3月末に達成したと発表した。これは、昨年9月に、自動車業界として初めて同社鈴鹿製作所(四輪車生産工場)において廃棄物の埋立処分「ゼロ化」を達成したのに続くものである。
1995年度の埼玉製作所、浜松製作所の埋立処分量は各々約1,003トン、約650トンであったが、廃棄物の分別・リサイクル化を徹底して行なうことによって埋立処分量の「ゼロ化」を達成した。具体的対応方法としては「複合樹脂端材を分別し原材料として活用」、「焼却灰などのセメント原料化」、「鋳物汚泥の溶融・路盤材への活用」、「残飯のコンポスト化」等を実施。また、ダイオキシン発生量を0.1ng以下に対策した焼却炉で、廃棄物の減量化を進めたことも「ゼロ化」2001年実現計画の1年前倒し達成に貢献した。
ホンダは地球環境の保全を最重要課題のひとつと位置づけ、事業活動の全般にわたり様々な角度から検討を加え、環境負荷低減に向けた取り組みを積極的に行ってきた。
1998年4月には、商品の研究開発から廃棄までのライフサイクルに企業責任をもつという考えに基づき、生産部門の環境への取り組み強化策である「グリーン・ファクトリー計画」を発表した。 これは、「大気汚染の環境負荷低減」や、「廃棄物埋立処分・水質汚濁物質(有害物質)を“ゼロ”にまで削減する“ゼロエミッション”」 と、「CO2削減につながるエネルギーの使用原単位 '90年度比15%削減」の3項目を2001年までを目標に強力に推進するというもの。まず国内で技術を熟成し、海外の生産拠点へ展開していく予定である。
今回これらの取り組みの一環として、鈴鹿製作所に続き、埼玉製作所、浜松製作所においても廃棄物の埋立処分量を「ゼロ」まで削減する対策が完了した。 尚、2000年9月末には、全生産事業所(7事業所)が廃棄物埋立ゼロを達成する見込みである。
ホンダ全体の生産活動で発生する排出物の総量は189,490トン(1999年度)であるが、 その内訳では、リサイクルされるものが 92.4%、焼却等で社内処理されるものが7.3%、廃棄物として埋立処分される量は、全体の 0.17%程度となっている。
ホンダではかねてより、廃棄物の埋立処分の削減に向け、材料の歩留まり向上、工程での再利用等の取り組み、外部での資源リサイクル化を進めており、1999年度の廃棄物埋立処分量は320トンと、1990年度実績(18,100トン)に対して98.2%の削減を達成している。
参考資料
生産活動にともなう排出物の内訳
単位:千トン
排出物種類 | 90年度 | 99年度 | 2000年9月末計画 |
一般廃棄物 | 3.1 | 0.08 | 0.0 |
汚泥類 | 4.8 | 0.14 | 0.0 |
廃プラ・廃ゴム類 | 2.5 | 0.03 | 0.0 |
塗装かす | 1.4 | 0.0 | 0.0 |
鋳造廃棄物 | 4.5 | 0.04 | 0.0 |
焼却灰 | 1.8 | 0.04 | 0.0 |
埋立処分合計 | 18.1 | 0.33 | 0.0 |
社外中間処理 | 8.2 | 0.18 | |
社内処理 | 17.0 | 11.40 | |
リサイクル | 139.6 | 177.70 | |
排出物総量 | 182.9 | 189.61 |
廃棄物埋立処分削減に向けての展開施策
今までの主な展開施策
材料の歩留まり向上、工程での再利用、リサイクル化など
- 1.材料の歩留まり向上等による発生源での削減
(塗装の塗着効率の改善、潤滑油及び切削液のロングライフ化、工程内不良の削減排水処理汚泥の削減等) - 2.再生し工程で再利用
(廃油、切削廃液、鋳物砂、廃シンナー、プラスチック端材等)
(複合樹脂端材の分別・原材料活用) - 3.リサイクル化
分別回収を徹底し、再資源化を図る。
(鉄、アルミ、銅屑などの再資源化)
(廃タイヤ、汚泥、焼却灰、鋳造スラグのセメント原料化)
(研磨スラッジの資源化)
(鋳造砂の路盤材化、焼却灰の溶融・路盤材化)
(古紙、ダンボール、ガラス、蛍光灯、乾電池などの再資源化)
2001年に向けての削減内容
プラスチック部品の複合材から単一樹脂への転換や、塗料カスのリサイクル化などの展開、及び固形廃棄物の溶融化等による資源化を推進
以上