久保田 徹 Toru Kubota

Hondaで描く夢の実現へ向け、
“初志貫徹”で道を切り拓く

  • 生年月日2001年5⽉12⽇
  • 出身埼⽟県
  • 経歴聖望学園⾼校-⼤東⽂化⼤学
  • ベストタイム2時間12分58秒
久保田 徹

初マラソン後にトラックで飛躍
安定感に勝負強さも備わる

 2024年の入社以来、駅伝で高い安定感を見せ、チームに不可欠な存在となっている久保田徹。そのロードの強さをもって2月の別府大分毎日マラソンで初マラソンに挑んだが、中間点を過ぎてから徐々にポジションを落とし、2時間12分48分の26位(日本人24位)に終わった。

「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)出場権が与えられる2時間12分以内で日本人6位以内を狙っていましたし、30kmまでは先頭集団にもつけると思っていました。ただ甘くなかったですね。マラソンに向き合うための練習量も足りなかったですし、レースまでの食事や補給の取り方までしっかり準備しないとマラソンは走れないんだと痛感しました」

 まさに初マラソンの洗礼を浴びた形で、改めてその難しさを感じたと話す。

 ただ、この経験が久保田を変えた。4月には5000mで13分36秒26まで大きく自己ベストを伸ばし、5月の東日本実業団選手権10000mでは終盤まで外国籍選手の前を引く場面を作る果敢さを見せ、日本人トップとなる6位。武器である安定感がさらに高いレベルで発揮されるようになり、そこに勝負強さも加わった。マラソンの経験が久保田を高みに引き上げたと言っていいだろう。

「春のトラックレースは自分でも想像以上に走れた感覚があります。終盤までペースを落とさない走りができるようになったのはマラソンを経験したからという面もありますが、Hondaに入ってからの練習の継続が力になってきたことも大きいと思います。マラソンとトラックは別競技と考えていますが、自信になりました」

 小川智監督も「もともと試合での集中力が高いですし、考え方がシンプルで、テーマを与えればそれを忠実に実行できるタイプ。単独走も強い選手ですが、競り合って力を発揮できる勝負強さも出てきました」と、トラックシーズンの走りに高い評価を与える。今回の北海道マラソン出場は小川監督から「年に2回、マラソンを走るサイクルを作ろう」というアドバイスを受けてのもの。Honda入社3年目となり、駅伝、トラック、そしてマラソンと、1年の中で目指すレースを変えながら成長していくスタイルを確立し始めた。

久保田 徹

座右の銘は初志貫徹
Hondaで掲げる2つの目標

 埼玉県出身。聖望学園高校で本格的に陸上競技を始め、大東文化大学に進み、3年生で一気に飛躍。チームの中心選手として活躍し、駅伝も主要区間を担うようになった。そしてHondaには特別な思いで入社を決めた。

「埼玉県出身の自分にとって、埼玉に拠点を置くHondaは陸上を始めた高校生の時から憧れていたチーム。ここでニューイヤー駅伝での優勝を成し遂げ、個人としてマラソンで世界に出ることを夢としていたので、それを実現したいと思い、入社を決めました」

「とにかく真面目で一生けん命」とチーム関係者の誰もが口を揃える実直な性格だ。Hondaでも地道に泥臭く走り続け、すぐに駅伝の戦力として計算されるまでになった。座右の銘は初志貫徹。自分の名が刻まれているその言葉の通り、入社前から掲げていた2つの志を貫くために、日々、研鑽を惜しまない。

「特にマラソンはまだ経験が浅いので、練習でも先輩に引っ張ってもらうことも多いですし、小山(直城)さんなど経験豊富な方にアドバイスももらっています。マラソンは練習だけでなく、生活面など競技以外の取り組みが重要になってきますので、そこも妥協なく取り組むように意識しています」

 その言葉に呼応するかのように小川監督も「まだマラソンをやる体が完全にはできていませんが、小山に似ているところがあり、レースから逆算して、準備を考えられる選手です。結果を狙うのはもちろん大切ですが、レース後にマラソンに挑む過程を振り返ることで自分なりの課題を見つけられると思いますし、それがさらなる成長につながるでしょう」とHondaのマラソンエースの名を出し、期待をかける。今回の北海道マラソンは久保田の将来にとっても、重要なレースとなるという考えだ。

久保田 徹

自信を胸に挑む北海道
目指すはMGC出場権獲得

 トラックで好結果を出した勢いそのままに、北海道マラソンへ向けた強化に入ったが、ここまで故障なく、予定されたメニューを順調に消化してきた。月間1000kmに迫る勢いで距離も踏んでおり、前回のマラソン前とは比較にならないほどに状態は上がっている。

「別大マラソン前はニューイヤー駅伝に向けたスピード練習も多かったため、距離を踏めず、自分としてもマラソンに向き合いきれていなかったと今、振り返って思います。また、それでいながら力不足でニューイヤー駅伝を走れなかったので、速いペースでの感覚をマラソンに持ち込めませんでした。今回はトラックで高めたスピードを意識しながら、距離も踏めていて、ラストまで粘れる走りができそうです」

久保田 徹

 マラソン練習中に他チームへの合宿にも参加し、Hondaとは異なる刺激を受けたことで、また新たな視野を得た。今回の目標もMGCの出場権獲得だ。そして世界への挑戦権を手にしたうえで、冬のマラソンでは2時間6分30秒まで狙いたいというプランも描いている。

「Hondaにはトラックでもマラソンでも日本を代表する選手がいて、その中で練習できていることが自信になっています。今回の北海道マラソンは準備がしっかりできているので、まずはMGCを確実に決め、駅伝、そして冬のマラソンへと向かっていきたいです」

 やるべきことをしっかり取り組み続ける強さが久保田にはある。この北海道で世界への第一歩を刻むべく、強い覚悟で挑む。

(取材・文:加藤康博)