エアバッグシステム

エアバッグシステム

国産車で初めて開発して以来、独自の進化を続けるHondaのエアバッグシステム

シートベルトの着用を前提に、万一の衝突時に乗員への衝撃を緩和するエアバッグシステム。Hondaは1970年代より研究を始め、1987年に国産車として初となる運転席用SRSエアバッグシステムを開発しLEGENDに採用しました。以来、前席乗員はもとより後席乗員にも対応するエアバッグなど衝突時の備えを拡充するとともに、システムのさらなる効果向上に取り組むなど、現実の事故実態を見つめた独自の開発を続けています。

1987年、国産車初の運転席用SRSエアバッグシステムをLEGENDに採用

1987年、国産車初の運転席用SRSエアバッグシステムをLEGENDに採用

エアバッグが膨らむメカニズム

エアバッグ収納時の構造イメージ(運転席、助手席)

エアバッグ収納時の構造イメージ(運転席、助手席)

エアバッグ作動イメージ

(助手席用エアバッグシステムの作動例)

エアバッグ作動イメージ 約15/1000秒

衝突の衝撃を感知すると、瞬時にガスを発生する装置(インフレーター)の着火装置に点火

エアバッグ作動イメージ 約75/1000秒

インフレーター内のガス発生剤が加熱され、窒素ガスを発生

エアバッグ作動イメージ 約90/1000秒

バッグに窒素ガスが満たされ、乗員への衝突の衝撃を吸収

エアバッグ作動イメージ 約125/1000秒

窒素ガスを素早く排出。エアバッグによる反発をやわらげ、乗員への衝撃を緩和

Hondaエアバッグシステムの種類

Hondaは常に事故実態の検証とともにシミュレーションや衝突実験を積み重ねてノウハウを蓄積することで、保護性能と低衝撃性の向上に努めています。

Hondaエアバッグシステムの種類

※各部のエアバッグ搭載は国・地域によって異なる

①運転席用/助手席用i-SRS※1エアバッグシステム

エアバッグが乗員に接触する際に望ましい展開タイミングは、衝突速度や衝突形態などによって異なります。そのためHondaは、遅い衝突時は2段階で展開し、速い衝突時には一気に素早く展開するデュアルインフレーターシステムを開発しました。
さらに体格の大きい方など乗員がエアバッグに接触するまでの時間が長くなるケースでも充分な内圧を保持できる内圧保持タイプを開発。乗員が接触するまではベントフラップを閉じた状態とすることで、内圧を長時間保持し、効果的な乗員保護性能を発揮します。

※1 i-SRSの「i」は、intelligentの略で、知能的なシステムとの想いがこめられている
SRSはサプリメンタル・レストレイント・システム(Supplemental Restraint System)の略でシートベルトの補助拘束装置の意味

デュアルインフレーターシステム展開イメージ(運転席)

デュアルインフレーターシステム展開イメージ(運転席)

内圧保持タイプ構造イメージ(運転席)

内圧保持タイプ構造イメージ(運転席)

着座姿勢が一定ではない助手席乗員用には、運転席より広く展開するエアバッグを採用。しかもエアバッグ展開時の接触による直接的な加害を避けるため、エアバッグを上向きに、フロントウインドウに沿わせるように膨らませるトップマウント方式を採用しています。

助手席用エアバッグ展開イメージ

助手席用エアバッグ展開イメージ

また、脳障害軽減斜め衝突対応の助手席用エアバッグシステムも開発※2。エアバック展開時にセンター部と両サイドの3つに分かれることで、助手席前方エリア全体を幅広くカバーし頭部の横ずれを抑制。斜め前方からの衝突時に横方向からの衝突力によって頭部が大きく振られるような場合でも、エアバッグから頭部がすべり落ちることがないよう保護し、衝撃を緩和します。

※2 2020年より北米仕様車に採用

助手席用エアバッグ(脳障害軽減斜め衝突対応)システム

②前席用i-サイドエアバッグシステム/後席用i-サイドエアバッグシステム※3

側面衝突時に乗員の胸部への衝撃を効果的に緩和するシート内蔵タイプのエアバッグシステムです。シートの背もたれ外側に格納されています。車両の側面には衝撃吸収スペースが少なく、サイドエアバッグは乗員とドアの間という非常に狭い空間に、素早くエアバッグを展開させると同時に、展開時の加害性を避ける必要があります。そのため、瞬時に展開する高圧部と乗員に接する低圧部の2層構造としたエアバッグを採用。展開速度を速めながらも乗員への衝撃を効果的に緩和します。

※3 2020年より欧州、北米、中国仕様車に採用

前席用i-サイドエアバッグシステム

サイドエアバッグ構造イメージ

サイドエアバッグ構造イメージ

③サイドカーテンエアバッグシステム(前席/後席対応 ミニバンは1〜3列目シート対応

側面衝突時に乗員の頭部や頚部を広範囲で保護し、センターピラーなどへの頭部衝突を防ぐサイドカーテンエアバッグシステム。サイドウインドウのほぼ全面をカバーするエアバッグを瞬時に展開させ、乗員の体格や着座姿勢によらず優れた保護性能を発揮します。サイドウインドウに沿って展開させることで、効果的な衝撃吸収に貢献しています。

サイドカーテンエアバッグシステム

サイドカーテンエアバッグ展開イメージ

サイドカーテンエアバッグ展開イメージ

また、衝撃検知センサーは室内のフロント中央付近と前席の左右および後席の左右の7か所に、ミニバンなどは3列目の左右と中央部にも加えた10か所に設置※4。側面衝突の形態に応じてサイドカーテンエアバッグシステムと前席用i-サイドエアバッグシステムが最適なタイミングで作動するよう制御します。

※4 車両によりセンサーの数が異なる場合あり

さまざまな衝突形態に対応するマルチポイントセンサー位置

さまざまな衝突形態に対応するマルチポイントセンサー位置

④運転席用/助手席用SRSニーエアバッグシステム

正面衝突時に、運転席側はステアリングの下側、助手席側はグローブボックスの下側からエアバッグを展開させることで、乗員の身体の前方への移動を抑制するとともに、乗員の下肢への衝撃を緩和します。運転席用/助手席用i-SRSエアバッグシステムと連動して作動することで、下肢のみならず全身の衝撃低減に寄与しています。

ニーエアバッグ展開イメージ(運転席)

ニーエアバッグ展開イメージ(運転席)

開発にあたっては、国内外の安全基準を踏まえ、さまざまな体格の下肢各部への傷害リスクや擦過傷などを考慮して目標値を設定。また、作動直後から素早く展開して、膝との間に左右均一に展開するよう、バッグの形状やサイズに加え、収納時(展開前)の折りたたみ方にも工夫を施しています。

⑤フロントセンターエアバッグシステム※5

運転席の室内中央側のシートバックに内蔵したエアバッグです。助手席側からの側面衝突の際に運転席と助手席の間に展開し、ドライバーの助手席ドアへの衝突を防ぐほか、助手席に乗員がいる場合には、乗員同士の接触による衝撃を低減します。

フロントセンターエアバッグはドライバーの頭部を包み込むような形状とするとともに、シートベルトプリテンショナーやセンターコンソールと合わせ、乗員の横方向の移動を抑制。ドライバーの頭部保護に寄与しています。

※5 2020年より欧州仕様車に採用

フロントセンターエアバッグ

フロントセンターエアバッグ展開イメージ

フロントセンターエアバッグ展開イメージ

Hondaエアバッグシステムの進化の歩み

1987年
SRSエアバッグシステムを開発 国産車初

1970年代初頭に国内メーカーではエアバッグの有効性にいち早く着目し、研究を開始。「極限の信頼性」を達成するために16年もの歳月をかけて開発。国産車初となる運転席用のSRSエアバッグシステムをLEGENDに採用しました。

1990年
トップマウント方式を開発(助手席用SRSエアバッグシステム) 世界初

エアバッグが膨らんだ際に助手席乗員への直撃を避けるよう、フロントウインドウに沿ってエアバッグを展開させます。現在も多くの自動車メーカーが、トップマウント方式を採用しています。

1998年
2段式インフレーターを開発(運転席用/助手席用i-SRSエアバッグシステム)世界初(助手席用として)

衝突速度が遅い場合は2段階に、速い場合は一気にエアバッグを展開させる2段式ンフレーターを開発。衝突速度によるエアバッグと乗員との接触タイミングを適切に制御します。

1998年
助手席乗員姿勢検知機能を開発(i-サイドエアバッグシステム) 世界初

助手席に設置された姿勢検知センサーが乗員の体格や姿勢を検知して座高や頭部の位置を判断し、エアバッグの展開を制御。例えば、寝てしまった子供の頭部がエアバッグの展開エリアにある場合には、頭部への衝撃を回避するため作動をOFFにするといった機能も備えました。

2002年
サイドカーテンエアバッグシステムを開発

側面衝突時にサイドウインドウのほぼ全面をカバーするエアバッグが瞬時に展開することで、前席乗員はもちろん、後席左右、ミニバンは3列目左右の乗員についても、頭部への衝撃を効果的に緩和します。

2008年
連続容量変化タイプを開発(運転席用i-SRSエアバッグシステム) 世界初

エアバッグにうず巻き状の縫製を施すとともに排気制御弁を設け、膨張時に連続してガス容量を拡大させることで、エアバッグの内圧と展開を適切にコントロール。より「迅速」に、より「低衝撃」で展開し、膨張状態をより長く「持続」できるため、乗員の着座位置や衝突形態に幅広く対応する乗員保護性能と、エアバッグによる衝撃性低減を高次元で両立しました。

2014年
運転席用/助手席用ニーエアバッグシステムを開発

ステアリングの下側およびグローブボックスの下側から、膝との間にエアバッグが展開することで、前席乗員の身体の前方への移動を抑制するとともに、下肢への衝撃を緩和します。

2016年
内圧保持タイプを開発(助手席用i-SRSエアバッグシステム)

膨張したエアバッグが乗員と接触するまで内圧を保持することで、乗員の体格の違いなどによってエアバッグに接触するまでの時間が長くなる場合でも、効果的な保護性能を発揮します。その後、運転席用も開発しています。

2020年
脳障害軽減斜め衝突対応を開発(助手席用i-SRSエアバッグシステム)

斜め前方からの衝突時に、横方向からの衝突力によって助手席乗員の頭部が大きく振られることで起こる脳障害を軽減するために、頭部の横ずれを抑えるように膨張する新たなエアバッグ形状を開発しました。

2020年
フロントセンターエアバッグシステムを開発(運転席)

助手席側からの側面衝突の際に運転席と助手席の間に展開し、ドライバーの助手席ドアへの衝突を防ぐほか、助手席に乗員がいる場合には、乗員同士の接触による衝撃を低減します。

2020年
後席用サイドエアバッグシステムを開発

側面衝突時に乗員の胸部への衝撃を効果的に緩和するシート内蔵タイプのエアバッグシステムを、リアシートの両側にも拡充。後席左右の乗員とリアドアとの間に素早く展開し、衝撃を緩和します。

エアバッグは、衝撃を緩和するためのシステムで、シートベルトの補助拘束具です。エアバッグ装備車であっても、必ず正しくシートベルトを着用してください。シートベルトを着用しないと、衝突時にエアバッグの効果が十分に発揮されず、重大な傷害や死亡などの危険性が高くなります。

各部のエアバッグ搭載は国・地域によって異なります。
車種や発売時期によって本ページの説明とお客様所有の車両の機能が異なる場合があります。 実際の機能は取扱説明書をご確認ください。

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