まずはじめに、ポップアップフードシステムとは何かをご紹介しましょう。
ポップアップフードシステムとは、万一の歩行者事故の際
ボンネットフードの後ろ側を持ち上げ硬いエンジンなどとの間に空間をつくり、歩行者の頭部に与える
衝撃を和らげる技術です。
この技術は、Honda独自の衝突安全技術である「G-CON」のひとつです。
Hondaには、クルマ社会の「共存安全」思想があり、
自分のクルマ以外の安全にも早くから注目。
弱い存在である歩行者を「共存安全」の最たる課題とし
独自の技術開発に取り組んでいます。
ボンネットの低いクルマのための技術。
ポップアップフードシステムは、歩行者と衝突した瞬間、
ボンネットフードの後ろ側を約10cm持ち上げます。
エンジンルーム内に空間を持たせ、くぼみやすくすることで、
ボンネットの低いスポーティなクルマでも
歩行者の頭部への衝撃を和らげることができます。
前例のない技術、独自の開発。
そうした先進的な取り組みと研究を重ね、
2004年に、ポップアップフードシステムの技術を発表。
前例がないため、歩行者ダミーや実験施設まで独自で生み出しながら
Hondaは、歩行者保護の技術を推進させています。
ポップアップフードシステムはどんなときに働くか。
ポップアップフードシステムは、約25km/h以上の走行時、
歩行者などとの前面衝突の際に働きます。
フロントバンパーの中央と左右の3箇所にGセンサーがあり、
衝撃を感知すると、歩行者の頭部がボンネットに到達する前に
一瞬にしてアクチュエーターでボンネットフードの後ろ側を持ち上げます。
ポップアップフードシステムは、人とクルマの
「共存安全」をめざす、Hondaの安全思想にもとづく
独自開発の歩行者保護技術です。
ポップアップフードシステムのメカニズム
約25km/h以上の走行時に、歩行者などとの衝突によるバンパーのつぶれ方をフロントバンパーに内蔵したGセンサーが感知。ボンネットの後ろ側左右にあるアクチュエーターの着火装置に点火して瞬時にガスを発生させ、ロッドを上昇させてボンネットを持ち上げます。
まったく前例のない技術であるため、シミュレーションと衝突実験施設を用いたリアルワールドに即した衝突実験を実施。さまざまな体格、衝突角度・速度で歩行者が衝突する事故を想定した検証を重ねることで実現に至りました。
ポップアップフードシステムの効果
実験により、ポップアップフードシステムの効果によって明らかに歩行者の頭部傷害値が大幅に低減することがわかっています。
また、グラフからも、歩行者の頭部にかかる衝撃Gが小さく、なだらかになっていることがわかります。