ポップアップフードシステム

ポップアップフードシステム

衝突時にボンネットフードを持ち上げ、歩行者の頭部への衝撃緩和を補助

ボンネットフード

歩行者との万一の衝突時に、生命にかかわるダメージをもっとも受けやすい頭部衝撃の緩和を補助するために、ボンネットフードを持ち上げてエンジンルーム内の空間を確保する技術が「ポップアップフードシステム」です。ボンネットが低いデザインのクルマでも、衝突時にエンジンなどの硬い部品とボンネットフードの間の空間を広げることで、歩行者頭部の傷害値低減を補助します。

衝突を検知すると、瞬時にボンネットフードをポップアップ

ポップアップフードシステムは約25km/h以上の走行時、歩行者との前面衝突の際に作動。フロントバンパー内に設置された圧力センサーと車速センサーの情報から、バンパーのつぶれ方などによって歩行者との衝突を感知すると、歩行者の頭部がボンネットに到達する前にアクチュエーターを作動させ、ボンネットフードの後ろ側を約100mm持ち上げます。エンジンルーム内に空間を持たせ、くぼみやすくすることで、ボンネットの低いクルマでも 歩行者の頭部への衝撃を和らげることを補助することができます。

ポップアップフードシステムのシステム構成

ポップアップフードシステムのシステム構成
約10cmポップアップ ポップアップさせなくてもエンジンルーム内に空間が確保されている

リアルワールドを見据え、歩行者保護技術を独自に追求

Hondaは「Safety for Everyone」をグローバル安全スローガンに掲げ、クルマやバイクに乗っている人だけではなく、道を使うだれもが安全でいられる「事故に遭わない社会」の実現を目指しています。

こうした共存安全の思想から、Hondaは早くから歩行者の安全研究に取り組み、1995年、ボンネットフードに衝撃吸収構造を採用したHonda ASV歩行者安全研究車を開発。1998年に頭部への衝撃を吸収する歩行者傷害軽減ボディーを開発し、 2000年には脚部にも対応しました。

また、対歩行者の事故メカニズムの解明と歩行者保護技術開発のため、1998年に世界初の歩行者ダミー「POLAR I」、2000年により人体に近い構造を持ち計測部位を増やした「POLAR Ⅱ」、2008年には衝突時の人体の挙動を再現する「POLAR Ⅲ」を開発。さらには、世界初の屋内全天候型全方位衝突実験施設を2000年に建設するなど、独自の歩行者保護技術の研究開発を積極的に進めています。

このような先進的な取り組みと研究を重ね、 2004年にポップアップフードシステムの技術を発表し、2008年に量産車へ搭載。 開発に当たっては、シミュレーションと衝突実験施設を用いたリアルワールドに即した衝突実験を実施。さまざまな体格、衝突角度・速度で歩行者が衝突する事故を想定した検証を重ねることで実現に至りました。

歩行者ダミー

歩行者ダミー

屋内全天候型全方位衝突実験施設

屋内全天候型全方位衝突実験施設

ポップアップフードシステムは、衝突時の位置、角度、車速などその他の条件によって作動しないことがあります。

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