Hondaの新たなEV開発アプローチ
EVは長い航続距離を確保しようとすると、それに比例してバッテリー搭載量が増加し、また、それを搭載するためにボディー剛性の強化が求められ、一般的には車両が大型化し、「厚くて重く」なります。Hondaの目指すEVは、これまで培ってきたM・M思想(Man-Maximum、Mecha-Minimum、マン・マキシマム/メカ・ミニマム)やダイナミクス技術を進化させ、薄く軽くすることで、これらの制約から解放し、さらに知能化技術を加えることで、クルマそのものが賢くなる Honda独自のソフトウェアデファインドビークル(SDV)でなければならない、と考えました。
この新たなEV開発アプローチが“Thin, Light, and Wise.”です。
“Thin, Light”の具現化
Thin
専用開発した超薄型バッテリーパックと超硬張力鋼板を用いた薄型フロア、インバーターを極限まで小型化し、横置き搭載を可能としたe-Axle(イーアクスル)により、EVでは他に類を見ない「SALOON」のような低全高、ショートオーバーハングからなる魅力的なスタイリングと広い室内空間を両立することで、EVであっても、Hondaが大切にしてきた「M・M思想」を具現化した商品の提供を目指します。
Light
独自の衝突ロジックの進化による軽量化に加え、操縦安定性の新しい指標を構築し、コーナリング時のタイヤ荷重コントロールに、ボディーの変形を効果的に活用することによって、軽快で気持ち良い走りと軽量化を両立。自社EV比で100kgの軽量化を実現します。また、これら薄型・小型・軽量化されたバッテリー、パワーユニットなどの重量物を、低く車両中心部に配置させることで、低重心・低慣性を実現。Hondaがクルマづくりで大切にしてきた「操る喜び」をさらなる高みへと進化させることを目指します。
さらに ハイブリッド車の開発で培った、モーター・インバーター技術を更に進化させた小型かつ高効率なe-Axleにより、大幅にエネルギー損失を低減。新開発のアクティブエアロダイナミクスシステムを採用した高い空力性能により走行エネルギーを低減し、これらの技術により、世界トップクラスの電費性能を達成することで、航続距離はEPAモードで300マイルクラスを実現します。
プラットフォーム
EVであっても低全高スタイリングを可能にするプラットフォームは、2.0GPa級ホットスタンプ材のフロア骨格への適用と薄型バッテリーパックにより、フロア高さを抑制。Honda独自の衝突モードコントロールと小型化を追求したe-Axleによってショートオーバーハング化と低フード化を実現します。さらに、これらの取り組みは大幅な軽量化も同時に達成し、軽快な走りや優れた電費性能に貢献します。
走りと電費性能を高めるために、アクティブエアロダイナミクスシステムの採用と、新操安剛性マネジメントという新しいボディー剛性コンセプトを取り入れました。
EVにおいて空気抵抗は航続距離に大きく影響します。そこで、フロア下を流れる空気をコントロールする電動可変デバイスを開発。車速に応じてフロントモーター下に設置したフロントエアロディフレクターを可変させることで、フロア下の流速を変化させ、タイヤによる気流の乱れを抑制し、空気抵抗を低減させます。
これにより、従来のデバイス採用の場合と比較してEPAモードで6マイルの航続距離延長効果を発揮。同時にフロア下の低圧化によってダウンフォースが発生し、直進安定性も向上します。
ボディーの軽量化を図るにあたり、従来のボディー剛性指標とは異なる、Hondaの知見を生かした新しい指標を考案。ボディーの変形を抑えるために剛性を高めていくのではなく、しならせることで軽快な走りを生み出す新操安剛性マネジメントによってボディー構造をシンプル化しました。
接地点横剛性をあえて抑えることで、コーナリング時にボディーのしなりを効果的に活用してタイヤの荷重をコントロール。気持ちよい走りとボディー骨格の大幅な軽量化を実現します。
また、2028年から稼働を予定しているカナダのEV専用の完成車工場では革新的な生産技術を導入し、バッテリーケースに適用する大型アルミ鋳造をボディー骨格部品にも適用を拡大。軽量で軽快な走りをさらに進化させていきます。
エネルギーシステム
Honda 0 Tech MTG 2024 技術動画<プラットフォーム/エネルギーシステム>
HondaはHonda 0シリーズをはじめとするEVにおいて、航続距離の不安を解消し、心から自由な移動の喜びを感じていただくために、高効率なパワーユニットとエネルギーマネジメントを追求するとともに、充電環境の拡充などエネルギーサービスへの取り組みも推進しています。
エネルギーマネジメント
高効率パワーユニット、軽量プラットフォーム、独自のエネルギーマネジメントによって、世界トップクラスの電費性能を目指します。他社のトレンドラインに対して、小型車から大型車までクラスの違いを問わず、約2%(6マイル相当)の向上を実現し、EPAモードで300マイルクラスの航続距離を確保します。
EVにおいて不安視されることの多い冬季の航続距離も独自のエネルギーマネジメントで解消を図っています。室内全体を暖めるのではなく「温感」を指標に採用。乗員の周りを中心に暖める輻射ヒーターに加え、ヒートポンプによる高効率運転により、暖房消費電力を他社比で約13%※1削減し、航続距離の冬季乖離率を他社トレンドラインに対して約3%改善します。
※1 一般的なEVとの比較において、Honda調べ
低ハイト・小型 e-Axle
駆動モーター、ギアボックス、インバーターを一体化したe-Axleは、Hondaが長年培ってきたハイブリッドシステムの技術を生かし、小型化、高出力密度化、低損失化を突き詰めています。SiCパワー半導体を採用したインバーター、独自コイル配置のステーターによる高密度モーターなどによって、他社トレンド比で約17%の損失を低減、12マイル相当の航続距離延長を可能にします。
小型化については、Honda独自のインバーター横配置パッケージによって、低フード化、ショートオーバーハング化に大きく貢献しています。インバーターを他社トレンドに対して約40%小型化することで、従来ではモーターやギアボックスの上部に配置していたのに対し、モーターの横に配置する事を実現。このe-Axleはフロント駆動にもリア駆動にも共通して対応が可能で、さまざまなタイプの車両に適用できます。
また、横置きインバーターにすることで、車室内空間に影響することなく、 AWD用モーターのインバーターの集約を可能にしています。
軽量・薄型 バッテリーパック
フロア下に配置され、フロアの高さに影響するバッテリーパックは生産技術の革新によって薄型化を追求。ケースはメガキャストによって、フロントとリア2つの大型アルミダイキャスト部品を作り、摩擦撹拌接合(FSW)を用いて一体化します。2つに分けているのは、組み合わせによって容量の異なるバッテリーパックを作り分けられるためです。
これにより、従来構造では60部品以上だったのに対し5部品にシンプル化。軽量化を実現しています。
さらに、バッテリーの温度管理に用いるウォータージャケットにもFSWを活用して薄型化を実現しています。従来は別体のウォータージャケットを組み立て部品で一体化させていたのに対し、Honda 0シリーズでは、バッテリーケース下面にメガキャストで水路を一体成形し、そこにアルミ板をFSW技術で接合。従来構造に対して約6%(8mm相当)の薄型化を達成しています。
EVのバッテリーパックは側面衝突時の荷重も受け止めます。Honda 0シリーズでは、ボディー骨格とバッテリーパックで統合的に衝突荷重分担をコントロールすることで、バッテリーパックの衝突用構造を最適化。バッテリーセルの搭載効率を他社比で約6%高められ、約18マイルの航続距離延長を可能とします。
また、Hondaではハイブリッドをはじめとした数多くの電動車を市場に投入しており、蓄えられたビッグデータを活用することで、独自のバッテリー劣化モデルによる診断・予測技術を確立。10年後のバッテリー劣化率を、他社トレンドに対して約10%抑制し、新車時からの劣化率を10%以下にすることを目指しています。
エネルギーサービス
Hondaは、EVの性能向上だけでなく、充電環境の拡充や電気代の削減に寄与するエネルギーサービスの提供を行い、EVの利便性をトータルで高めていきます。
北米で急速EV充電ネットワークを展開する「IONNA」を通じて2030年までに3万口の経路充電網を整備。スマートフォンアプリでパーソナライズ化された推奨経由地も提案します。
また、自宅の太陽光発電量や消費電力、EVの利用スケジュールなどから、最も電力コストが低い時間帯に自動で充電を行うスマートHome充電システムを提供。さらに、電力会社のプラットフォームと連携し、V2H/V2G、リパーパスによってバッテリーを使った電力の有効活用により、CO2を出さないクリーンでエコな生活を提供するエネルギーサービスを展開していきます。
“Wise”の具現化
Hondaが、これまで培ってきた知見と知能化技術の進化によりクルマそのものが賢くなり、お客様一人ひとりの思考やニーズにきめ細やかに対応することで、新しい移動体験を提供していく、それがHondaが目指すSDVの独自な価値、“Wise”です。
具体的には、AD/ADAS、ダイナミクスなど車両としての機能進化に加え、運転時や車内での楽しさを広げるデジタルUXの提供です。それらを実現するために、基盤となる、E&EアーキテクチャーとビークルOSは、Hondaで独自に開発し搭載。クルマの機能をOTA(Over The Air)によりアップデートすることで、お客様が車両を購入された以降も継続的にHondaらしい魅力的な商品への進化を実現し、お客様一人ひとりに最適化したデジタルUXを提供していきます。
また、車両データを活用してAI機能を進化させるデータプラットフォームや、ソフトウェアを高速開発するためのバーチャル開発を含めた開発技術も準備しています。
E&Eアーキテクチャー
Honda 0 Tech MTG 2024 技術動画<E&E Architecture>
クルマの機能や価値をソフトウェアで定義し、ソフトウェアをアップデートすることで継続的に機能を増やしたり性能を高めたりすることができるSDV。その基盤となるのがE&Eアーキテクチャーです。HondaはE&Eアーキテクチャーに加え、ビークルOS、アプリケーションも独自開発することで、最新の機能やサービスを迅速に提供。ユーザーがディスプレーオーディオやスマートフォンを操作することで、OTA(Over-The-Air)アップデートによっていつでも新しい機能を使うことができます。
Honda 0シリーズの2026年モデルに搭載されるE&Eアーキテクチャーは、進化速度に応じて分類された3つのECUに機能を集約。自動運転・先進運転支援を行う「AD/ADAS」、車両の基本機能を制御する「Core」、デジタルUXで高い利便性を提供する「IVI」で構成され、それぞれのECUのソフトウェアをアップデートすることで機能進化します。
また、これら基幹ECUを高速通信で接続することで、リアルタイムなクロスドメイン制御を実現します。
車両データを活用して様々な価値を創造するデータプラットフォームは、必要なデータを最適なタイミングで取得する仕組みにより、お客様に寄り添った機能進化に貢献します。
ハードウェアとソフトウェアをつなぐビークルOSは、ハードウェアに依存しないソフトウェア開発を実現。これにより、開発速度が向上し、最新の機能やサービスの迅速な提供が可能となります。
さらに次の世代のE&Eアーキテクチャーは、更なる機能集約を目指し、お客様の心を動かす新しい体験を提供し続けるために進化していきます。
AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)
Honda 0 Tech MTG 2024 技術動画<AD/ADAS>
HondaのAD/ADASは、運転にかかわるあらゆるシーンでドライバーを支援し、「思わず出かけたくなる」体験を提供します。出発時は、スマートフォンを使ってクルマを呼び寄せて好きな場所で乗車。目的地をセットすれば、事故を未然に防ぐリスク予測を行いながら一般道を含めた経路誘導運転支援を行い、知らない道でも安心して運転できます。高速道路では同一車線内、車線変更時のハンズオフが可能。渋滞時には同一車線内でアイズオフが行え、運転から解放された自由な時間を提供します。
その実現の中核をなすのが、自動運転レベル3(アイズオフ)を可能にする高精度検知センサーと独自のAIです。
世界初の自動運転レベル3を実現したHonda SENSING Eliteやダイナミクス統合制御といったHondaの基盤技術やノウハウをベースに、高精度検知センサーによる自動化レベルの向上と独自のAIによる提供エリアの拡大を進め、世界最速で全域アイズオフを実現していきます。
高精度検知センサーのセンサーフュージョンと独自のAIをハイパフォーマンスECUで処理することで天候変化に強く、夜間・複雑なシーンでも認識し、安全、安心で途切れずに走り切る事を目指します。
高精度検知センサーは、LiDAR・Radar・カメラなどセンサーフュージョン(異種センサーの組み合わせ)により、天候変化に強く、人の死角・遠方なども高い精度で検知し、リスクを認識します。
独自のAIは、抽象度をあげた概念学習により、少ないデータ量で短期間に提供エリアを拡大することができます。さらにビルやガードレールなどの無限パターンを持つ構造物をリアルタイムに認識するため、環境変化に強く初めて走る道でも途切れずに支援する事ができます。
加えて、多様なベテランドライバーの運転行動モデルを組み合わせる事で、まるでベテランドライバーのように対象物のリスクを認識し、スムースな支援を実現します。
ダイナミクス統合制御
Honda 0 Tech MTG 2024 技術動画<ダイナミクス>
Honda独自のダイナミクス統合制御は、さまざまな制御デバイスをシームレスに連動。どのようなシーンでも車両を安定させ、意のままの挙動を実現することで、ドライバーに高い安心感の中で操る喜びを提供します。
これまでHondaが磨き上げてきた、VSAやアダプティブ・ダンパー・システムなどのダイナミクス制御技術に加え、二足歩行ロボットの姿勢制御技術も活用。3次元ジャイロセンサーによる高精度な姿勢推定を行い、ステアバイワイヤや制御サスペンション、e-Axleといったバイワイヤデバイスを統合制御します。
例えば、すべりやすい路面でコーナリングする際、まず減速時は、回生ブレーキや制御サスペンションが連動して旋回姿勢を安定化。ステアバイワイヤによって状況に応じたタイヤ切れ角に調整し、意のままの回頭性と安定性を両立します。
旋回中の制御には、Hondaの二足歩行ロボットの技術を活用しています。車体に加わる加速度に加え、ヨー、ロール、ピッチを検出する3次元ジャイロセンサーを採用した上で、歩行時に姿勢を推定するロジックを四輪車に適用し、3次元的に細かな挙動まで検知。挙動変化をいち早く検知することで、ブレーキとステアリング制御によって早期の挙動安定化が図れます。さらに、次の動きをリアルタイムに予測してあらかじめ重心を移動させる二足歩行ロボットの予測運動制御も取り入れ、路面の急激な変化に対してもスムーズに制御が介入することで、自然なフィーリングを実現しています。
コーナー出口の加速時は、e-Axleによる駆動トルク制御とVSAによるブレーキ制御が協調することで、四輪の駆動力を独立かつ緻密にコントロール。すべりやすい路面であっても気持ちよい加速が得られます。
こうした制御を、さまざまなシーンで連続的に行うことで、ドライバーに意識させることなく、安心かつ意のままのダイナミクスを提供します。
将来的には、AD/ADAS用に搭載しているカメラやLiDARなどの外界センシングを活用したフィードフォワード制御なども取り入れ、ダイナミクス性能をさらに進化させていきます。
デジタルUX
Hondaは、クルマに乗っているときだけではなく、乗り込む前後や、クルマから離れた場所にいても、クルマにまつわる様々なストレスをミニマムにし、加えて、運転して・使って・繋がって楽しい体験をソフトウェア・IT技術で実現。クルマが人に寄り添い、ともに成長していくことで、一人ひとりに最適な機能やサービスを提供します。
その実現に向けて、2つの方針でデジタルUX開発を推進しています。まず、運転時や乗降時などクルマの使用にまつわるさまざまなストレスを最小化。またユーザーの使用データを分析して、OTAによるソフトウェアアップデートで継続的に改善機能をリリースしていきます。その上で、クルマの楽しさを最大化する新しい価値提案を行います。最新のIT技術を市場へ先行投入して市場の声を聞きながらアジャイル開発を行い、運転に関する楽しさを最大化させていきます。
ストレスを最小化するために、段階的なアプローチで開発を進めています。インフォテイメントシステムの操作をシンプル・シームレス化、音声アシスタントによりインターフェイスを進化させ、さらには、ユーザーの意図理解や行動予測によって先回り提案も可能に。“何もしなくてもできている”UXを追求しています。
ストレスMINに向けた取り組み① IVI継続進化
Hondaでは、Android Automotive OS を搭載したHonda CONNECTディスプレーを2023年より展開。高い音声認識精度や、 Google アカウント連携によるシームレスなパーソナライズ機能を備え、業界Topレベルの性能を実現しています。加えて、ユーザーの使用状況やフィードバックを基にOTAによる継続的なアップデートで改善・進化を続けていきます。
ストレスMINに向けた取り組み② 先読みシームレスエントリー
Honda 0シリーズでは、独自の画像認証・行動予測アルゴリズムによる先読みエントリー機能を搭載します。
センターピラーに備えたカメラでクルマに近づいてくるユーザーを認識し、乗車意図判定~顔認証を実施します。事前に顔登録したユーザーであれば、何ももたなくても近づくだけでロック解除とドアオープンを行い、シームレスな乗車を実現します。空港の出入国審査などで使われているアルゴリズムを採用し独自の組込み最適化により、クルマに求められるセキュリティとスマートフォンよりも高い本人受け入れ率による利便性を高次元で両立しています。
また、状態推定技術によりユーザーの状況に対するシーン理解~先読みを実現します。例えば、ベビーカーを押しながらユーザーが近づいてくると、最初にリアドアオープンを行い、子どもをチャイルドシートにスムーズに乗せられます。次にベビーカーをたたんでラゲッジルームに入れると予測し、テールゲートをオープン。そして最後にユーザーが乗り込むために運転席のドアオープンを行います。
深層学習(CNN※2)を用いた独自の状態推定アルゴリズムにより、リアルタイムなシーン理解と、人以上の状況認識精度でユーザー乗車意図推定を行い先回り動作を行います。
これらにより、専用キーはもちろん、スマートフォンによるデジタルキーを持たなくても、乗り込み、走り出せる究極のストレスMINを実現します。
※2 Convolutional Neural Networkの略
ストレスMINに向けた取り組み③ シーン理解に基づく In-Cabinエージェント
乗り込んだ後の車内においても、画像認識と生成AIによってシーンを理解し、先回り提案を行います。ルームミラー付近に設置したキャビンカメラで車室内の様子をモニタリングし、乗員の表情まで含めた状態変化をリアルタイムに検知。 車両の様々なセンサー・カメラ情報や車速、運転操作、時刻、場所などの情報も合わせてシーン理解大規模言語モデル(LLM※3)にインプットし、マルチモーダルに現在の状況を理解します。その上で、クルマの装備情報や顧客情報などを学習した提案生成LLMが、ユーザーの要望を先回りして提案。例えば、ペットが同乗していて長時間運転している場合に、ペットOKの施設での休憩を提案したり、小さな子どもが後部座席で泣いているときに、子どもが楽しくなるような音楽を再生したりといった提案を自動生成します。
※3 Large Language Modelsの略
クルマの楽しさを最大化する新しい価値提案に向けては、運転をより多面的に楽しめる、これまでにないアプリやサービスをスマートフォン向けに先行投入してユーザーとともに磨き上げる取り組みや、現実世界とデジタルな仮想世界を融合させるXR(クロスリアリティ)技術を活用した取り組みを行っています。
「運転して・使って・繋がって 楽しい」に向けた取り組み① 運転好きの楽しさ拡大
CIVIC TYPE Rで搭載されたHonda LogR 2.0の運転スコアリング機能を、より手軽に、すべてのドライバーが楽しめるように開発されたスマートフォンアプリ「Road Performance」を2024年7月にリリース※4。スマートフォンに搭載されているセンサーのみで、加速や減速、コーナリングなどの運転スキルをスコアリングします。
このような運転好きなユーザーが手軽に楽しめるアプリやサービスを積極的に展開し、ユーザーからのフィードバックを活用しながら新たな価値を創造。その上で、クルマの機能と連携させることで、車載アプリとしてアジャイルに進化させていきます。
※4 2024年7月時点ではトライアル版としてアプリ提供
「運転して・使って・繋がって 楽しい」に向けた取り組み② 仮想同乗体験 「Cross Reality Virtual Ride Experience」
VRやARなどといったXR技術を用い、クルマから離れた場所にいながら、実際に走っているクルマに同乗しているかのような体験ができる仮想同乗体験(Cross Reality Virtual Ride Experience)を開発。ブラウザやモバイルアプリ間でリアルタイムの音声、映像、データ通信を可能にするWeb-RTC(Web Real-Time Communication)を車内環境に適用するとともに、独自の通信容量削減ロジックを組み合わせ、まるでその場にいるような臨場感を生み出します。
このXR技術によって、リアルを超えた体験を提供可能。ライブバーチャルツアーや、自分の“推し”との同乗、クルマ好きのコミュニティなど、さまざまなドライブ体験に活用できます。Hondaならではの提案として、実際のレースの乗車体験でプロのドライバーの運転を体感できるようなサービスへ発展も視野に入れてCross Realityによる新たな体験価値の開発を進めていきます。