「eSTT」によるタンブル流強化 メカニズムのイメージ
日常走行の燃費性能を向上
目指したのは、スロットル開度30%以下の日常的な使用シーンにおける高い燃費性能の達成と、加速時や全開走行時などのスロットル開度が大きい領域での力強い出力特性の両立です。
従来の手法としては、インレットポートの形状の工夫により、タンブル流を生成する手法が一般的でした。日常の使用領域での燃費性能の向上は可能ですが、反面、加速時や全開走行などのスロットル開度が大きい領域では、タンブル流が必要以上に強くなり過ぎることで、燃焼による音が大きくなるなどの課題があります。
その課題に対応した技術として、タンブル生成専用ポートを設け、可変機構を用いて日常域と全開走行時など、負荷によって流路を切り替える方法がありますが、可変機構は通気抵抗の増大や部品点数の増加などの課題があり、小型二輪車への適用は理想的ではありませんでした。
「eSTT」では、スロットルバルブとインレットバルブの間にあるインレットポートに「セパレーター」を設けることでポート内の逆流現象をコントロール、タンブル流を強化する技術を独自に開発しました。
「セパレーター」によって空気の流れをコントロール
日常域(スロットル開度〜30%)
「セパレーター」を最適な位置に設け、スロットルバルブ背後の負圧によりインレットポート内の流れをコントロールしています。
・スロットルバルブ下側を通り抜けた、スピードの速い空気
・スロットルバルブ上側を通り抜けたあと、一度逆流する空気
という2つの流れの約8割以上を、セパレーターの下側の低負荷用ポート(タンブル流生成専用通路)に集めることでインレットバルブから混合気が勢いよく吸い込まれ、強いタンブル流を発生させることができます。
これにより、日常的な走行シーンで燃費性能を向上させています。
スロットルバルブ開度が小さいときの空気の流れ
加速時、高速域(スロットル開度30%~)
タンブル流を強めると燃焼の音も大きくなる傾向にありますが、スロットルバルブ開度が大きくなると(負荷が増えると)セパレーターの上側の高負荷用ポート(高負荷時用の流路)を通る空気が増えてタンブル流の発生を抑制。静粛性を損なうことなく、スロットルを大きく開けた際の力強い出力特性を確保しています。
スロットルバルブ開度が大きいときの空気の流れ