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経営 2024.02.06

CES 2024で「Honda 0シリーズ」の発表を終えて。Honda副社長が語るコンセプトモデル「SALOON」の手応え

CES 2024で「Honda 0シリーズ」の発表を終えて。Honda副社長が語るコンセプトモデル「SALOON」の手応え

Hondaは、1月9日(日本時間1月10日)、ラスベガスで開催された「CES 2024」において、新グローバルEVとなる「Honda 0シリーズ」を発表。ステージに登壇した副社長の青山真二が、改めてこのEVシリーズへの想いを語ります。

青山 真二(あおやま しんじ)

本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役副社長 もっと見る 閉じる 青山 真二(あおやま しんじ)

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13万人超が来場したテクノロジー見本市で「Honda 0シリーズ」を発表

先進技術や革新的な製品が集まる、世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2024」が、1月12日(現地日時)に閉幕しました。4000社以上の企業が出展し来場者は13万人以上。コロナ禍前の活気を取り戻した印象の中、Hondaは開催初日の9日にプレスカンファレンスを行い、新グローバルEV「Honda 0シリーズ」と、そのコンセプトモデルである「SALOON」「SPACE-HUB」を世界に向けて発表しました。

Hondaは、EV市場における2020年代前半を「黎明期」、後半を「拡大期」と捉えています。各国で充電インフラが異なる黎明期(現在)は主要地域ごとの市場特性や取り巻く環境を踏まえたEVを展開しており、それらが整ってくる拡大期(2020年代後半)には、グローバルニーズに鑑みたモデルが必要という考えから誕生したのが「Honda 0シリーズ」です。

青山
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CES 2024全体の印象としては過去のCESと比べると自動車メーカーによるハード面でのモビリティの出展が少なく、「生成AIをどんな形でシステムに実装するか?」というアイデアを提案する企業が多かったように思います。そんな中、コンセプトモデルとはいえ「SALOON」と「SPACE-HUB」というハードとソフト両面を併せ持ったプロダクツをお披露目できたことで、多くの方に注目いただけたのではないかと思います。

実際、CES初日に開催されたHondaのプレスカンファレンスには、メディアを中心に800人を超える来場者が集まり、ブース外に立ち見が多く出るほど。その注目度の高さの通り、発表後は北米や欧州を中心に、瞬く間に「Honda 0シリーズ」のニュースが世界を駆け巡りました。

プレスカンファレンスが終わると、多くの人がコンセプトモデルを取り囲んだ プレスカンファレンスが終わると、多くの人がコンセプトモデルを取り囲んだ
フラッグシップモデルである「SALOON」は2026年の量産を目指す フラッグシップモデルである「SALOON」は2026年の量産を目指す
「SALOON」インテリア 「SALOON」インテリア
人と人、人と社会をつなぐハブとなるという思いを込めた「SPACE-HUB」は研究段階 人と人、人と社会をつなぐハブとなるという思いを込めた「SPACE-HUB」は研究段階

これまでのHondaのフラッグシップセダンの代表格といえば「LEGEND」(Acuraブランド名:「RLX」)など。そしてHondaがEVに舵を切る中で、新たなフラッグシップとして開発したのが「SALOON」であり、EV時代における重要なグローバルモデルという位置付けです。

「0」:Hondaの将来戦略を言い表すシリーズ名と直感

青山
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今回発表した2車種の中でも、特に「SALOON」のエクステリアデザインは、多くの方に驚きをもって迎え入れていただけたように感じます。全高が低く、ワンモーション(フロントからリアに向かってせり上がっていくラインを基調としたスタイリング)なボディ。それでいて、室内の空間をしっかり確保した4シーター。エンジンに空間を占拠されない、前後に小型モーターを配置するバッテリーEVならではのレイアウトと言えます。私が初めて「SALOON」を開発チームから見せてもらったのは2年ほど前ですが、やはり当時、驚きと手応えを感じたことを覚えています。量産段階になっても、今回お披露目したコンセプトモデルのエクステリアイメージを極力キープできるよう、開発チーム一丸となって奮闘しているところです。

また「Honda 0シリーズ」という新グローバルEVの総称については、次のように語っています。

青山
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新グローバルEVのシリーズ名を決めるにあたりいくつか候補が挙がった中で、「Honda 0シリーズ」が直感的に腑に落ちたネーミングでした。環境負荷ゼロ、交通事故死者ゼロという使命に対して、そして我々が原点に立ち返ってゼロからクルマの価値を考え直すことに対して。「0(ゼロ)」は、Hondaが将来戦略を考えるうえで大切にしたいことを一言で表せる。開発に携わるスタッフにとっても、自分たちが今後どんなEVを世に提供していき、どんな社会を見据えるのか。同じ方向を向くのに一役買ったと思います。
さらに、CES 2024という舞台でこのシリーズ名を世界中に発信したことで、「HondaのEV時代への意気込み」を感じていただけたのではないでしょうか。

Hondaが夢見るEV社会は「操る喜び」「自動運転」とともに

クルマの見た目はもちろんですが、EVの未来をユーザー目線で考える際、気になるのは電費性能やインフラではないでしょうか。CES 2024でHondaは、未来に向けたEVだけでなく、それらを取り巻く環境の構築にも言及しました。

  • 2023年にOEM 7社で設立した合弁会社を通じて、2030年までに3万口を目標に高出力充電器を設置(北米)
  • 北米以外の地域における充電ネットワークの拡充
  • BMWグループ、フォード・モーターとともに設立するChargeScape社を通じた、スマート充電サービス提供地域の拡大(北米)
青山
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インフラの拡充はモビリティメーカーだけに与えられた課題ではありませんが、だからといってただ静観し、待ちの姿勢でいるつもりもありません。CES 2024で語った取り組みはあくまでごく一部。各地域・各国の状況に応じたインフラ面の展開において、今後積極的に関与していき、自らの手で率先して課題に取り組んでいくつもりです。

Hondaが環境整備に取り組む理由。それは「Honda 0シリーズ」として展開するEVの「航続距離」とも密接に関わっています。「Thin, Light, and Wise(薄い、軽い、賢い)」という新たなアプローチのもと、Hondaはバッテリー搭載量を減らしながら効率良く航続距離を伸ばすと同時に、EVらしからぬ軽快な走りを実現します。

青山
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「Honda 0シリーズ」で想定する航続距離の300マイル(約482km)は、現在世に出ているEVと比べても特別長いわけではありません。なぜかというと、航続距離をひたすら伸ばそうとするとバッテリーをたくさん積まなければならないから。それでは車体は「厚く」「重く」なってしまい、我々が掲げた開発アプローチ「Thin, Light, and Wise」と逆行してしまいます。

将来的に充電ステーションが増えてくれば、一度に1000kmも走れる必要はなく、短時間で充電できれば大きなバッテリーを積む必要もありません。急速充電の拡充や受電能力の向上、インフラ整備によって、「Honda 0シリーズ」のEVは使い勝手が良く、真に乗って楽しいクルマとなり得ると考えます。

さらにHondaは、2021年に自動運転レベル3に適合するトラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)を搭載した「Honda SENSING Elite(ホンダ センシング エリート)」を「LEGEND(レジェンド)」に搭載して発売しましたが、20年代後半に投入する「Honda 0シリーズ」では、この自動運転をさらに進化。高速道路における自動運転領域を拡大し、スマートフォン操作や、場合によっては会議など、自動運転中にできるタスクを拡大すると同時に一般道においても、一定条件下でのハンズオフの実現を目指します。

これからのEV時代、このような「魅惑的な操る喜び」と「安全で快適な自動運転」という、2つのオプションを持っていることで、贅沢な体験を提供できるとHondaは考えています。

2020年代後半に投入するモデルでは、15%〜80%急速充電を15分程度に短縮することを目指す 2020年代後半に投入するモデルでは、15%〜80%急速充電を15分程度に短縮することを目指す

「Honda 0シリーズ」は、2023年4月に発表したHondaの電動化戦略への歩みを進めていくための、決意表明でもあります。それを為すため、まずはEV社会に対する社内の一人ひとりの意識を、これまで以上に高める必要があるのです。

青山
青山

直近では「SALOON」と「SPACE-HUB」を、開発に直接関わっていない社内・関連会社の方々にも見てもらえる機会をつくりたいです。先ほど「Honda 0シリーズ」という名前によって、開発スタッフの間で「目指すべきEV社会」を共有できたとお話ししました。今後まずやるべきことは、その共通認識を会社全体に波及させること。そして「Hondaが社会に送り出すのはこういうEVなんだ!」「掲げた電動化戦略を絶対にやり切るぞ!」という一体感を醸成することだと考えています。

「2040年までにEV・FCEV販売比率をグローバルで100%にする」という目標は生半可な気持ちで達成できるものではなく、課題はまだたくさん。それでもHondaは、今回発表した「Honda 0シリーズ」とともに、EV社会におけるモビリティメーカーの使命を果たしていきます。


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